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2016年04月26日

JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #2 音質編

Sirenのフルメタルジャケットシリーズの音質編レビューです。
今回は機種ごとににコメントすると言うよりも、いろいろ途中で取り交ぜて比較を行い、各機種の個性差を知ると言う点をポイントにおいてみました。試聴に使ったのはAK380AMPコンボです。

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まず主にLaylaIIの音のコメントから始めます。LaylaIIはフラッグシップらしくメタルボディと中身がぎっしりち詰まった感があり高い質感を感じさせます。ただし、やや重さを感じます。
音質もフラッグシップらしい堂々たると言うべきな性能レベルの高さを感じさせます。すべてのモデル中最もワイドレンジで高い音と低い音の範囲がとても広く感じられます。またもっとも音が整っている感じがします。音が整っているという意味で言うと2番目はAngieIIかもしれません。RoxanneIIは楽器音自体の音再現はクリーンと言うか歪み感は少なくシャープでキレ味もよいのですが、低域が強めでバランスが良いというのではなくちょっと個性的です。
そのように周波数特性という点ではLaylaIIはヴォーカルからバイオリン、ベースギターまでさまざまな楽器や声が等しくそれぞれが主張し過ぎずに聞こえます。音場も広く、スケール感があって楽器や声は程よい感覚で広い音場に整列して聴こえます。対してRoxanneIIはぐっと密度感が高いというかコンパクトな音場に楽器や声が圧縮したように重なりあって聴こえます。RoxanneIIは良く言うと密度感があって熱く、悪く言うとLaylaIIと比較して少しごちゃごちゃして聴こえます。AngieIIはLaylaIIに印象は似ていますが、もっとコンパクトであっさりとして感じられます。

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LaylaIIの解像感はとても高く、音自体が濃い感じですね。この点では同じくらい濃いのはRoxanneIIですが、AngieIIは比較的という意味でやや濃さは少なくなります。といっても他社機種に比べるとAngieIIでも濃い口でしょうけれども。
LaylaIIはダイナミックレンジを広く取った大編成のオーケストラもの(ベルトのin principioなど)てば圧倒的なスケール感があります。また器楽曲やアコースティック音楽ではRoxanneIIよりも楽器の分離と間隔がより広く、ひとつの楽器音が鮮明に聞こえるので見通しが良く音楽を理解することができるという感じがします。
端的に言うとLaylaIIのほうがRoxanneIIより余裕があります。高域・低域の広さの意味でも、音場的な意味でもそうです。

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Layla I とLayla II

次にLaylaIとLaylaIIの比較をしてみます。同じケーブル(II世代)で付け替えて比較してみると、ヴォーカルの明瞭感がIIではより明確にはっきりと聴き取れ、やや前に出て聴こえます(ほんの少し)、高域はよりクリアで低域はより深くより締まって聞こえますね。全体的にもIIではスムーズさが少し良くなっているように思う。差はすごく大きいというわけではないけれども明確にあると思います。(一個しか比較してないので個体差ではないとは言い切れませんが)
これはいつもLayla(I)で聴いていたオーナーだとぱっと聴いて「あれ、違うかも」と思うくらいにはわかることです。そして直接比較するとそれがはっきりとわかるようになります。前作より甘さがとれてよりモニターらしい音になったというべきかもしれません。まさにプロデューサーが音を確認する音、完璧にして欠点のない音、すべてを聴くための音、それでいて濃密な音楽体験もできるというのがLaylaIIなんだと思います。

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次にRoxanneIIに焦点を移します。Roxsanne IIの音質は中低域が図太い感じで、ロックンロールサウンドと言う言葉がよく似合います。低域も強めでLaylaIIよりも音楽的に脚色感が少しだけあります。低域は全モデルで一番強いと思います。ある意味一番ロックンロールチューニングであり、実のところJH13の後継はRoxanneだと思う。Laylaは旧Triple.fi系統(TriFiではなく)でしょうか。
また濃くて密度感の高いRoxanneIIのヴォーカルは独特の訴えかけるような魅力があります。

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RoxanneはUFモデルが手元にないのでIとの直接比較はできないけれども(AKR03はちょっと違うので)、実のところIとIIの差が一番大きいのはRoxanneでしょう。Roxsanne IIはクロスオーバーが以前より再設計され、低域がよりフラットに感じられます。

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AKR03とRoxanneII

クロスオーバーの再設計の効果か他のチューニングかもしれないけれども、第一世代でのRoxanneとAngieの近しい感じはなくなって、やはりAngieより一段音質レベルはLaylaに近くなった感じに思います。たとえばロックとかエレクトロを楽しみながらかっこ良く聴くのはRoxanneIIがお勧めだと思います。高級機だがロックにノれるモデルだと言えます。
音の差はMoon AudioのBlack Dragonなど高音質ケーブルに付け替えるとよりはっきりと感じられるようになります。

それではRoxanneIIとLaylaIIを比較してみます。
RoxanneIIとLaylaIIでジャズトリオのダブルベースソロからピアノソロのパートを聴くと、音の高域の伸びと低域の沈み方の音域の差、つまりワイドレンジ感はLaylaIIの方が優れています。また音のつながりや楽器の分離もLaylaIIがよりスムーズです。RoxanneIIの方はよりベースソロやピアノソロが躍動的に聴こえ、音のつながりのスムーズさよりも楽器の音の強調感がより強く、音楽的に心地よいですね。
音の広さや立体感でいうとLaylaIIの方が立体的で奥行きも横の広さも感じられ、楽器の重なりがより独立しています。
RoxanneIIはLaylaよりは音場が狭い感じですが、別の言い方をするとより密度感があります。ヴォーカルと楽器がやや干渉してうるさく感じられる曲もあるけれども、Roxanneの場合はこの密度感が独特のロックやジャズライブに向いたかっこよさを作っていると思います。
同じ音楽を聴いていてもLaylaIIとRoxanneIIだと感じ方に違いがあります。RoxanneIIだともっとエモーショナルな感じ、ここは好みもあると思うけれど、やはりlaylaはプロデューサーやミキサー、あるいは音をより正確に聴きたいオーディオリスナー向きであり、Roxanneはそうした客観的な音の聴き方よりも、音楽にノリたいというリスナー向きであると思います。

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次にAngieIIに焦点を移します。AngieIIは12ドライバーの上位モデルよりも軽くて装着感はよいですね。耳が小さめの人にはより向いているかもしれません。
AngieIIの音は全体的に整っていて、すっきりとクリアで気持ちが良い感じです。特にヴォーカルが鮮明に聴こえてくる印象があります。
アカペラグループ(Rajaton)のヴォーカルを聴いてみるとRoxanneIIではやや男声の低域が女声の中高域にかぶさる傾向があるけれども、AngieIIだとすっきりとして全体が聴き取りやすいと感じます。LaylaIIではRoxanneIIよりも各メンバーの声が分離されてかぶさる感は強いがそれぞれのメンバーの項がそれぞれ主張するという感じ。AngieIIだとLaylaIIよりもコンパクトにまとまった感はあるが女声が中心となって、男声の低域がそのバックアップになっている感がよく伝わります。
SHANTIを聴いてもやはりAngieだとヴォーカル中心に聞こえるけれども、RoxanneIIだとバックのベースやギターがやや主張が強くなりすぎる傾向はあると思います。またヴォーカル自体もAngieIIの方が明瞭感は高いと思います。

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低域は他の二機種よりも少な目で、重みのあるロックとかエレクトロよりもポップや調子のよいジャズに向いた明るく陽気な音が向いていると思う。ただしこれは他の二機種がJH Audioらしくやや低域が多めと言う「ロックンロールチューニング」傾向なので、全般的なイヤフォンとしてみるとAngieのベースは十分あると言えます。
AngieIIは他の2モデルより少し濃さが少なくなりわりとあっさりとした感じではあるけれども、かえってすっきりとして好みだという人も多いかもしれません。
LaylaIIやRoxanneIIよりは譲るけれども、他のイヤフォンの中では解像力とか全体的な音質性能は極めて高い。
RoxxanneIIよりもヴォーカルは聴きやすいと思います。ベースはRoxxanneIIとはだいぶ表現が異なり、RoxanneIIでは強め、AngieIIでは正しいという感じですね。
LaylaIIやRoxanneIIと並べてしまうと、一歩譲る感もありますが、他のイヤフォンに比べると音性能的にはとても高くお得な感じがします。

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Angie IとAngie II

AngieIとAngieIIを同じケーブル(II世代)で付け替えて比較してみます。
Iとの差はLaylaよりもAngieの方が大きいと思います。Laylaでは2-3回付け返して確認したけれども、Angieでは一回で差がわかります。
IIでは高音域がより鮮明で伸びるように感じられ、ヴォーカルのクリアさがけっこうより透明感があります。比較するとIはちょっとこもった感が感じられます。IIでは全体にかなりすっきりとしてAngieの良さが際立っています。中高域の差が大きいとおもいますね。Angieは新旧を聴き比べると買い換えたくなるかもしれません。Laylaは差はあるけれども買い換えるほどではないかもしれないですね。

またAngieIIの良さはベースの調整幅が大きく自分で個性を調整できるということです。試聴は基本的にフラット位置で聴いているけれども、ベースがうねるような低音がほしいときはベース調整ノブを低域側にやるとたっぷりしたベースの量感が得られます。そういう意味では他の二機種はフラット位置で十分ベースの量感はあり(RoxanneIIは多少多いくらい)なので、AngieIIが一番ベース調整ノブを使う余地があります。

いうなればAngieIIは個性が強いSiren姉妹で一番素直な末っ子(Rosieは未発売なので)であるため、低域調整で自分の好みにあわせやすいという感じでもあります。
擬人化するとLaylaIIはなんでもこなす優等生の長女、RoxanneIIは優秀だけれども個性が強くやや気性が荒いタイプ、AngieIIはやんちゃな姉を良く見ていて良くできた子で落ち着いている、声がきれいな才能の持ち主、という感じでしょうか。

実のところジェリーはよく考えてSiren姉妹の個性を作り分けていると思います。
やはり客観的音性能で言うと、LaylaII、RoxanneII、AngieIIという順となりますが、実のところそれぞれ独自の魅力を持っているので、聴く音楽の好みや音自体の好みで選ぶというのが良いのかもしれません。いずれにせよ比較で書いたのでAngieIIが下に思えますが、実のところAngieIIでもマーケットの中ではかなり高いレベルにあります。
端的にいうと、LaylaIIはスケール感と音の分離の良さからクラシック、RoxanneIIは音の密度感と低域のパワフルさからロック、AngieIIは中高域を鮮明に引き立てる感じから女性ヴォーカルものに向いていると思います。もちろんベース調整ノブを変えて違うジャンルに合うように変えていくこともできると思います。

そして今回触れなかったRosieですが、これらのSiren3姉妹が個性の差こそあれ、プロのモニター的IEMであるというのとはやや異なるベクトルで、もっとコンシューマーライクな味付けになっていると思います。


最後にケーブルについて少し補足します。ケーブルがSirenIからIIで変わりましたがこの詳細は下記のMoon AudioのDrewさんから聞いてまとめた記事を参照ください。
(link)
あくまでIIの標準ケーブルもMoon AudioのDragonシリーズではありませんので念のため。
そこでイヤフォンをAngieIIとLaylaIIで固定してそれぞれIとIIのケーブルを聴き比べてみたけれども、多少IIの方がより洗練された音にはなっているけれども、そう大きな違いではないと思います。たとえばヴァイオリンの音のIでのとげとげしさがIIでは多少緩和されているというような感じです。むしろイヤフォン自体のIとIIの差が大きいように思えます。
ただケーブルの場合はエージングの差とかベース調整ノブの微妙な違いがあるかもしれないので参考程度ではあると思います。リケーブル目的で買うときはことさらIIのケーブルを使うというよりはBlack DragonあるいはBeat Audioを買ったほうが良いと思う。ケーブルはもちろんMoon AudioのBlack Dragonに変えると大きく違います。Beat Audioもよいですね。VermilionとAngieIIの組み合わせは見た目も良いと思います。
ぜひ最高のIEMを生かすためにもリケーブルしてください。

posted by ささき at 23:29 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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