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2016年03月01日

RoonReadyとDLNAの構成と音を比べてみると

ラズベリーパイがRoonReadyとなることで、面白い実験ができます。
それはまったくハードウエア構成を同じにして、RoonとDLNAをシステムとして比較すると言うことです。

IMG_9604[1].jpg  IMG_9603[1].jpg
ラズベリーパイとIQAudio PI-DAC+ (専用ケース使用)

実のところ両者の位置づけは同一と言うわけではありません。Roonはネットワークがあってもなくても使えます。DLNAは基本的にネットワークでしか使えません、またネットワークを敷設しなければなりません。
よく日本ではUSB DACを使うものをPCオーディオ、DLNAネットワークプレーヤーを使うものをネットワークオーディオって呼んだりしますが、Roonの前にはそれは意味がありません。
しかしながら、RoonReadyという言葉はネットワーク機器に関する言葉であり、この観点からは比較ができます。

Roonは前回のAirPlayとの比較と同じです。DLNA(uPnP)はJRMCを使います。これでハードをRoonとDLNAでまったく同一にすることができます。ラズベリーパイでの違いはブートするMicroSDの中身だけです(RoonBridgeか、RuneAudio)。
プレーヤーがRoonとJRMCで違うじゃないかと言われるかもしれませんが、JRMCはコントローラとメディアサーバーだけで、実際に読んでデコードするのはRuneAudio(MPD)ですので違いはそこではなく、根本的な構成の差異になると思います。今回はハードウエアを同じにしているので、それらをどう使うか、そこで出る違いはRoonとDLNAのシステムとしての効率の違いと言っても良いと思います。

Roon側は下記のとおりです。

スクリーンショット 2016-02-27 20.54.24.png
Roon

Roonの機器間接続と役割
PC : Roon - Control, Core
   ↓
  有線ネットワーク - RAAT
   ↓
ラズベリーパイ : RoonBridge(Output) -> Pi-DAC+

Roonでの楽曲再生の流れは下記のようになります。
1.PC上のRoon Controlの画面でライブラリから楽曲を選択
2.Roon Coreが選択された音源を読んでデコードします。(Coreは音源が何かを知っておく必要があります)
3.Roon Coreはデータストリームをネットワーク経由でRAATという手順でラズベリーパイのRoon Outputに送ります。
4.Roon Outputはデータを受けて、PI-DAC+ドライバーに送り音楽が再生されます。

スクリーンショット 2016-02-27 20.50.57.png
JRiver Media Center

DLNAの機器間接続と役割
PC : JRMC - DLNAコントローラ、DLNAメディアサーバー
   ↓
  有線ネットワーク - uPnP
   ↓
ラズベリーパイ : RuneAudio - DLNAレンダラー Pi-DAC+

DLNAでの楽曲再生の流れは下記のようになります。
1.PC上のDLNAコントローラであるJRMC画面でライブラリから楽曲を選択します。
2.DLNAレンダラーであるラズベリーパイのRuneAudioがDLNAメディアサーバーであるPC上のJRMCに楽曲を送るように要求します。
3.DLNAメディアサーバーであるJRMCがラズベリーパイのRuneAudioにデータを送ります。
4.DLNAレンダラーであるラズベリーパイのRuneAudioが送られて来た音源を読んでデコードします。(RuneAudioは送られて来た音源が何かを知っている必要があります)
5.RuneAudio(MPD)がデータストリームをPI-DACドライバーに送り音楽が再生されます。

このRoonとDLNAシステムを試してみてわかったことは、まず音質については同じ音源で比較してみると、やはりRoonの方が全体にクリアでひとつひとつの楽器音が明瞭に聞こえます。これはハードが同じであるという点を考慮するとやはりRoonに分があるように思います。ソフトウエアにおいてRoonBridgeとRuneAudioを単純に比較できないと言うかもしれませんが、実のところRoonBridgeが軽量にできると言うのはRoonのコンセプトの一つですからこれも優位性に含めてもよいと思います。

また使い勝手・機能性と言う点ではJRMCは一般的な音楽再生ソフトのなかでももっとも多機能な方で、おそらく多くのDLNAコントローラより多機能ですが、それでもRoonにはライブラリ管理をはじめ使いやすさは及びません。(JRMCのなかでDLNAがおまけ的な機能でまじめに統合が考えられていないようにも思いますが)
設定でもJRMC上でレンダラーやサーバーの指定をするのも面倒ですが、Roonなら勝手に出力モジュール(RoonBridge)を見つけてきます。

構成と言う点ではRoonReadyシステムとDLNAシステムをくらべると、違いのポイントの一つは音源をどこで読むかということで、RoonReadyのラズベリーパイはFLACとかWAVの音源をどう読むかを知る必要はありませんが、RuneAudio(DLNA)のラズベリーパイは音源をどう読むかを知らねばなりません。
Coreはレンダラーとメディアサーバーを足したようにも見えますが、Coreはさらにたくさんのことができます。バックグラウンド処理でデータ解析をし、ライブラリのタグ情報データのメンテナンスもやります。CPU処理はかかってノイズがいっぱい出てファンが唸っても、Output部分とネットで切り離せば良いだけです。
RoonReadyの場合にはDSD512のデータを読もうと、768KHzのPCMを読もうと、オーディオ回路のある筐体のファンが悲鳴をあげることはないし、実のところRoonBridgeの場合にはラズベリーパイ2でも強力すぎなくらいだと思います。(パイ2だとやや発熱するので)

言い換えるとDLNAは分散型で、Roonは集中型です。それぞれの良い点もあるし、悪い点もまたあるかもしれません。
今回のDLNAシステム構成は標準的なタブレット+NAS+ストリーマーと言うものとは異なりますので、もしRoonでそれと同様なものを構成するとすると、タブレット+NAS+Roon Core Certified Device(SOtMのsMS-1000 SQなど)になると思います。ただしRoonの集中型としての利点を生かすのであればやはりハード的に異なりますが、タブレット+NAS+Roon(あるいはRoonServer)+RoonBridgeとしてCoreとOutputを分離するということになるでしょう。
posted by ささき at 06:35 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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