前に紹介したEarinにつづいて左右分離型の完全ワイヤレスイヤフォンであるfFLAT5 Aria Oneのレビューです。Earinで完全ワイヤレスという分野に興味が出てきて、これも買ってみました。
* ドライバー
Aria OneはEarinとは違ってダイナミック型のドライバーです。この違いがそのままEarinとの音の違いとなります。
ドライバーは古川電工との共同開発で新しいタイプのPET素材を使用しているようです。
完全ワイヤレスの場合にはハウジング内に基盤・バッテリー等が入るためにエアフローの扱いが難しくないBAの方が向いているようには思います。ただスペースが限られているならシングルドライバーでカバーできる帯域の広いダイナミックが有利ともいえます。この辺も今後考えていくところですね。Aria Oneはハウジング下部にベント穴があります。
* スマホとの接続、左右ユニット接続
スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信もBluetoothです。
前に書いたように左右ユニット間の通信は電波の通りにくい人体を挟むため、完全ワイヤレスではポイントになります。Earinでは壁面反射などの工夫がありましたが、Aria Oneではサラウンドアンテナ設計という頭を回り込む独自技術を採用しているという事です。詳細は分かりませんが、ここは筺体の大きさが幸いしているということもあるでしょう。
実際に左右の音途切れはほとんどなく、Earinよりずっと少ないと思います。スマホと親機との音途切れもあまりないですね。iPhoneをバックパックに入れても、尻ポケットでも大丈夫でなかなか優秀です。手でかざすとさすがに切れるので、耳につけたままボタンを操作しようとすると切れることがあります。
ただ閉空間(地下鉄構内や電車内)にはいった瞬間にぶつっと途切れることがたまたまありますが、また復活します。あとは問題なくなります。ここはちょっと謎です。
BTのペアリングに関しては右(親機)とスマートフォンをペアリングさせてから、左(子機)と右ユニットをペアリングさせるというもので慣れないとやっかいではあります。親機との初期のペアリングは青の点滅ではなく青赤の早い点滅ですので注意ください。二回目からもこの左右同士の同期は必要です。Earinは左右のペアリングは自動なので便利でした。ただしW800BTもAria One同様のペアリングだったので、Earinが工夫していると言うべきでしょう。
ペアリングすると英語音声で知らせてくれるところもユニークです。(立ち上げ時に電池残量も音声案内します)
* 対応CODEC
APT-Xに対応していますが、なぜかAACには対応していません。ただし実質大きな問題ではないと思います。後述するように音質は問題なく良好です。
* チャージングステーション
チャージステーションへの合体は磁石のようでしっかりしてます。ちょっと残念なのはチャージステーションが(Earinに比べると)大きい点で、本体が大きいから仕方ないのですが、Earinだと店に入るときとかチャージステーションごとポケットに入れられる点がけっこう便利です。完全ワイヤレスの場合にはイヤフォンをケーブルでひっかけて耳や首から垂らしておけないので、一時的に格納する場所には意外と気を使います。
チャージもボタンを押さないとチャージされません。(earinは自動というか勝手に始まる)。ただしこれは長短あって、わざと継ぎ足し充電したくないという場合もあるとは思います。
また充電中は左右ともLEDが光りますが、EarinだとLEDがまとめて一個なのでチャージステーションに片側だけはめそこなって、片側だけ充電されるということがありますので、当たり前でもこれは便利です。Aria OneだとイヤフォンごとにLEDがあるので片側充電は避けられます。
* ユニット側での操作
Aria Oneは再生/ポーズがサイドボタンで可能です。ここも完全ワイヤレスの場合にはコンビニのレジでちょっとイヤフォンを耳から外すということがしにくいので、こうした再生機能、またはAudio Transparencyなどの環境音ミックス機能が必要になると思います。Aria OneはAudio Transparency機能はありません。(KANOAやDASHが対応しています)
* 通話機能
Aria Oneはマイクが付いているので通話することが可能です。
* 外観と使用感
ここはEarinに比べると質感的にはいかにもプラスチックという感じでいまひとつです。
大柄ですが、フィットは割と良くてあまり苦になりません。イヤチップもこだわることがあり、それなりに音に影響しますが、いわばダイナミックの大味の音のためEarinほどチップにはうるさくないと思います。標準のラバーかコンプライも3種類ずつではじめはこれで十分だと思います。ただ私はJHAのラバーがぴったりなのでこれを使ってます。
音量はたっぷり取れるので足りなくなることはないでしょう。使用の難点はLEDがうるさいことで、ここはオンオフスイッチがほしかったところです。
バッテリー残量は本機はBT4.0対応なので電池残量はiPhoneでは通知センターとステータスバーで分かります。本機では10%単位のようです。
それと完全ワイヤレスイヤフォンを使っているとわかりますが、ケーブルがないと絡みを解くこともなくケースやバッグから出すのがとても容易なので、使用頻度があがります。特にEarinやAria Oneのようにチャージングステーションが完備されていると出し入れが楽なので、その辺が面倒に感じることもありません。ただし前に書いたようにケーブルがないのでストアのレジや車内アナウンスを聞きたいときなどちょっとしまうのが難になります。このため、ケーブル付きのイヤフォンとはまた異なった運用がでてくるでしょう。
* 音質
Aria Oneでの音質はなかなか良好で、外観のプラスチックなチープさはすぐ忘れるでしょう。
ダイナミックだからEarinとは方向が違うけれど、ダイナミックらしいパンチのあるベース多い音が楽しめます。ベースが量が多いというより深みを感じます。
またAria Oneでは広がり感が独特で、ヘッドホンみたいなゆったりした音を感じます。うたい文句通りにドライバーの性能も高いと思いますが、スピーカーでいえばウーファーが前後に大きく振動して大量の空気を動かしているのが分かるという感じの音です。
また音自体も団子になりにくい程度には明瞭感があります。ただBAのEarinほどは切れがよく明瞭感が高いわけではありません。
それと結構良いと思うのは楽器音が歪みなくすっきりクリーンに聴こえる点です。なめらかで音楽的ですね。ヴォーカルも明瞭でベースが多いけど埋もれる感は少ないと思います。ただコンプライだとベース過多になりやすいかもしれません。
低域は十分な量感があり重い良い低音域で、ここはEarinよりさすがに優れてます。アタックやスピード感のあるEarinのベースも良いけど、やはり一般にはAria Oneのほうが迫力あって良いという人は多いでしょう。ただ全体的に上下の帯域レンジはやや狭い感はあります。
鋭角なEarinに比べると丸い音ですが、悪い意味での丸いとか鈍いというよりスムーズでなめらかというべきかもしれません。コンプライだと低域が強調されるけど、ラバー系でフィットできるものだと音のバランスは悪くないと思います。
* まとめ
製品としてみると、Aria OneはスマートなEarinに対し、泥臭いが確実に動作するという印象です。
Earinは機能も再生に特化してシンプルだし磁石でくっつく中箱とか随所に洗練されててアップル製品にならった感があります。Aria Oneは質実剛健、機能もそこそこ揃ってる点が良いと思います。
Aria Oneは外観がいま一つですが、音は満足感が高いと思います。接続の音切れが少ないのも良い点です。
Earinもケーブルがないせいで音質面でプラスもあるかも、た思いましたがAria Oneもそう感じる点もあります。この辺もちょっと注視していきたいところです。
Music TO GO!
2016年08月22日
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