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2016年08月25日

完全ワイヤレスイヤフォン、Erato Apollo 7レビュー

Apollo 7はErato AudioがKickstarterでキャンペーンを展開していた左右分離型の完全ワイヤレスイヤフォンです。まさに耳栓というコンパクトさが特徴でApolloの名は外観からでしょう。Erato Audioは所在は米国のようですがおそらく台湾系のメーカーで、少なくとも台湾で生産しています。
Kickstarterは終わっていますが、こちらで購入ができます。すでに出荷開始していますので在庫があればすぐ来ると思います。完全ワイヤレスは価格はだいたい$250-$300前後ですね。カラーリングのバリエーションも豊富です。
Kickstarterページはこちらです。
https://www.kickstarter.com/projects/1865494715/apollo-7-worlds-most-compact-true-wireless-earphon
購入はこちらです。現在は$279で販売しています。
https://eratolife.com/

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以下はiPhone5sないしiPhone6で聴いています。

* ドライバー

Apollo 7のドライバーはダイナミック型ですが、Micro driverとあるのでおそらくShureやゼンハイザーのような小口径ダイナミックだと思います。ベントがLEDわきについています。ダイアフラムはなにかの複合材(コンポジット)のようで、マグネットが強力なことをうたっています。後で書きますが実際Apollo 7のドライバーはかなり優秀だと思います。

完全ワイヤレスの場合にはハウジング内に基盤・バッテリー等が入るためにエアフローの扱いが難しくないBAの方が向いているようには思います。ただスペースが限られているならシングルドライバーでカバーできる帯域の広いダイナミックが有利ともいえます。Apollo 7はまさに後者の好例です。


* スマホとの接続、左右ユニット接続

スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信もBluetoothです。左右ユニット間の通信方式では一応NMFIにも言及して、NFMIは転送速度の点から音楽向けではなく、現状ではBTがベストだと述べています。なにかワザを使っているかどうかはわかりません。

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左右の音途切れはほとんどなく、Earinより優秀でAria Oneとほぼ同じくらいです。Aria Oneのときは大きいのがプラスに働いたかと思いましたが、Apolloのようなコンパクトさでこの性能は優秀だと思います。
スマホと親機との音途切れのなさはさらにAria Oneよりも優秀です。少なくともiPhone6だと接続したまま耳を完全に手のひらで覆っても途切れません。iPhoneをバックパックに入れても、尻ポケットでも大丈夫です。途切れさせる方が難しいと思えるくらい。BTも進歩しましたね。これはiPhone側の進歩もあると思います。iPhone5sとiPhone6だと普通の有線イヤフォンで聴いてもあまり音質差がありませんが、BT完全ワイヤレスで聴くと音質差はかなりあります。できればiPhone6以降で聴くことをお勧めします。

Apollo 7ではユニットについているボタンでいろいろと操作をするので手でかざした時にBT電波が切れると問題なのですが、いままでこうして切れたことはありません。ただしAria Oneと同様に空間(地下鉄構内や電車内)にはいった瞬間にぶつっと途切れることがありますが、また復活します。あとは問題なくなります。ここは引き続きちょっと謎です。たぶんWiFiと干渉してから避けるように調整するのだと思いますが、BTの最新仕様なのですかね。BTとWiFiの干渉については以前の記事をごらんください。この記事自体はKleerとBTの違いですが、BTがどのように他の電波帯と干渉しないように送信するかという基本も書いています。(いまはまた進歩しているかもしれませんが)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/109198956.html

BTのペアリングに関しては右(親機)とスマートフォンをペアリングさせてから、左(子機)と右ユニットをペアリングさせるというものでAria Oneと同じです。ただしApollo 7ではEarinのようにモノモード(左右別)でもペアリングできるようですが、推奨されていません。できれば自動で左右もペアリングしてほしいのですが、そうなっていないのは、おそらく自動で左右がペアリングされるのはEarinの特許ではないでしょうか。

ペアリングすると英語音声で知らせてくれるところはAria Oneと同じですが、音声内容は異なります。こちらの方が分かりやすいです。
まず右ユニットをボタンを押してパワーオンすると"Power on"と声がします。そのままボタンを離さずに押し続けると"pairing"と声がするのではじめはここまでやってペアリングさせてください。二回目からは"power on"までです。
次に左ユニットをボタンを押して電源あげると"power on"と左から音声が聴こえます。ここはすぐ離してかまいません。すると数秒後に両方のユニットから"headset connected"と声がします。すると左右が接続されます。
Aria Oneのように電源残量はしゃべりません。(iPhone側のステータスと通知で確認できます)

* 対応CODEC

APT-X, AAC, SBCに対応しています。

* チャージングステーション

完全ワイヤレスにおいてチャージングステーションはとても重要なコンポーネントですが、Apollo 7のチャージングステーションはかなりよくできています。ふたの開け閉めもスムーズで、アルミ製でボディの質感もなかなか高級感を感じます。格納するのはEarinとは異なって並列に入れるのでかさばりますが、外すときは両方を指でちょっと押すだけなので外しにくく格納しにくいEarinよりも使い勝手は良いです。ただEarinの方がコンパクトで筒型になるのはやはりポケットに入れるときにメリットがあります。ここは長短あります。

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またApollo7は格納する際に底面の電極端子が完全円形なので向きを気にしなくてよいという点をメリットとしています。これは特許とのこと。ただ円形でないEarinでもここはあまり問題にはならないとは思います。

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左:Earin、右:Apollo 7

チャージャーにはめるときはカチッとするまで押し込みます。チャージステーションへのはめ込みは機械的なロックだと思います。磁石ではありません。このとき自動的に(強制的に)オフになりチャージ始めます。Aria Oneのようにはめただけではチャージ始めないほうが良いと言う人もいるとは思いますが、個人的にはチャージャーにはめるとリセットされると考えている方が自然に思います。ただしチャージャーから外してもEarinみたいに自動ではパワーオンしません。
ユニットへのチャージは2.5時間で、再生は3-4時間ということ。
イヤフォン用のチャージライトは一つですが、一個だけはまってるときは点滅で二個ともはまってると点灯なのでEarinみたいに片チャージの懸念はありません。こういうところは細いけど完全ワイヤレスでは重要です。Earinより改善されてますね。


* ユニット側での操作

完全ワイヤレスの場合にはコンビニのレジでちょっとイヤフォンを耳から外すということがしにくいので、再生機能、またはAudio Transparencyなどの環境音ミックス機能が必要になると思います。Apollo 7はAudio Transparency機能はありません。現状ではDashのみ、秋ごろにはKanoaがAudio Transparency機能に対応します。

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Apollo 7の操作ボタンはちょっと小さいのでボタンを間違って押しやすいのではじめは注意が必要です。これはなれると気にならなくなります。これも完全ワイヤレスだとケーブルがないのでユニットの方向が分からなくなりやすいということがあります。

Apollo 7はボタン操作でポーズ/再生、スキップ/リワインド、音量上げ下げができます。これを一個のボタンでやるので左右をつかったものとなっています。つまりボタンは左と右で反対方向に使うのが面白いところです。

*右をダブルクリックで音量大、長押しでスキップ
*左をダブルクリックで音量小、長押しでバック
*シングルクリックはどちらもポーズと再生(左右関係なし)
これと通話制御です。

手でスマホを持っているときは音量はいいのですが、ブラウザやメールを操作しているときだと曲送りやポーズをするのにいちいち操作画面を出したりアプリ切り替えをするのは面倒なので、こうした操作スイッチがあった方が便利です。
スマホをカバンに入れてるときはもっと便利です。

* 通話機能

Apollo 7はマイクが付いているので通話することが可能です。

* 外観と使用感

箱・パッケージはよくできていて普通に売っている製品という感じです。実際にApollo 7の場合はKickstarterもほとんどプリオーダーと同じだったと思います。
コンプライT600が3サイズ、ラバー3サイズが付属されています。Apollo 7の場合は標準チップでよく合います。スタビライザーがついていますがエクササイズ以外は不要だと思います。

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ユニット本体は軽くて装着感も良好です。まさに耳栓って感じ。ステムが太いのが特徴ですが、装着感は良いです。ちょっとプラスチックっぽいところはありますが、チャージーと違ってこちらは電波を通さなければならないのでしかたないところでしょう。それを踏まえてユニットを質感高く仕上げるのも完全ワイヤレス設計の腕の見せ所かもしれません。

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左:Apollo 7、右:Earin

はじめは左右ユニットが分かりづらいかもしれません。なれるとERATOの文字向きで判別できます。
バッテリー残量は本機はBT4.0対応なので電池残量はiPhoneでは通知センターとステータスバーで分かります。本機では20%単位のようです。ユニットだけの電池の持ちは正しく測ってはいませんが2-3時間というところだと思います。完全ワイヤレスの場合はこれにチャージャーを組み合わせながら使います。

Aria oneのように明滅するLEDがうるさいが、側面についているAria oneと違って位置をずらして耳の後ろに隠れるようにできます。
個人的にはEarinで不便ないのでLED不要だと思いますが。。(落とした時に便利という人はいます)

* 音質

端的に言ってApollo 7はかなり音質は高いと思います。特にiPhone6で高音質アプリを使って聴くとBTイヤフォンの先入観を変えてくれるかもしれません。先日記事にしたBirds Requiemをカイザーサウンドにいれて聴いてますがこのくらい良録音でもかなり満足できます(もちろんハイレゾ再生できませんが)。

性格的には小口径ダイナミックということでEarinとAria oneの中間かなと予想した通りですが、思ってたより出音はしっかりしています。
これもまた他の完全ワイヤレスのようにぱっと聞いた時の音の広がりが良く、オーケストラ聴いてもスケール感があります。音はクリアで明瞭感がとても高いと感じます。楽器やヴォーカルがはっきりと聞こえ、音の純度が高いと思います。音調はソリッドでシャープ、音の丸みは少ない感じです。解像力も高く感じます。

Apollo 7の特徴はワイドレンジ感があることで、低域のパンチと量感、高域の伸びの気持ちよさの両方を感じられます。EarinやAria oneよりワイドレンジ感があります。下は深く上も伸びる感じで、ヴォーカルも前に出ないけど引っ込まない適度なバランスです。

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左:Apollo 7、右:Earin

特に低音は重みがありパンチを感じられます。Aria Oneは量感はありますが柔らかいので、低音のアタックとかパンチはいまでの完全ワイヤレスで一番あるかもしりません。量はベースヘビーに感じるAria oneほどではないですが、Aria oneは低域は量感あるがやや下の上でなってるという感じです。ただAria oneの方がゆったり滑らかな感はあるので好みの点もあるかもしれません。Aria oneはオールドスピーカーという感じでApolloは現代的でHiFi調です。

楽器のキレはBAのEarinほどではないが近い感じで優秀です。シャープさ、切れ味という点ではAria oneよりはかなり良いですね。有線無線混ぜても普及価格ダイナミックではわりと良い方だと思います。

イヤチップはラバーチップ大を使いました。これに関してはApollo7の音を活かすにはSpiral dotとかより標準ラバーが一番良いとおもいます。コンプライだとAria oneっぽい音になります。低域のパンチがちょっと鈍く、ちょっと音が狭くなります。


* まとめ

音質的にEarinもAria oneも良さはあるけど、トータルではApollo7が一番優れています。ワイドレンジでパンチがありシャープです。
また機能的にもEarinの問題を改善しているところもあるし、Earinが特許を押さえていそうな今一歩な点もあります。気になる点はチャージャーから出した時に自動でオンにならない点と左右ペアリングが自動でされない点くらいです。やはり先行したEarinの影響というのはあるかもしれません。ただ改善されている点のほうが多いと思います。

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Apollo7はコンパクトで音も良く、接続の途切れも少なく、チャージャーも良くできています。デザインも良く完成度が高いですね。
完全ワイヤレスもなかなか完成度が高くなっている気がします。
posted by ささき at 21:42 | TrackBack(0) | __→ 完全ワイヤレスイヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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