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2016年11月17日

チタンカスタム、FitEar TITANレビュー

FitEar TITANはチタン製のシェルを使ったユニークなカスタムIEMです。

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TITANはAIRをベースにしていますので、まずAIRの解説をします。

* FitEar Air

Fitear Airはハイブリッドカスタムで、BAとダイナミックを採用しています。ダイナミックドライバーはFOSTEX提供です。ダイナミックをフルレンジとして使用し、BAを補助的に高音域に使う構成です。
またポイントは閉鎖空間でのダイナミックの動作効率の問題を改善するために普通は遮音性を犠牲にしてベント穴を使用しますが、遮音性を同時に満たすためにショートレッグシェルと言う工夫をしました。ショートレッグシェルによりステムの断面積が上がったため、逆に装着性や音導穴の形状などの工夫の余地もできています。

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外観的には空気ばねを減らすために工夫されたショートレッグが目を引きます。私みたいにカスタムをずっと使いこんでる人ほど違和感を抱くかもしれませんが、見た目の印象よりはきちんと耳にはまります。また実際に電車でもつかいましたが、普通のカスタムと同じくらいの遮音性があると思います。ダイナミックドライバーでかつカスタムの遮音性があると言うのがAirの特徴ですが、これは生きていると思います。

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音質はまずぱっと聴きはダイナミックの音が支配的と感じます。文字通りダイナミックで迫力のある音はダイナミックドライバーならではのもので、BAだと低音域のインパクトがか細くなりがちですが、骨太で厚みのある音再現はダイナミックドライバーらしいところだと思います。全体の音のつながりもよいですね。AK70みたいな元気でパンチがあるプレーヤーと合わせてロックポップが楽しく聴けます。
また聴きこんでいくとダイナミックの音ではあっても、独特の音再現も持っているのがAirのポイントだと思います。普通のダイナミックだと丸く鈍く聞こえるようなところが、鮮明に明瞭感があって、楽器の音再現もクリアに聞こえます。ここはBAの隠し味が効いているように思います。
今までのFitearというかカスタムIEMにはなかった音で、そうした点でも楽しめます。反面でいままでの須山カスタムの整ってバランスのよい音に慣れていると、ダイナミックの太い音にやや荒削りさを感じるかもしれませんが、ここはTITANで変わります。

* FitEar TITAN

TITAN(チタン)は名の通りに金属製のチタンで出来たシェルを持つユニークなカスタムIEMです。須山歯研はチタンの加工でもノウハウが豊富で強みがあります。

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Air(黒)とTitan

TITANはベースモデルがFitEar AIRです。なぜAIRがベースモデルかと言うと、他のBAカスタムではもともと密閉されたシェルであり金属化してもメリットが大きくないのではないかと言うこと、またチタンAIRを試作したさいに金属シェルが音質的にも低域の芯を締める効果があり、中高域にも良い影響がありそうなので決定されたということです。

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ただし、、現在のTITANはAIRをベースにしてはいますが、実はちょっとした秘密があり、ベースのAIRとはかなり異なるものとなっているようです。ここは書けないのですが、これは音質的にかなりTITANをAIRと差別化しています。そのため、AIRがベースと言うのはいったん忘れても良いのではないかと思います。

* ドイツケーブル

TITANはケーブルなしでの販売が基本です。おそらくTITANを買う人は一個目のFitEarカスタムと言うことはないと思いますのであまり問題はないと思いますが、ケーブルのついたキットモデルも用意されています。
そしてこのキットモデルがもうひとつのTITANの特徴です。それは「ドイツケーブル」です。これは正式には009というタイプのもので、名前からしてすごそうですがまさに加速装置がついているような速さも効かせてくれます。

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「ドイツケーブル」は正式発売がなされないまま、あちこちでささやかれてたんでひとつ幻のケーブルのようになっていますが、ここで公に出てきたわけです。これはドイツ製のビンテージ線を採用したハイエンドケーブルです。某所で発見されたものですが、数量はビンテージ線なので限定されています。そのため単体販売は行わず、TITANへの付属での提供となります。

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上は001、下はドイツケーブル。

私もしばらく前から使っているのですが、これは音質に与える影響ではこんなに大きなケーブルがあるかと驚愕したものです。現在でもCrystal Cable Nextと一二を争うレベルのハイエンドケーブルだと思います。音質についてはあとでまたカバーしますが、TITAN専用と言うわけではなく、私は335DWに使用していましたが、好評の335DWをさらに別の次元に引き上げてくれる性能を持っています。

* TITANの外観

傷つかないように別々の袋に梱包されてきます。
チタン製のシェルは質感が高く、はじめてJH Audioのカーポンシェルを見たときのように新鮮で豪華な感じがします。ちょっと重くて金属のアクセサリーのようにかっこよいですね。Ayaからの音導穴のホーンのようなテーパー加工もなされているのは芸の細かいところです。

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装着感も冷やっとした感じ。Airのショートレッグもあって、すっと耳にはまります。ショートレッグなのであまり耳の中が冷っとすることはありません。
実際に使ってみて気がついたことは、アクリルの普通のシェルとは遮音性が違うということです。音楽を止めた時だけでなく、カスタムに慣れてる人なら再生中でも「あれっ」と気がつくと思います。感覚的には周辺音がよりマイルドになる感じで、特に高音域のきつい音が抑えられて周囲の音やアナウンスがマイルドに聴こえます。
より静粛で、イヤフォンの細かい音を聞き取るのに良いといえるでしょうね。もしかすると金属シェルは意外とカスタムに向いているかもしれません(加工面を除けば)。

* TITANの音質

しかしながら本当の真価はチタンシェルの中身です。都合で書けないけど、ショートレッグ以外の秘密が隠されています。ヘッドフォン祭で聴いた時も、Airとは音の傾向が違うと感じたんですが、その時はドイツケーブル効果かと思っていました。しかし、実際に使ってみて、慣れたAirと慣れたケーブル(001)を使って同じ条件で聴き比べてみるとたしかに音が違ってより洗練された音質に進化しています。

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Airとは違うのだよ、Airとは。とついつい書きたくなってしまいますが、特に中低域の改善が劇的ですが、高域も良くなってます。前のAirはある意味ダイナミックらしい骨太で元気がありますが、ある意味で古いJBLスピーカーのようなぼんぼんと鳴る音でしたが、このTITANではより引き締まって現代スピーカーのような洗練された音質に変わっています。低域のぼわっとしたぶよつきがなくなり、まるでBAのようなすっきりした感じになっています。
このため、AirはFitEarの中では異色だったけど、TITANはよりいつものFitEarに近く334とか335のバランスの良さに近くなっています。Airのようにダイナミックドライバーの音が支配的というわけではなくなり、全体のつながりもよく、おそらくマルチBAと比較してもそれほど違和感はないでしょう。同じ001ケーブルで比べると、手持ちの335DW(SRなし)よりもむしろ明瞭感は高い感じがします。

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女性ヴォーカルがAirのように太めにならずに細身でしっかり芯があり、発声も明瞭でなめらか。アコースティック楽器の音も同様でアコギも音が太くあいまいにならずに、きりっと鮮明でシャープな音が楽しめます。
低域はレスポンスが速くパンチが気持ち良い感じ。
能率がAirよりはやや低いのでアンプはつけた方が良いかもしれません。お勧めはAK380+AMPです。

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Airのときは銅線のMoon Audio BlackDragonを使ってたんですが、ケーブルとしてはむしろ銀ベースのWhiplash TWagなどの方が合うようになった感じはあります。
TITANは001ケーブルでも高音質はよくわかりますが、やはりもっと良いケーブルを使いたくなります。

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やはりTITANの真価はドイツケーブルを使った時です。ドイツケーブル(009)は硬くて太いケーブルではありますが、音質の改善効果は並外れていると思います。001でも優れているTITANにマジックをかけてくれ、ちょっとありえない世界を作ってくれます。
レビュー的に書くと高域と低域の伸びがさらに高くなり、ワイドレンジ感が際立ちます。また音のクリアさが高くなり、エレクトロでもヴォーカルでも生楽器でもひときわ鮮明に再現してくれます。またビンテージ線らしく音にドライさが少なく、音楽的にも美しく聴かせてくれます。
また良録音だと水の流れる音、ベルの音、さまざまな楽器音がまさにマジックと言いたくなるようなリアルさを聴かせてくれます。試聴を終えても音楽を聴き続けたくなるような魅力を加えてくれます。

私が価格度外視でイヤフォン向けのいままで聴いたベストケーブルを上げるとすると、このドイツケーブルかCrystal Cable Nextだと思います。この二者はそれぞれビンテージと現代ケーブルの良さがあり甲乙が付けられないですね。あとはこの前聴いたWagnusのFrosty Sheepもハイエンドケーブルの雄と言えるでしょう。
こうしたハイエンドケーブルはみな、単にワイドレンジや透明感だけで語れない優れた個性を持っているのもまた興味深いことで、それが高性能イヤフォンにさらなる魅力を与えてくれます。

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もし価格的にドイツケーブルはちっょと、という場合には006ケーブルをお勧めします。これも立体感が際立つなかなかよい組み合わせです。

* まとめ

はじめはネタかとも思えましたが、実際に聴いてみると音的にもきちんとした意義と納得感があります。また重みや質感など官能的な良さもありアクセサリー的な魅力も兼ね備えているのもユニークです。かなり個性的でかつ音もよいカスタムIEMだと思います。

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また金属シェルカスタムの可能性を感じることもできるユニークな製品だと思います。
posted by ささき at 22:13 | TrackBack(0) | __→ 須山カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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