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2015年06月04日

ワイヤレス・ネットワークシステムをポータブルに、Celsus Sound Companion 1

Celsus SoundのCompanion1は世界初(米国発売は今年の1月)のWiFiによるワイヤレス再生を実現したDAC内蔵のポータブルアンプです。ひとことでいうと、DLNAのネットワークオーディオプレーヤーがポータブルになったということです。ただし正確に言うとDLNAは商標なので、その技術規格であるuPnPに対応したDLNA互換の製品です。

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Celsus SoundはもとNuForceのJasonがNuForceから分かれて設立したいくつかのブランドのひとつです。そのため技術力に関してはNuForce譲りと言えるので信頼できると思います。(ほかのプロダクトには開放型イヤフォンのGramoがあります)
国内ではフューレンさんが代理店となります。昨年の秋のヘッドフォン祭で参考に持ってきてくれていたのですが、そのときにプロトを少し使ってみて、いろいろと調べてきたのですが、今度は正式に国内発売となります。ちなみに国内では接続機種のサポートはiOSのみになりますのでご注意ください。
以下の記事はJasonから少し前に提供してもらったデモ機(生産版)によるもので、最新のものとは違うかもしれませんので念のため。

* 特徴

Companion1はデジタル入力専用のDAC内蔵型のポータブルアンプです。入力はUSBとWiFiの二系統あります。DAC ICはES9018K2Mです。
出力はヘッドフォン端子のほかにラインアウトと光デジタルアウトがあります。

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WiFi接続はさらにDLNA互換(uPnP対応)接続とAirPlay接続の二通りに対応しています。
これは比喩ではなく、そのままの意味でCompanion1はDLNAネットワークシステムの一員となれます。DLNAではCompanion1はレンダラーの役割になることができます。
またDLNAだとプレーヤーアプリが限られるので、AirPlayでつなぐこともできます(iOSのみ)。
たとえばDLNAを使う場合はPlugPlayerを使用し、AirPlayならば標準プレーヤーやNeutronが使えます。

WiFi無線ネットワークで使用するので通常はWiFiルーター(ハブ)が必要ですが、Companion1はiPhoneとダイレクトにつなぐモードも備えています。
そのためWiFi接続はAP(Access Point)とClientの二つのモードがあります。APというのはいわばダイレクトモードでルーターは不要、ClientというのはすでにあるWiFiネットワークに参加するもので、ルーターが必要です。このどちらかでWiFi経由でiOSやAndroidとワイヤレスで接続します(国内ではiOSのみサポート)。最近カメラなどでSDカードに無線LANが内蔵されたものがありますが、APモードはそうした感覚です。

APとClientの切り替えはボタンで行いますが、このときにイヤフォンから"Direct Mode"とか"being join in wifi network"とか女声で確認音声が聞こえるのが新しいところです。Clientモードではいったんローカルアドレス(198.x)に入ってCompanion1の設定画面からWiFiネットワークの情報を入力します。
(* ClientとAPの切り替えなどで接続が不安定な時は、いったんiPhoneの登録ネットワークを削除することをお勧めします)
uPnP(DLNA)ではサーバー一覧においてメディアレンダラー(DMR)としてCompanion1が見えますのでそれを指定します。AirPlayではAirPlayでの出力切り替えでCompanion1を指定します。

ヘッドフォン祭の後にプロトタイプでテストをしたんですが、接続はかなり簡単になっています。またAirPlayの音質が上がって、DLNAと同じ程度になりました。

Companion1はUSB DACとしても使えます。ライトニング-USBケーブルが付属しているので接続はシンプルにできます。

*使用例と音質

パッケージングはきれいでシュリンクラップまでなされています。箱も中箱のなかにさらにアンプとケーブルが分かれて入っていて、ケーブルはビニール梱包、アンプはカバーされていてかなりしっかりとしたパッケージングです。

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USBのポートはへこんでいるので普通のケーブルが入らないのですが、Jasonいわくこれも指摘したところ安全性との考慮のうえで決定したということで、専用のケーブルを添付したということです。

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Companion Oneを使用してみてまず思うのはCompanion OneがWiFi機能だけのアンプではないということです。
たしかにはじめの興味はWiFiによるスマートフォンとの接続で、USB DACはおまけ的なものかと思っていました。しかし実際のところはUSB接続の音質は極めて高く、ライトニングケーブルなどのアクセサリーもよく出来ています。Companion1はWiFi接続ができるというだけの色物的な製品ではなく、音質がかなり高いのが特徴といってよいと思います。

Westone ES60で聴いてみましたが、uPnPでの接続はいままでKleerもいれてワイヤレスでは聴いたことがないくらい良い音で驚きました。透明感があり、とても細かい音まで鮮明に聞こえます。ポータブルアンプとしての音も良いと思います。というか有線のDAC内蔵ポータブルアンプと比べても十分にトップクラスの音と言えると思います。多少大柄な筐体ですが、音を聴くとちょっと納得します。音の性格がドライにならずに音楽的に楽しく聴けるのはnuForce譲りの良いところでしょう。
惜しむらくはWiFi使用時に背景で少しポップ音がはいることで、これは音楽が鳴っていると気にならない程度ではありますが、もし気になる場合はUSB接続がよいでしょう。

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実際に使ってみるとケーブルのない自由さをあらためて感じますね。iPhone6/iOS8という組み合わせで試しましたが、この組み合わせだとAPモードで接続しながら4Gにも接続することができます。まさにスマートフォンの利点をまったく阻害しません。
私が思うにはポータブルアンプはもともとiPodの音質を向上させるためにはじまったわけです。しかしいまでは音源が格納されるiPodの機材ポジションはiPhoneなどのスマートフォンに変わっています。スマートフォンではさらにストリーミングなどの新たな音源を扱うことが可能です。
iPodの時代にはiPodにミニミニケーブルをつけて背中合わせでバンドで固定するのでよかったものが、いまの全面タッチのスマートフォンにおいて同じかたちでよいものか、という疑問があります。つまりポータブルアンプも時代につれてちがうかたちがあるのではないかということです。
もしスマートフォンに合わせた形のポータブルアンプがあるとすれば、それはワイヤレスでの接続になると思います。
しかしながらBluetoothは音質が劣り、Kleerは余分なドングルが必要となります。それを考慮すればあるべき形はWiFiでの接続になると思います。それがCelsus Companion 1です。

Astell & KernのAK380もDLNA互換で出てきましたが、もはやPCオーディオにできてポータブルではできないということはないと感じます。
むしろWiFiによる無線のネットワークオーディオというのはポータブルのほうが上手に発展させていくでしょう。こうして新たなオーディオの形というものが少しずつ作られていくのではないかと思います。
posted by ささき at 22:17 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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