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2017年07月13日

CTMからユニバーサルIEMが発売

カスタムIEMで知られるCTM(Clear Tune Monitors)からユニバーサルIEMが発売されます。国内発売はテックウインドになります。発売は7月19日を予定しています。

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CTM VS2、VS3、VS4

* CTMとVSシリーズについて

CTMはフロリダ州のオーランドを拠点とするカスタムIEMブランドです。
CTMの創設者Cesar Milanoは音楽プロデューサー及びコンサート会場の監督であり、レコーディングやロックミュージシャンを手掛けていました。設計はCastor MilanoがWestoneでいうカール兄弟のようなエンジニアとなっているようです。プロフェッショナルサウンドと装着感、軽量性をコンセプトとしているとのこと。

発売されるのはビンテージ・シリーズというラインナップで、CTMとしては初めてのユニバーサルモデルです。デザインコンセプトが50年代から60年代のアメ車やジュークボックスとなっています。なぜビンテージかというと、その頃はいわばアメリカの黄金時代で音楽も輝いていたのでそのオマージュということです。
ユニバーサルモデルはペイントがない分で没個性的になりがちなので、こうしたコンセプトは面白いと思います。

こちらにCTM ビンテージシリーズの紹介ビデオがあります。(英語)


ビンテージシリーズは4ドライバ、3ドライバ、2ドライバの3ラインナップ、カラーはそれぞれのモデルでダスティ・ブルー、インテンス・レッド、パッション・ピンク、ダースブラックの4色が用意されています。
VS-4は4ドライバ構成で高域×1、中域×2、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は7万円前後)
VS-3は3ドライバ構成で高域×1、中域×1、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は5万9千円前後)
VS-2は2ドライバ構成で高域×1、中域×1の2Wayです。 (価格はオープンで想定価格は4万7千円前後)
BAドライバーはKnowles製で、シリーズの各モデルはそれぞれ個性と特徴があります。

このビンテージシリーズでは音導管にソフトシリコンを採用しています。メタルやプラスチック素材の音導管ではドライバから出て来た音、特に中音域の周波数が音導管内で反響し、素材の音が出てしまいますが、ソフトシリコンを使うことによって音導管内での不要な反響をなくし、素直で暖かな音を得られるということ。これはカスタムインイヤーモニターにおける長年の経験から、人間の耳の中には固い部分や直線がなく、全て柔らかな曲線であることからヒントを得たものということです。
たしかにどのモデルもシャープで鮮明さが高い割にはきつさ・痛さはあまりありません。

* 実機インプレッション

3モデルとも箱が凝っていてデザインが良いですね。ビンテージシリーズということでジュークボックスをモチーフにしてアメリカ製っていう感じです。箱のデザインが一モデルごとに違う点も面白いことで、VS3だけわざわざ横型なのもあまり他ではないですね。箱の横にはイヤフォンの特性や分解図も載っていて、情報的にもよくできたパッケージです。

フォームチップとラバーチップが箱の反対側に付いてるので開ける時に注意してください。またダブルフランジがひとつ付属していて、これはボックスの中パッキンの底にケースと一緒に入っています。
箱から出すと本体もビンテージっぽくアレンジされてて個性的です。雰囲気が昔のアメ車みたいですね。イヤフォン本体ではステムが太くWestoneと好対照です。イヤフォン本体は3機種ともコンパクトで軽量で、装着感も良いです。

音質はAK380で試してみましたが、どのモデルもAK380の性能にもつりあうくらい優秀です。すべてのモデルにおいて共通するのは非常にクリアで見通しの良いサウンドであるということです。
高域はわりと3機種とも似ていて、シャープでクリアです。ただ3機種で上への伸びやかさはちょっと異なります。VS2が一番鋭く、VS3が一番まったりしています。
このように高域はとてもきれいに伸びるイメージですが、仕様上は15.5kHzとか16.5KHz上限と正直に書いてあるところは好感が持てます。いずれにせよ聴覚上はVS2やVS4はハイレゾを標榜するどのイヤフォンとも譲らないような優れた高域特性があると思います。(VS3はやや緩やかです)
スペックを伸ばすために無理してないせいか、あまりきつくなりすぎていないのも良い点です。
中域・低域は3機種で個性が異なります。音の広がりかたも少し異なりますね。

-- VS2 --
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VS2はエージングなしでもはっとするくらいクリアでシャープです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
かなり解像感が高く、上によく伸びます。それでいてスケール感もあるのに驚きます。2ドライバーイヤフォンも激戦区だけど、音的にはかなりの上位にいきなり食い込む感じですね。端的に言ってかなり良いです。
低域は量は標準的でやや軽めだがよく引き締まったベースラインが聴くことができます。3機種では一番ベースは軽いという感じですね。ただタイトで質のよい低域とは言えますね。

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高域はVS2が3機種で一番伸びてシャープに聴こえる。それでいてそれほどきつさを感じません。透明感も高く、VS2は単なる低価格モデルではなく、シンプルな良さが出てると思います。


-- VS3 --
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VS3とVS4はエージング1日した方が良いです。たぶんクロスオーバーなどのせいでしょう。
VS3は迫力があって、ノリが良いタイプです。VS2よりも厚みが増えて、音楽的な豊かさが重視されています。イヤチップは普通のラバーが好みです。

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低域はより豊かで、かなり量感があります。これは3機種で一番です。多少緩やかな反面でパワフルで、たっぷりとした低域が楽しめます。
少し平面的ではあるけれど、横方向はVS2よりスケール感があります。ロックなどでは音の塊感があって、迫力はありますが、複雑な音楽だとちょっとガチャガチャしやすい傾向はあります。
音再現が分厚く、一番演出的で音楽を楽しく聴けるイヤフォンです。
エレクトロ系とかロックに良いですね。能率は3機種では高めです。


-- VS4 --
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これは一番モニターっぽく、いわゆるプロデューサー向きと言う感じですね。音性能はワイドレンジで、周波数特性も整って3機種のなかで一番高いです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
シャープ感も高く歯切れも良いですね。低域は量感があるというよりも、タイトで整った感じです。これもクリアさが高いのですが、音に余裕があるためVS2のように痩せたように感じられる点はなく、豊かな音だと思いのます。横だけではなく立体的に音場が広がります。音は濃いめで情報量も高いですね。
高域はやや抑えめで落ち着いた印象を受けますが、VS3よりはシャープで伸びていく感じです。細身になりすぎないで、ヴァイオリンの音色も豊かさが感じられます。

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複雑でもごちゃごちゃした音楽でもきれいに解きほぐして、ガチャガチャしません。それぞれの楽器パートが整理されて聴こえます。
鮮明さに秀でたVS2や分厚さのあるVS3は一芸に秀でたタイプだが、VS4はマルチドライバーの余裕で優等生タイプの音作りです。

* まとめ

音楽の相性で端的に言うと各イヤフォンは次のようになると思います。
VS2は小編成アコースティック、ジャズトリオなど、VS3はロック・ポップ・エレクトロなど、VS4はクラシック向けとも言えますが、合う範囲は広いと思います。VS2、VS3は個性が強いので相性がありますが、VS4はわりとなんにでも合うと思います。

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とても個性的なラインナップであると思います。パッケージやイヤフォンのデザインも個性的ですし、音質もたんなる松竹梅のクラス分けにならずに3機種ともに個性があります。たとえばVS2もたんなる低価格モデルとはちがいますね。低コストゆえのシンプルさを逆に透明感の高さに生かしています。
CTMはカスタムメーカーとして知られていましたが、ユニバーサルでもっとユーザーを獲得するのではないかと感じさせてくれる製品群です。
posted by ささき at 13:01 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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