これまで完全ワイヤレスというと海外メーカーのみだったわけですが、W800BTはONKYOが発売する初の国産の完全ワイヤレスイヤフォンとなります。海外では昨年あたりから展示されていたので、開発はかなり早い段階と言えるのでしょう。ちなみに下記の公式ホームページに形式名を「完全ワイヤレスイヤホン」と明記されています。
http://www.jp.onkyo.com/audiovisual/headphone/w800bt/
なかなか人気で品切れのニュースが出た点でも話題となりました。注目度はやはり大きいようです。
以下はiPhone6またはiPhone7Plusで聴いています。
* ドライバー
W800BTのドライバーは8.6mmのダイナミック型ドライバーを採用しています。再生帯域は6Hz - 22kHzです。(SBCのみで22kHzまでいるかはともかく)
* スマホとの接続、左右ユニット接続
スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信方式は明記がありませんが通常のBTだと思います。片側だけの使用はできないと思います。
左右音切れはわりとあります。Earinと同程度だと思います。Apollo 7などに比べると少し多いですね。
また親機の右はiPhoneとの接続では通常はあまり音切れは気になりませんが、iPhone側のBTアンテナを手でふいに覆ってしまうと電波受信が悪くなりやすいです。Apolloはこうした障害にもうちょっと強いように思います。
W800BTは言葉が書いていないマニュアルなので、はじめはペアリングに戸惑うかもしれません。概念が新しいイヤフォンなのできちんと言葉の書かれた各国語向けのマニュアルがあった方がよいかと思います。
とはいえ、なれると簡単で電源両方同時長押しオンで左右ペアリングされて、あっさりiPhoneにもつながります。
またAria OneやApollo7にある接続したときやロストしたときの音声ガイドがないので不便を感じることもあります。(ピッとなるだけ)
* 対応CODEC
SBCのみに対応しています。ただし音質的な問題はあまりないと思います。
* チャージングステーション
完全ワイヤレスにおいてチャージングステーションはとても重要なコンポーネントですが、W800BTは(デザインは良いのですが)チャージャーがでかいのが難です。ケースにケーブル込みは良いように見えますが、実際はチャージャー自体の充電はたいてい家でやるためケーブルは持ち運ばないので、内蔵は不要だと思います。それより小さくして欲しいという感じです。
また充電の時にピンに刺すのがちょっと急いでいるとやりにくいので、他の完全ワイヤレスのように電極を使う形式にしてほしいと思います。ただしこれはがっちり差すため片側のみの充電がおきにくいのでその点では良いかもしれません。
* ユニット側での操作
W800BTの操作ボタンは電源のオンオフと通話機能のみで再生コントロールはできません。これはちょっと不便ですね。またW800BTは環境音ミックスのAudio Transparency機能もありませんのでアナウンスをちょっと聞きたいときに不便ではあります。
(今Audio Transparencyを実装してるのはBragiだけ。来年春にはKanoaが出ます)
* 通話機能
W800BTはマイク内蔵で側面ボタンで通話が可能です。
* 外観と使用感
箱・パッケージはよくできていてさすがOnkyoという感じです。付属品としてシリコンラバーチップが3サイズ付属されています。W800BTの場合は標準チップでよく合います。
W800BTの外観デザインもなかなか良いですね。大柄にも見えますが、ユニット本体は軽くて装着感も良好です。
ただLEDがうるさいので、これは装着したときに見えない位置につけて欲しいと思います。Dashみたいにデザインになっていれば未来的でよいのですが。
* レイテンシー
W800BTの問題の一つはレイテンシーがかなり大きいことで、映画ではあまり使えません。たとえば映画マエストロを見ると、練習場の倉庫の音響をみるためにパンパンと手を叩く(オーディオイベントでもやると思いますが)ところでかなり音がずれるのが分かります。Apolloはこんなにずれないですね。ただSBCうんぬんというよりはバッファリングしていることが大きいと思います。
* 音質
W800BTの長所の一つは音質が良いということでしょう。やはり他の完全ワイヤレスと同じく開放的な音空間が良く、ヴォーカルの明瞭感が高いですね。ONKYOらしくかちっとした明瞭感が感じられます。
ダイナミックにしては歯切れ良い点もプラスです。テンポの良い曲ではリズムに乗りたくなります。メーカーらしいこなれた帯域バランスの良さで、標準チップだと低域は十分あるが出過ぎてもいず、ヴォーカルもきれいに聴こえます。高域も良く確保されてますね。
音に明瞭感があり、これはAria Oneよりもかなり優れています。低音域も結構あって、低域の解像感もありますが、低域に関してはApollo7の方がより深みがあってインパクトもあります。W800BTは低域自体はわりと量感あるけれども、サブベースというか超低域が少し足りない感じ。Apolloの方が5.8mmと口径が小さいのですが、たぶんApolloのドライバーは振幅(ピストンモーション)大きいと思います。
欠点としては標準チップでの中高域が明瞭感はあるのですが、少しブライト過ぎてきつい点があります。音源によってはきつすぎるように感じるかもしれません。ただこれは人に(耳道に)も寄るかもしれません。
チップはコンプライTSかSpin fitが良いですね。コンプライもSpin fitも標準チップでの高域のきつさを抑えられます。Spiral Dotはちょっときつさを強調する方向にいきます。
コンプライだと驚くほど低域の量感があがり、音場の広さと合わせて迫力も上がります。
* まとめ
簡単にまとめると、長所は
- 音質が良い
- デザインが良い
欠点は
- チャージャーが大きい
- レイテンシーが大きい
- 左右音切れが気になる(Earinくらい)
まとめると、音響メーカーらしく音は良いけれども、完全ワイヤレスとしては完成度はまだというところ。映画観賞やゲームはやらないけど音楽だけの人にお勧めです。
本作は手探りで作った感がありますが、品切れになったほど人気が高いと思いますので、いろいろな人がいろいろ使ってみたユースケースを反映してまた次回作も期待したいところです。
こちらはフジヤさんのリンクです。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail115743.html
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Music TO GO!
2016年10月31日
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