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2018年11月15日

iFI Audio製品の新デジタルフィルターGTOについて(5.3c)

iFI Audio製品では今回のファームウエアの更新(5.3c)で新しいGTOフィルターというトランジェント重視のデジタルフィルターが採用されました。これはMQA社と開発協力があったそうで、音楽を正確に再現するというフィルターです。技術的な内容は下記のページをご覧ください。
https://ifi-audio-jp.blogspot.com/2018/11/blog-post.html?m=1

適用範囲についてなのですが、上記ファームウェア更新ページのリリースノートには従来のミニマムフェイズフィルターを置き換えるとあります。しかし例えばiDSD BLではMinimum Phaseフィルターのスイッチがありますが、xDSDではありません。そこでこの辺の明確化をiFIのおなじみトルステン博士に聞いてみました。

すると5.3cを適用したファームのiFI Audio製品においては、GTOフィルターは従来のデジタルフィルターの代わりにPCM再生の際には常に動作していて、従来のフィルタースイッチの位置はPCM再生においては意味がなくなるということのようです。ただしDSDを再生する際には従来のフィルタースイッチは従来どおりの意味をもつそうです。(従来仕様のほうがよければファームウェア更新は適用しないでほしいとのこと)

また、PCMにおいても352k/384kの入力の時はGTOがかからないということです(iDSD proは除く)。それはこの領域ではアナログフィルターで十分で、デジタルフィルターはかけなくても良いということだからということです。

加えてPCMにおいてもMQA再生時にはGTOフィルターは適用されないということです。MQAのポイントは「時間的正確性」と「コンパクトさ」で、前者はデジタルフィルターによるものと考えられますが、GTOとの関連も推測するには面白いと思います(あえてそこまで突っ込んで聞きませんでしたが)。

またいままではFPGAで実現していたようなデジタルフィルター機能をXMOSで実現したのも驚きです。iFIはDSDネイティブ再生の頃からXMOSのプログラミングには長けていると思ってましたがさすがです。端的にいうとカスタムICの中でもXMOSはソフト寄りでFPGAはハード寄りです(ちなみにASICはもっとハード寄り)。
しかし、もともとハード実装するような機能がFPGAで実装され、今ではXMOSでも可能になったというのは、ムーアの法則まだまだ健在という感じですね。
posted by ささき at 09:42| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする