それではRoonReady機器が手に入ったので、今年のCESのキーワードでもあったRoonReadyとは音はよいのか?、ということでまずAirPlayと聴き比べてみました。AirPlay接続とRAAT接続(RoonReady機器)の音の違いを比べるわけです。
簡単に整理すると、RoonReadyとはRoon独自のプロトコル(通信手順)であるRAAT - Roon Advanced Audio Transportに対応したネットワーク機器のことです。ここではラズベリーパイとPI-DAC+にRAATがIQaudioの人によって実装され、I2Sドライバーと組み合わされて提供されたものを使います。これはRoonの世界ではRoonBridgeと呼ばれるRoonのOutput(Endpoint)だけのモジュールとして機能します。
接続はいままでと同様にPCにインストールしたRoon、ラズベリーパイとPI-DAC+を使いますが、条件を同じにするために両方とも有線接続にしました。
RoonReadyつまりRAATとAirPlayのそれぞれの接続構成は以下の通りです。Roonの3要素であるControl, Core, Outputの各機能がどこにあるかに注目してください。
RoonReady - シグナルパス品質はロスレス(最高)
RoonReady
PC : Roon - Control, Core
↓
有線ネットワーク - RAAT
↓
ラズベリーパイ : RoonBridge(Output) -> Pi-DAC+
AirPlay - シグナルパス品質はハイクオリティ(中)
AirPlay
PC : Roon - Control, Core, Output -> Aiplayドライバー
↓
有線ネットワーク - AirPlay
↓
ラズベリーパイ : RuneAudio -> Pi-DAC+
この組み合わせで44/16のリッピングソースで聞き比べると、やはりRoonReady(RAAT)の方がはっきりと明瞭感やベースギターのピチカートの切れの良さがわかるくらい優れていると思います。
これは以下のように伝送方式がRAATのほうがよりオーディオ的な考慮がなされているというのも理由になると思います。
* RAATとAirPlayの伝送方式の違い
機器間のデータの伝送において重要なのはクロック自体の精度というよりも、ある一定時間に100個データ送ったら100個取り出すというように受け渡しのタイミングが合うことです。受け手は90個取り出しても110個取り出してもいけません。(バッファがあってもオーバーフローにもアンダーフローにもなり得ます)
- AirPlayの場合はPCがDACに対して一方的にデータを投げます。DACのクロックのことなど知ったことではありません。このタイプでは受け手が上手に調整する必要があります(例えばASRCなど)。
- RAATの場合はDACのクロックの都合を聞きながら、PCに対して投げる量の調整を要求します。これはある時間単位でパケットを使って受け手から送り手(PC)にフィードバックすることで行います。そのため受け手で面倒なことをしなくても良くなるわけです。
またRoonではゾーンの同期ができると書きましたが、このさいにも適当に双方にデータを投げるのではなく、ゾーン間の機器のクロックが異なる可能性があるので(というか大抵そうなるでしょう)同期(タイミング差)を取るのに同様な方法を使うようです。
RAATではこのように各機器間のタイミングをうまくはかって音質ロスを減らし、かつユーザーから見るとipアドレスなど面倒なことを意識しないという簡単さはAirPlayと同じです。この辺がRoonがユーザーエクスペリエンス(使い勝手)と音質を調和させているというゆえんです。
Music TO GO!
2016年02月27日
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