この前の左右分離型ワイヤレスイヤフォンの記事を書いていたら自分でもやはり試してみようと、いまさらながらEarinを入手しました。
Earinはスウェーデンの会社によるワイヤレスイヤフォンで、Kickstarterでも成功を収めました。ドライバーはBAシングル(Knowles SR)です。
特徴はBluetoothを使用していて、左右分離型であり左右ユニットを結ぶケーブルを排したという点です。この辺は下記リンクの前回記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439219276.html
KickstarterのときはBTの分離型は面白いけど製品としての音質的にはどうかなあと見送りしたのですが、結果的にはやはりあのとき入れとけばよかったと思います。Kickstarterは玉石混交ですが、Earinはあたりですね。
パッケージはいわゆるApple風というか北欧風というか、シンプルで感じのよいデザインで、中箱がマグネット閉じになっているのもアップルっぽさを思わせます。やはりスタートアップのお手本はアップルなんでしょうね。
耳栓型ともいわれるEarinはさすがに小さく軽いと感じます。付属のカプセル(ケース)はモバイルチャージャーも兼ねていますが、価格にしては高級感もあります。
このほかにiPhoneのアプリも用意されています。アプリではBluetoothでユニットと交信してバッテリー残量の確認、左右のバランス調整、低音増強ができます。スポーツに使う時には本体を耳たぶに固定しておけるラバーのスタビライザ(耳とめ)もついています。
Earinの特徴としては簡単に使えると言うことです。左右ユニットはカプセルから出すと電源オンとなり、しまうと電源オフとなります。またカプセルに格納するとカプセルから本体ユニットに充電がなされます。カプセルは家で充電しておきます。本体もカプセルもフル充電に要するのは75分とのことです。
Earin本体はスペックでは2時間50分もつとされています(ステレオモード)。カプセルは2-3回のチャージができるので、カプセルと組み合わせることで一日の持ち出しには不都合のないように出来ています。実際に使ってみると通勤ではまず不便を感じないと言うか、思ってたよりも電池はもつ感じです。バッテリー残量はアプリから確認ができます。またこのベータカプセルのようなチャージング・カプセルに収めて使うと言うのがガジェット感覚をくすぐります。
本体ユニットは基本的にはステレオモードと言って左右のユニットをペアでイヤフォンとして使いますが、モノラルモードがあって、片方だけをカプセルから出すとその片方とモノラルで再生ができます(ラジオとか)。これは左ユニットだけではなく右側だけでも可能です。これは左右通信をBluetoothにしている利点ですね。DashなどNFMIを左右間通信に採用しているとこれはできません。
はじめに使用するときには普通のBluetoothデバイス同様にペアリングが必要ですが、これは左とだけやれば済みます。(Earin Lと出ます)
私はiPhone6とAK380を使いました。EarinはApt-x対応です。ボリュームを上げて最大音量にするとプッと警告音が左から出ます。
モノモードで右だけの場合は右だけケースから取り出して、Earin Rとペアリングします。同時に二つ取り出していると自動的にEarin Lとのみペアリングします。
まず書いておかねばならないEarinの問題点はイヤチップの少なさです。
イヤチップは標準サイズラバーがひとつと、コンプライが二つはいってきます。しかしいまどきのイヤフォンの替えイヤチップとしては少なすぎます。Earinのレビューをみると低音不足とよく書いてありますが、その原因はこのチップの少なさだと思います。耳に合うイヤチップを使わなければ当然低音は漏れます。
また、これは北欧らしいというかEUらしいところですが、マニュアルなどを読むと意図的に小さいサイズのチップにして遮音性を下げて外の音が「安全に」聞こえるようにしているふしもあります。
おそらくガジェット的にEarinを購入するIT好きの人はこういうところは慣れていないと思いますので、小さいサイズを使って低音でないよということは多々あるでしょう。これは逆に言うと、たんまりとイヤチップを持っている私のようなマニア層はEarinを音質的に使いこなすことができると言うことです。イヤチップのサイズはCom,plyで言うとTS400で、外径は4mです(公式情報)。
耳に入れるときは少しひねってベスト位置を探すと良いように思います。基本はL/R文字が後方(背面)に来る位置です。
そしてEarinの良い点はやはり自由で快適なことです。
このプレーヤーとのケーブルがなく、さらに左右を結ぶケーブルもないというのはすごく快適です。私は前にゼンハイザーのMX W1も使ってましたが、これは装着性に難があり、そうした真の快適性というのはつかみにくかったんですが、Earinは慣れたカナル型であり落ちにくいし、ずれるのを気にする必要はありません。また電車でも使えます。とにかく軽く、上を見たり、横を見たりするたび、頭を動かすごとにいろんな面で自由さを感じられます。カバンを肩から外すときにもそうです。これは使わないとわからないと思います。
音は端的に言ってとても良く、思ってたよりも良いです。
特に立体感や広がりは独特の良さがあります。もしかすると左右ユニットの位相を何らかの方法で調整しているのかもしれませんが、あるいはケーブルがないことによるクロストークの低減やグランドを共有してない利点があるのかもしれません。そう思ってた方がケーブルレスのメリットがありそうで面白そうです。
そしてきちんと耳に合うチップを入れて、フィッティングをきちんとすると低音はシングルBAとしては十分以上によく出ます。けっこうパワフルでドラムやベースも良いです。すこしいろいろチップを試してみましたが、コンプライだとうまくはまると中低域はロックやポップで気持ちよくインパクトを感じられるくらいの低域レスポンスはあります。
イヤチップでは音茶楽スピンフィットやJVCスパイラルドットも試してみましたが、こうした工夫したイヤチップはなかなか音質を良くあげてくれます。Earinの方もそれだけ特性は素直だと思います。
左:スピンフィット、右:スパイラルドット
シャープさや音の細かさはiPhoneで使う分には不満に思わないでしょう。音色は悪くなく聴きやすく、変にドライになりすぎない点は悪くないです。
ただクラシックみたいにレベルが低い録音だとちょっと音量が取れにくいかもしれません。ロックポップのコンブの効いた海苔波形の録音だと問題ありません。
またAK380だとAptxは認識しますけど、ボリュームが上がちょっと足りない気がしますね。またAK380のような高性能プレーヤーと組み合わせると、Earinの音質は物足りなさが出てしますいます。悪くはないけどやはりそれなり、シングルBAなりというところですが、iPhoneと組み合わせる分には相性もあるんでしょうがかなり良いと思わせます。音質レベル的にはその辺でしょうか。
別なデバイスとのペアリングはいったんカプセルにしまってからの方が良いかもしれません。
そしてやはり問題点というと右ユニットが音切れすることです。定期的に途切れる感じで、おそらくバッファにためてるデータがなくなると切れるという感じに思えます。実際に使ってみると右の音切れって思ってたよりはあまりないと思います。たまに思い出したように音が切れると言う感じです。途切れる時間はたいてい1-2秒以下だと思います。
ただしこの間隔がいまひとつ環境依存なのかが良くわからず、ないときは数曲に一回程度ですが、ある時はわりと一曲で2−3回途切れます。また右チャンネルがしばらく聴こえなくなり、落ちたかと思うと1-2分後に普通に復帰すると言うこともあります。この途切れているときに左ユニットを右ユニットの近傍に持ってきても復帰しません。電波というよりソフトウエア的な問題にも思えますが。。そしてEarinの装着中に手のひらで耳を覆うとやはり途切れやすくなります。
Wall Street jounalにあったような室外と室内の右音切れの差はあまり明白ではないように思えます。この辺はこのタイプの実験目的に買ったところも大きいので、そのうち左ユニットを右ユニットの見通しの取れるところに置いて長時間使ってみるとかやってみようと思ってます。
遅延はわずかにありますが、選曲時に少し気になる程度です。サポートページにはバッファリングにより0.5秒の遅延があるとされています。動画やゲームには不向きですが、VLCなど動画の方の遅延機能があるものは使えるかもしれません。
* まとめ
やはりケーブルの束縛から完全に離脱した解放感は格別のものがあると思います。それとガジェット感も味わえるのがEarinの魅力です。音質もシングルBAとしては悪くありません、というか結構良いと思います。iPhoneと組み合わせると十分良い音質で満足でき、とくにジャンルは選ばないと思います。
また右の音途切れはあるのである程度それが許容できる人にお勧めです。
しかし、問題点はフィッティングです。イヤチップによるところがすごく大きいというのが悩ましいところですね。と、伏線を張っておいて、、
Earinは国内版が下記リンクのフジヤさんのような専門店やAmazonで購入できます。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail95805.html
Music TO GO!
2016年07月02日
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