音元出版主催のAptX Adaptiveの体験試聴会に参加してきました。
https://www.phileweb.com/news/d-av/201809/11/44977.html
AptX AdaptiveとはQualcommが提案している一連のAptX関連技術の一つで、ビットレートを動的に可変するという技術です。
まずAdaptiveというのはAptXだけの言葉ではなく一般的に使われる言葉です。
なぜAdaptiveが必要かと、送信側と受信側の間の回線品質が一定でないときに、音切れ(または画像乱れ)が起こらないようにするためです。普通Adaptiveと言うと、TIDALやYoutubeのようにストリーミングで回線状態が悪い時に使います。
Bluetoothの場合のそれは、電車のようにWIFI密度が濃い場合やお尻ポケットにスマホを入れると言うことに相当します。
WIFIとBluetoothは同じ2.4G帯で干渉します。以前書いたKleerとBT比較記事の4項を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/109198956.html
2.4G帯域は直進性が強いので回線品質はアンテナの見通しに左右されます。
また、AptX HDは音質は良いが、固定ビットレートのために常にたくさんデータを送るために切れやすくなります。そうした場合に「音質優先」とか「接続性優先」などを設定でデータ量を手動で変えたりしますが、AptX Adaptiveではこれを自動で行うので設定を気にする必要はありません。
試聴会ではQualcommのJonny McClintock氏による技術解説や実際に開発基盤を使用したデモや試聴デモを行いました。たしかに見てみると送信しているビットレートがアンテナの遮蔽状況などに応じて自動的に可変されていくのがよくわかります。
そこでどうやって周辺状況の込み具合をフィードバックしているのだろうと不思議に思ったので、直接McClintock氏に聞いてみました。するとヘッドセットとスマートフォンで正しく送信されているかの2wayコミュニケーションをするということです。そのためヘッドフォン・イヤフォン側にも対応が必要です。
完全ワイヤレスのためのTWSでもTWS プラスでもいっしょに使えるということなので、両耳で受信状況が違ったらどうなるかと意地の悪い質問をしましたが、その場合はスマートフォンで悪い方に合わせるということです。
Qualcommの技術はたくさん出てきましたが、とりあえずAptX Adaptiveがあれば、(まったく同じではないが)音質においてもAptX HD相当であるし、レイテンシーに関してもAptX Low Latency相当であるということ。つまりAptX AdaptiveがあればHDとLow Latencyを包括できるということです。
それに加えて電車の中とかWIFIが混んでるところやお尻ポケットにスマートフォンを入れても音切れしにくい、というわけです。それを「音質優先」とか「接続優先」のような操作を人がしなくて良いのが優れたポイントです。
製品は現行の845の次の次世代チップのSnapdragon 855で来年くらいに出てくるだろうということ。
つまりユーザーから見ると、AptX Adaptive対応のイヤフォン・ヘッドフォンとSnapdragon 855以降を採用したスマートフォンでこの技術が使用可能となるというわけです。iOSで使えないのが残念ではありますが、なかなか期待の技術と言えますね。