Music TO GO!

2016年07月11日

UM Mavisカスタムレビュー

MavisカスタムはMavisユニバーサルをベースにカスタム化したものです。Maverickカスタム同様にUnique Melodyと日本のミックスウェーブとの共同で開発された製品です。

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ミックスウェーブに聞いてみたところ、MaverickとMavisは同格のモデルとなると言うことです。個性の異なるモデルを同じ価格帯に二つ用意したという感じです。
ミックスウェーブのホームページはこちらです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=Unique+Melody&cell003=MAVIS&id=124

* Mavisカスタムの特徴とMaverickとの差異

Mavisカスタムの基本的な仕様は3Wayの4ドライバーで、高域xBA1、中域xBA1、低域x2ダイナミックのハイブリッド構成です。
ダイナミックドライバーを使用しているのでベント穴(またはバスレフポート)がフェイスプレートに空いていますが、Maverickとは異なり二つ設けられています。これはドライバーが二基あるからというよりも、二穴合わせて大きな面積を取るためのようです。ベントにはなにか弁の機構があるようなので、ベント機構を大型化するのは難しいので二基にしたという感じでしょうか。これも試行錯誤の結果だそうです。ダイナミックドライバーはMaverickとは異なり、小口径のものが2基採用されています。
スピーカーでも30cmウーファー一発か、より小さいのを二発かという選択がありますね。スピーカーの場合は小口径二発の方がスピードとか正確さでは上だけれども、大口径一発には独特の迫力があるという選択だと思います。ただイヤフォンの場合にはまずサイズ制約があるので必ずしもこう通りというわけではないでしょうけれども。

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Maverickカスタム(左)とMavisカスタム

MaverickとMavisの関係は、ある意味兄弟ともいえ、また異なるものだともいえるでしょう。
MaverickとMavisは低域(20-40Hz)の質の向上というテーマに関しては、それを異なる手段(Maverickなら大口径ダイナミック+BA、Mavisなら小口径ダイナミック2発)で実現した兄弟機ともいえる面もあります。しかしながら、それよりも違いはむしろ全体的に異なった音の個性を目標に作られたと言う方が正しいようです。(中高域のBAドライバーもMaverickとは異なるようです)
それはMaverickでは楽器音を鮮明に聞くと言うことを目指しているのに対して、Mavisでは音楽全体を楽しく聴くというコンセプトのもとに設計されているからだそうです。

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また新規投入された技術もあります。それは音導管に金属の合金チューブを採用している点です。これはマルチドライバーIEMを作る上で音導管が増えてくるとそれ自体が曲がったり劣化したりするリスクがあるため、音を正しく出す保障として合金製を使っているということのようです。つまり、音を設計通りに確実に出すためであり、音を変えて良くするためではないということです。またカナル部分の強度を上げるという意味もあるようです。


* パッケージと外観

Mavisカスタムは立派なボックスに入ってきます。

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カスタムの場合はプロ用(つまり業務用)になるので大抵は簡素に段ボールにくるまってきたりしますが、ユニバーサルのような立派な店売りのパッケージに入っていました。

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このカスタムシェルはDalbergiaというウッドフェイスプレートを使っています。
http://www.mixwave.co.jp/c_audio/caudio_product/unique_melody.html

* Mavisカスタムの音質、Maverickとの音の差

ダイナミックが二発入っているのでたっぷり一週間くらいエージングしてから、AK380単体と標準ケーブルで聴きました。
ぱっと聴いて思うのは音の広がりがとても三次元的で空間に広がるようだ、ということです。はじめて聴いたのはヴァイオリンのソロなんですけれども、広い教会の響きの良いホールで朗々と音が響きながら鳴っている感じがよくわかります。全体にきつさも少なく、スムーズな感じです。

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次に思ったことは低音がとても深く豊かであるということ。とてもワイドレンジで堂々たる音再現です。上に透明によく伸び、下に深くよく沈みます。この低音の質感は独特の重みを感じられます。低域が豊かといっても、低音が誇張されているというのではないと思います。低音の質感が優れているという感じでしょうか。ヴォーカルは埋もれずに鮮明に浮き上がるように聞こえてきます。

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またMavisではとても線が細く繊細に聴こえます。これは弱弱しくか細いという意味ではなく、細いペンで鮮明に美しく文字を書いている感じでしょうか。音の細かさ、情報量の豊富さという点でももちろんとても優れていますが、Mavisカスタムで特徴的なのはそうした細かな音のつふつぶが全体的に広がりの良い音空間を滑らかにスムーズに作り上げているという感覚です。Mavisはやや客観的で少し引いた感じの音再現で、音楽を俯瞰的に見せるように聴かせてくれます。たとえばエンヤのような雰囲気感を生かしたい曲を聴くにはうってつけではあります。美しい音楽を美しく聴ける優美さがあるといいましょうか。

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MaverickカスタムとMavisカスタム

この点でMaverickとは好対照かもしれません。Maverickではもっと耳に近くステージの中に入り込むように音を体験させてくれる感じです。Maverickはもっとエネルギッシュで、Mavisは冷静で静的です。
ただMavisとMaverickで共通してるのは楽器音のキレがシャープで鋭く、音の明瞭感が高いという点だと思います。違いは音全体の表現が音象の描き方で積極的に出てくるか(Maverick)、少し客観的的で空間的か(Mavis)、という点でしょうか。ですからMavisの音が音楽的とか空間的と言ったとしても、それが甘いスローな音ではありません。いわゆるウォーム感のある音ですが、鈍いとか甘いではなく、きりっとシャープで柔らかいという感じです。

はじめにMavisで聴いたバイオリンのソロ(Beyerのバロック・バイオリン)をMaverickで聴くと、ホールにバイオリンが間接音で響いているというよりも、アーティストの近くから直接音でダイナミックに音の響きを受けているという感じになります。バロック・バイオリンという古楽器らしい特別な響きをもった音を近くから直接楽しむのがMaverickなら、ホール全体の音の広がりを楽しみながら良い席で音楽を聴くのがMavisという感じでしょうか。

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こう書いてくるとMavisはクラシック向けのように聞こえるかもしれません。それはそれであっていますがMavisでメタルを聴いてみるのもいいです。ダイナミック二発の威力か、やや能率が高いせいかパワフルさもかなり良いと思います。また音がかたまりのように飛んでくるのではなく、迫力のある中にもやや整理されて聴こえるので、メタルをあくまで音楽として聴ける感じですね。ドラマーとかギタリストの神プレイにこだわりがある人にもよいでしょう。

冒頭でMaverickとMavisの違いを少しかきましたが、Maverickでは楽器音を鮮明に聞くと言うことを目指しているのに対して、Mavisでは音楽全体を楽しく聴くというコンセプトはそのまま生かされていると印象を受けます。その中で、MaverickとMavisの低域アプローチの違い(ダイナミック2発かダイナミック+BAか)がうまくいかされているという感じです。

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もうひとつMavisで特筆すべき点は意外と標準ケーブルが良いということです。Maverickではすぐにリケーブルしたほうが良い(Beat Signalがお勧め)ですが、Mavisでは標準ケーブルのままでとても優れた音再現を楽しめます。

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やはりリケーブルしたいという際にはMavisは2ピン端子ですが旧UEのようにケーブル端子は引っ込んでいる点に注意してください。Maverickは引っ込んでいません。
Beatはうまく端子に入ります。SignalよりもSuperNovaなんかがよりワイドレンジにしてくれるようで透明感も上がります。ただちょっと硬めになるので好みはあるかもしれません。

* Mavisカスタムとユニバーサルの比較

次にMavisユニバーサルと比較してみました。

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Mavisユニバーサル

ユニバーサルの方が筺体としては一回りコンパクトに感じられますが、イヤフォンとしてはやや大柄ではありますね。イヤチップを手元にある自分の耳に合うものに変えて試聴してみました。
だいたいの音の個性はカスタムと似たような音ですが、カスタムとユニバーサルではMaverickで感じたように音質はかなり違います。ドライバーは同じで異なるのはチューニングのみという点はMaverickの時と同じですが、音はやはり違います。
低域がより深く沈み、より細かい音が聞こえる感じはカスタムという遮音性の高さから予想される通りの差ですが、この差はスケール感の差となって、カスタムの方がより広い感じが際立ちます。

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MavisカスタムとMavisユニバーサル

またMaverickのときもカスタムとユニバーサルを比べた時に感じたのですが、Mavisでもカスタムの方が全体により鮮明で濃く感じられます。この違いがよくわかりやすいのは低域の違いで、Mavisユニバーサルだと軽く聞こえるペースやドラムスがカスタムではより重く、よりパンチが感じられます。ただし良く聴くと低域のふくらみという点ではカスタムもユニバーサルもそう変わりはないように思います。たぶんカスタムでもより鮮明でキレ良く感じられるという点でそうしたパンチの違いも出てくると思います。なおベントはチューニングには使われないということです。

* まとめ

スピーカーの世界には音像型と音場型という言葉がありますが、それを借りて言うとMaverickが音像型でMavisは音場型であると言えます。
そうした設計のアプローチの違いがそのまま聴覚的にも現れている感じです。Mavisカスタムはホールトーンを感じさせる音場の広がりがあって上質感を感じられます。

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音楽のジャンルはMaverickスタムがハイスピードのジャズトリオに向いてるのに対してMavisカスタムはクラシックのオーケストラという感じですが、実のところMavisカスタムはわりといろいろとジャンルに合います。ジャンルというよりはリスナーの音楽へのアプローチというべきでしょうか、音楽に飛び込むのか(Maverick)、音楽を俯瞰的に楽しむのか(Mavis)という感じです。

そうした意味ではMaverickが優れていたのと同様にMavisも優れたモデルであり、冒頭に書いたようにMaverickとMavisは同格のモデルとなり個性の異なるモデルを同じ価格帯に二つ用意したという意味が分かるのではないかと思います。

posted by ささき at 22:24 | TrackBack(0) | ○ カスタムIEM全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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