先週木曜日に神楽坂のジャズライブハウスで、Chordの代表者ジョン・フランクスと設計者ロバート・ワッツを迎えてのChord技術についての講演会とメディア懇親会が開催されました。DAC64から日本にChordの良さを広めたタイムロードと、Mojoを中心にこれからポータブル方面にすそ野を広げていくアユートの合同開催になります。
ジョン・フランクス
前半はジョン・フランクス氏からChordの設立とワッツとの出会いからFPGAを用いたDACを採用してDAC64に至るまで、そしてMojoによってさらに裾野が広げられるまでを解説しました。ジョン・フランクス氏は情熱的と言うか、自分が持っていたオーディオの情熱をユーザーにも広げていきたいと言う感が良く伝わります。
後半ではロバート・ワッツ氏がChordのDAC技術について解説をしました。
ロバート・ワッツ
DACの音質を上げるためには時間精度が大事で、定位や楽器の音色も時間精度によって左右されるとのこと。サンプリングされたデータを時間精度良く元に戻せるかという点がキーだとのこと。そのためにはインターポレーションフィルターの補完精度が通常のDACでは不足していて、ワッツのデザインしたWTAフィルターにより正しく音色再現が可能だと言うことです。
Mojoでは採用したFPGAによる点が大きく、FPGAのコード自体はHugoと共通だが消費電力を大幅に減らせたそうです。またバッテリー技術の進歩も大事だったということ。
最新最高のDAVEについては通常のDACが100タップ程度の細かさなのに対して、164000タップものタップ長により高い補完精度を実現しています。またHugo開発においての経験からさらに細かい時間精度を追求したということ。またノイズシェーバーによって奥行きが変わると言うことで、新開発したがこれはノイズシェーパー単体でもHugoのFPGAには格納できないほどということで、さすがにDAVEは大きいだけのことはあります。結果は測定ができないほど低いレベルを達成したということ。
少し補足的に書くと、ChordのパルスアレイDACはFPGAを使ったDACのこと、と端的に書くこともありますが、実際はFPGAで行われてるのはこういったデジタルフィルタリング(WTAフィルターなど)のようなデジタルドメインの下ごしらえのようなもので、実際にデジタルをアナログに変換するのはFPGAを出たところにある抵抗などを組み合わせた回路です(HugoだとFPGAの左上あたり)。またFPGAではクロスフィードなども処理されます。
またChord製品ではDAC部分だけではなくアナログアンプの部分もロバートワッツの設計です(もとはアンプの設計者だったとのこと)。
全体にワッツはとても細かく小さな音レベルの世界にこだわり、そうした小さな音に着目することが大きな差をもたらすと言うことを言っているように思いました。
最後にDAVEをプリアンプとして使用してCHORDパワーアンプとTADスピーカーでマニフィカートを試聴再生しました。純粋で付帯音や着色がない感じで、自然な音色表現です。また言われているように奥行き感もよいように思いました。
ちなみにマニフィカートはDSDよりもPCMが良いそうで、PCM版で再生したのですが、これはChord側の意向ということです。終わってから懇親会のなかでなぜDSDよりPCMが良いのかと聞いたところ、ノイズシェーピングに関してDSDが良くないと言うことでした。これはロバートもジョンも同意見で、Mojo再生にお勧めはと聞いたところやはりPCMが良いだろうと言うこと。接続方法はUSBか光がお勧めだと言うことでした。
また懇親会のなかで流れで突如としてMojoのアクセサリーが紹介されました。
これはiFi MicroのようにiPhoneのCCKを直接接続できるアダプタです。端子はUSBの信号端子と電源端子が実装されていました。
この辺はきたる春のヘッドフォン祭で見られるとよいですね。
Music TO GO!
2016年03月07日
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