先日ヘッドフォン祭でWestoneのBlakeマネージャーが来日して、インタビューしました。そこで最近のWestoneの組織上の変化と、その影響について答えてくれました。
WestoneのMusic部門担当マネージャー、Blake氏
それによると、Westoneはいまや業界では世界最大であり、オーディオロジストへの供給でもアメリカ最大です。全ての領域に手が回らなくなってきたので音楽産業とヒアリングヘルスケアの二つに分社化(分社化は正確な言い方ではないかもしれませんが)したということです。Music部門とHearing Healthcare部門にわかれました。Military(パイロット用の耳栓など)はHearing Healthcare部門です。
これで我々の知ってるWestone(テックウインドさん扱いイヤフォンとイヤモニ)はMusic部門にとなって独立し、イヤフォンに特化しやすくなったということです。Blake氏はここを統括してみることになります。これによって前はBlakeさんは40%しか音楽分野にさけなかったが、いまは100%工数をさけるようになったそうです。
またMusicが独立したことにより「音のゴッドファーザー」カートライト兄弟はヒアリングケアから離れてイヤフォンに専念できることによって、よりイヤフォン開発に集中でき、権限も従来のシニアからチーフになったことでより強固になったということです。
またこれによって、カートライト兄弟は開発だけでなく製作も統括できるようになったため、かれらがカスタムについては一個づつ検品できるようになりました。これで音決めだけでなくトータルで製品の品質を高められるようになったわけです。
またユニバーサルも同様で、例えばBlakeさんがテックウインドさんのような世界のカスタマーの声を拾い上げ、それをカートライト兄弟がフィードバックしやすくなったということです。すでにこのアプローチはUM Proから始まっていて、品質向上に貢献しているということです。
一方で、ヒアリングケアと分離したといっても、その情報にはアクセスできるので、膨大なノウハウの蓄積というWestoneの長所も保てるということです。Westoneは膨大な耳型の蓄積があるため、ユニバーサルをコンパクトでかつ高音質に作れるわけです。
実際に"Comfortable(快適性)"と"Sound good(音が良いこと)"を両立するのがWestoneの目的でその両立なしでは製品を出さないということです。これはまた以前の記事で書いたように、音のカールと形のクリスの兄弟が密接に協力するからこそできることです
最後に次の製品はW90かW100かって聞くと、W1じゃないかとはぐらかし、ドライバー数ではないよと言っていました。そこで次はチャンバー方式かと水をむけると、また我々はすべての領域で研究してるよとはぐらかされました。Westoneって大きい会社だけになかなかそういうところは明かしてはくれません。
ただし上で書いたように今後はWestoneのリソースが一層オーディオ分野に集中されやすくなったので、製品は楽しみであると言えますね。
ちなみに上はジェネラルマネージャーのBlakeのカスタムです。これフレックスカナルがなく、なぜかというと撮影用にサウンドチューブを見やすくするためです。フェイスプレートもマグニファイ(拡大)・アクリルという素材で中が見やすくなってます。