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2016年11月25日

JH AudioとAstell & Kernコラボの新作、Michelleレビュー

JH Audio MichelleはJH AudioとAstell & KernのコラボでのユニバーサルIEMです。Michelleは低域、中音域、高音域にそれぞれ一つずつの3ドライバーで、3Wayの構成です。
名称はガンズの"My Michelle"ですが、ロックガールズ名が付いていることでも本作がSirenシリーズとして製作されたことが分かります。

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日本での販売日は12月3日で本日(11/25)から予約開始です。直販価格は65,980円(税込み)で、これまでのラインナップに比較するとかなりお手頃な価格です。この価格でA&Kコラボらしく2.5mmバランスケーブルも標準で付属しています。

* Michellの特徴

Michelleのポイントのひとつは3Dプリントされたシェルと10度の角度のついた音導管です。
JH Audioでは過去にも3Dプリントを使っていましたが、これは主にプロトタイプを作るときだけで、実際は手作りでやっていたようです。今回は25万ドルと言うProject 6000シリーズと言う高性能3Dプリンタを購入して本格的に製作しています。
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Project 6000 3Dプリンタ

またJH Audioではいままでの数万と言うカスタム制作の経験から、人の耳にはある程度の共通パターンがあるのに気が付いていたということです。それがこの10度のアングルを持ったノズル部分です。これはMichelleではじめて採用されたものです。
また耳の形を3Dモデリングして、それを3Dプリンタに適用することでカスタムライクなフィットを実現したということです。これは3Dプリントによってのみ実現できたということです。

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だだし組み立てはハンドメイドと言うことで、ペイントもひとつずつやっているということです。
またJH Audioでは左右のユニットのマッチ率を1dB以内に抑えているということで、これも他のメーカーならば3dB程度ですからかなりシビアに左右特性を合わせているということになります。

また他のJH AudioのIEMと同じにFreqPhaseが採用されている点も見逃せません。これはマルチドライバーで発生する複数のドライバーから届く音の時間を一致させるというもので、主に音場や立体感、音のフォーカス(ピントの良さ)を向上させます。

* Michelleの使用感

いままでのJH AudioのIEMは音は良いけれどもマルチドライバーでいささか大柄なモデルが多かったのですが、このMichelleはかなりコンパクトに作られています。
3Dプリントの造形もなかなか滑らかできれいにできていると思います。ここはさすが高価な機械を導入しただけはあります。
これはいままでにJH Audioに向いていなかった人にも良いかもしれません。特に女性は試してみてはいかがでしょうか。
イヤチップは標準のものでも十分に良いと思います。
能率はかなり高く、特にパワーを必要としません。

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ケーブルは銀メッキ銅線をケプラーに巻きつけたという新開発のMoon Audio製です。ただし他のSirenシリーズのような4ピンではなく普通の2ピンで、低音調整機能はついていません。

* Michelleの音質

主にAK380を使用して聴きました。
まず音のバランスが良く、フラットと言うよりは音楽を楽しめるような帯域特性になっていると思います。クリアで明瞭感が高い音で、他のSirenシリーズに比べると濃さはほどほどでやや細身ですが、厚みは十分にあって音の高級感も感じられます。またパンチのある低域はジェリーらしいところです。

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Michelleの音の特徴としては音の立体感が秀でている点が挙げられます。FreqPhaseの効果か、音が空間に広がる感じはよく出てる。また楽器の立体感も際立って良好です。横の広さだけではなく、楽器の配置が楽しめる感じですね。
BAは複数あった方が音域は広くカバーできますが、各ドライバーからバラバラに音が耳に届くと曖昧な音になるので、FreqPhaseがあるとぴりっとしまった音になります。

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もうひとつ気がつくMichelleの良い点は、生楽器の音がきれいだということです。またリズムのきざみやパーカッション・ドラムのパンチが気持ち良いのも音楽を楽しめるポイントです。

すでに販売している海外のHeadFiでは高域が足りないと言う人もいますが、私はいわゆる高域が詰まっているとかロールオフして落ちているようには思えません。十分以上に高域のレスポンスは良くきれいに伸びていると思います。ただし高域4ユニットのAngieなどに比べると高域がややもの足りない感はあります。
多少モニター的な傾向のあるAngieよりは、感覚的にはRogieに近いと思いますが、音楽を楽しむうえで全体にバランスが取れている優等生サウンドだと思います。

標準付属の2.5mmバランスケーブルを使うとさらに音場も広がり、いっそう迫力のある音を楽しめるようになる。音場がより整理されてヴォーカルも聴きやすくなるように思います。バランス化することで音の性格もやや変わってより正確でリアル志向になります。こういう感じでバランスとシングルエンドのケーブルを変えることでMichelleをふた通りに楽しむこともできます。

* TriFiとの比較

価格も近く3ドライバーで形も似ているのでTriFiと比較したいと言う人もいるかもしれませんので付記しておきます。結論的に言うと両者はかなり異なる別個のモデルです。

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TriFiとMichelle

TriFiはまずJH Audioの特別モデルで、Triple.Fi 10 proの10周年記念であり、貝殻のシェルや限定個数、日本限定など使用も特別です。MichelleはAstell&Kernとのコラボでのレギュラーモデルであり、Sirenシリーズの一員と言うことで位置づけは大きく異なります。
またTriFiは2Way、3ドライバーですが、Michelleは3Way、3ドライバーです。ドライバー自体もTriFiとは異なるということです。音の違いを一言で言うと、Michelleは優等生的な音で、TriFiは低音がかなりブーストされている点も含め、個性的というかやんちゃな音と言えます。

もともとジェリーハービーがテンプロを作ろうとしたのは当時の5proよりもさらにHiFi調、つまり整った音にするのが目的だったのですが、10年たつと2way IEMという意味も変わり、2wayで設計できる記念モデルならではのユニークで面白いモデルと言うことでTriFiは作られたのではないかと思います。対してMichelleはJH Audioの手ごろな価格帯を受け持つ戦略商品のような主戦力モデルと言う感じでしょうか。
Michelleは万人にお勧めできますが、TriFiは人を選ぶと思います(いずれにせよ、すでに入手困難だと思いますが)。

* まとめ

他のSirenシリーズに比べると、手頃な価格で音も良い、というのがMichelleのポイントです。優等生的な音の良さでさまざまなジャンルの音楽を楽しめ、音の広がりや立体感、楽器音の美しさなどきらっと光る点もあります。人によっては上級モデルよりも好ましいと言う人もいるかもしれません。

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Sirenシリーズはプロが使うことも前提にしているため、帯域バランス良く、楽器の位置関係がつかみやすいことも重要ですが、Michelleはより手軽で音楽をカジュアルに楽しめます。さらにコンパクトで他のラインにはない魅力もありますし、この価格で2.5mmバランスケーブルも付属して来ます。
コストパフォーマンスに優れたSirenシリーズの新ラインナップと言えるでしょう。

posted by ささき at 11:02 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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