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2016年08月08日

テスラドライバーイヤフォンの後継機、AK T8iE MkIIレビュー

AK T8iEは昨年の暮れに発売され好評だったモデルの後継機がAK T8iE MKIIとして発売されました。

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テスラドライバーや独特のハウジングなど基本設計はほとんど同じですがいくつかの改良点があり、内容的にはグレードアップにもなっていますが、価格は同じで前モデルの置き換えとなります。
製品ページはこちらです、
http://www.iriver.jp/products/product_137.php

* 特徴

AK T8iE MKIIの特徴はテスラ・テクノロジーを搭載していることです。テスラ・テクノロジーとはT1ではじめて採用されたベイヤーの独自技術です。これは前モデルではじめてイヤフォンとして採用されたものです。
基本設計に関してはこちらの前に書いたAK T8iEの記事をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/430840054.html

MKIIでの改良点は大きく2つです。
1. 標準ケーブルが変更されています
線材には高品質の銀メッキ銅線を使用し、スリープも改良されてタッチノイズも減ったということです。
前モデルと同様に2.5mmバランスケーブルも同梱されています。またMMCX端子が改良されたようです。
2. ユニット自体にも改良があります。
ボイスコイルが新型になり、大音量でも破たんせずに確実に振動版を駆動し、さらに低ひずみ化を図ったということです。

IMG_8847_filtered[1].jpg  IMG_8854_filtered[1].jpg  IMG_8867_filtered[1].jpg

AK T8iE MKIIは全モデル同様に立派な箱に入っています。前と同じに引き出し式のアクセサリーボックスですが、ケーブルが銀色に変わったので、宝石箱的な感覚がより強くなったように思います。バランスケーブルついてる。ケーブルはかなりきれいになりました。

* 音質

まずは普通の3.5mm(シングルエンド)でAK380で聴いてみました。
パッと聴いてすぐに前作より音がだいぶ向上したとわかるレベルで、前のモデルを持っている人には比較しなくても差はよくわかるくらい大きいと思います。全体に透明感が高く音が明瞭で、ギターなど楽器音の歯切れの良さが印象的で、ダイナミックらしくウッドベースのインパクトも良く、バスドラや打ち込み音のインパクト・アタック感が強いのも印象的な特徴です。楽器音もヴォーカルも前モデルよりもはっきりくっきりと聴こえます。また前モデルよりも音が整っていてより楽器音がより正確に出ていると感じられます。特に中高域の透明感が秀逸だと思いますね。

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同梱のバランスケーブル

後で書きますが、ケーブルの差も大きいけれど本体の差もあると感じられます。低域から高音域まで解像度が高く、音の広がりも良くなり、音の細やかさとともに音世界の深みが感じられます。
2.5MMバランスで聴いてみるとシングルエンドとバランスで個性の違いが前よりも大きくなったと思います。

またコンプライとの相性もよりなくったように思う。前はちょっと苦心してもダースベイダーチップの方が良いと思ったけれども、MK2ではコンプライを使ってしっかり遮音したほうがMK2の音世界の深みをよりよく味わえるようにも思える。

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ケーブルについてはあえてリケーブルする必要はないくらい優秀なケーブルが標準でついてくるれども、さすがにCrystal Cable NEXTは別で、音質をより整えて一段高めてくれると思います。ただ標準ケーブルのままでもほとんど満足できると思います。Campfire Audioもそうですが、最近は標準ケーブルで満足できるというのが増えてきましたね。

* 前のモデルとの音質の比較

前のモデルと3.5mm同士で音質の差を聴き比べてみると、まず倍音たっぷりの古楽器を使ったバロックバイオリンソロでは中高域が前のタイプはダイナミックらしい丸みを帯びた音であるのに対し、MKIIではBAを思わせるようなシャープさが感じられます。またシンプルな曲でもMKIIの方がより音世界の深みが感じられます。
元気のあるロックやエレクトロを聴いてみると、低音域もベースやドラムスがMKIIではタイトで締まっていて、前のモデルではややゆるいということがわかります。
またこうした細部に注目しなくても、全体的な音の感じでMkIIはより深みがあり、多くの音が聞こえるように思います。

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右がMKII

次に旧モデルのユニットをMkIIのケーブルに付け替えてユニットの違いだけを確認してみます。
するとたしかに銀コートらしい透明感とシャープさはあがるけれども、MkIIの音にはなりません。MKIIの音はこうしてユニットの差だけを聴き比べてもよりピュアで透明感があり、整っていて、より低域に深みがあります。
やはりケーブルだけではなく、ユニット自体の差も大きいと思えます。ぱっと聴きの透明感ではケーブルの差が大きいかもしれませんが、聴きこんだ場合の音の深みや音の純粋さではむしろユニットの差の方が大きいかもしれません。いわばよりテスラらしいというか、マグネットが強力に振動板を動かしたり制御しているって感じがあります。

* まとめ

前モデルもやや丸みを帯びた音がダイナミックらしくてよかったと言えるけれども、MKIIは音質的にも確実に向上していてダイナミックとBAの良いとこどりのような進化を見せていると思います。ケーブルだけではなく、ユニット自体の進化も大きいと感じますね。
前モデルとはインターバルが短いけれども、ベイヤーとしては初のイヤフォンということで試行錯誤でイヤフォンならではのテスラドライバーをより完成の域に近づけたという感じなのでしょう。

写真 2016-08-07 10 15 48[2].jpg
AK70とAK T8iE MKII(コンプライチップ)
posted by ささき at 21:44 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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