Music TO GO!

2017年03月26日

Return to Ommadon - マイク・オールドフィールド

マイクオールドフィールドの初期3部作の続編が彼自身の手によって続編が製作されました。その名も「Return to OMMADON」、オマドーンへの回帰という感じでしょうか。
高校の時にみんなで好きな音楽を持ち寄って観賞するという時間があったんですが、私が持ってきたのがこの「オマドーン」で、みなを思いっきり眠らせてしまったというのを思い出します。それほど思い入れがある作品ではありますね。
チューブラーベルズはいくつも続編が出ていますが、どれも初期作の続きというわけではなくアレンジ作品というべきでしょう。またAmarokがオマドーン2ともいわれましたが、あまりしっくりするわけではありません。

Roonの曲解説を読むと、ネットで次はどういうスタイルで作曲するか投票をしたそうで、その結果初期作品懐古のテーマを決めたということのようです。
たしかにCDというより、もはやダウンロードやストリーミングの時代にわざとLP時代のように一曲20分にした大作、コンセプトアルバム、一人多重録音(アナログ時代より楽だったと思うけれど)などなど初期作を思わせます。
またこれも前に書いたのですが、Robert Reedとか日本の大山耀(Asturius)氏によるマイクの初期作へのオマージュのような作品がいまでも作られていますのでそれに刺激されたというのもあるかもしれません。大山氏は新作のAt the Edge of the worldを出していますし、Robert Reedも以前紹介したSanctualyの続編を出しています。下記に記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/408328727.html

期待も大きくて、夜e-onkyoのダウンロードを始めてダウンロード終わったら寝ようかと思ってたんですが、結局そのまま聴いてしまいました。
前がアフリカっぽいリズムを取り入れていたところに、今回はネイティヴアメリカンっぽいのを取り入れたり、最後に"On Horseback"と子供のコーラスを入れたりと複雑と言えば複雑な曲構成はオマドーンだけど、オリジナルがもっと内省的だったのに対して、これはどちらかと言うとインカンテーションズ・呪文の続編的には思えます。

ただ、悪くいうとRobert Reedのカバーっぽくも聞こえてしまいますね。なぜかというと、前のRobert Reedの時の記事にも書いたんですがRobert Reedも当時のマイクのエッセンスをうまく取り入れたのだけれども、Robert Reedが真似できなかったのはマイクの病んだ当時の精神性だったと思うんです。Robert Reedは人嫌いになって馬とともに田舎に引っ込んで鬱になるってことはないでしょう。その精神性がこの「Return to OMMADON」にもないんです。それはマイク自身が捨てたものだから。

たしかに70年代当時はアナログでのあれだけの多重録音する人間はそれだけで、少し偏執狂的な要素があったかもしれない。そしてマイクオールドフィールドの場合はチューブラーベルズでは多重録音のデモ音楽に過ぎなかったものが、オマドーンではそれを内的探求の旅へのツールとして昇華できたと思う。
今でもまだ大変かもしれないけれど、今はそれは音楽の探求者でなくてもやるでしょう。ミュージシャンがもはや探究者ではないのなら、これはやはり単なるベテランミュージシャンのファンサービスと言えるでしょう。

音楽なんて優秀作で十分なのに、優秀作が名作となるのはなにか切れたものが必要だと思います。
それは彼が成長するにつれて克服したものでマイクの場合は呪文でそれがありました。長髪を切ったジャケ写のように。
でも、おそらく我々が求めるのはそうした中二病とも言える若さゆえのなにかなのかもしれないとも思います。高校の私が共感して今は失くしたもの、70年代の音楽にあって、21世紀の音楽が失ったもの。
とか文句を言いながらも、今日もまた聴くわけですが。

ちなみに「オマドーン」はゲール語(古代アイルランド語)のバカとか間抜けという意味です。

e-onkyoのリンクはこちら。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557277685/
Amazonリンクはこちら。
posted by ささき at 13:39 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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