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AK Jrは薄さ8.9mm、軽さ98gと持ちやすく胸ポケットにも軽々と入ります。
筐体はアルミボディ、液晶は3.1型のタッチパネルでゴリラガラスを採用しています。DACは第一世代と同じくWolfsonのWM8740です。
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出力は3.5mmの通常のイヤフォン端子のみで、2.5mmバランスはありません。ボリュームは側面のダイヤル式なので、(実際はデジタルエンコーダーでしょうけれども)アナログ的な操作感が楽しめます。
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ストレージは内蔵64GBで、外付けのMicroSDでさらに64GB増設可能です。そのためトータルでの最大値は128GBということになります。
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PCからの楽曲の転送はUSBですが、AK第二世代とはことなりMTPではなく、第一世代と同じくUSBマスストレージクラスです。
操作はタッチパネルとAK伝統のハードボタンの併用で行えます。ファームウェアはAK第二世代とは異なり、第一世代に近いものです。
PCM入力は192kHz/24bitで、float/int 32bitにも対応しますがダウンコンバートです。DSDは2.8Mhz対応ですがこちらはPCM変換となります。
出力インピーダンスは2Ωと、よいペースレスポンスを引き出すために十分な低さを持っていますので、イヤフォンなどにも合わせやすいでしょう。
価格は直販69,800円(税込)です。フジヤさん、eイヤさんなど専門店では価格が63,500円(税込)に買換えキャンペーンが適用されます。たとえばフジヤさんの例だと指定DAPとの買換えでは8,500円引きで、5,001円以上のイヤフォン同時購入でさらに5,000円引きなど累計すると最大13,500円ほど引いて実質50,000円程度で購入することも可能だと思います。キャンペーンの条件などについて正確なところはお店に直接聞いてみてください。量販店では10%程度ポイント還元がつくとおもいます。
発売日は5月29日(金)です。
以下しばらく使ってみた感想を書いていきます。(FW1.00で聴いています)
* 使用感
箱の見た目は従来のAstell & Kernを引き継いでいますが、箱自体がいままでよりスリムという印象でちょっと面白いですね。
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外箱の中には他のAstell & Kern製品のように中箱があり、本体が収まっています。中箱の袖には保証書と説明書があります。いわゆるエントリー機としてはパッケージも立派なものですね。ここでもブランドイメージを崩さない高級感があり、ひとクラス上のものを買ったという満足感を与えてくれてると思います。
私なんかはダンボール箱に新聞にくるまった雑な梱包の海外ものになれていて、開封するときにむこうの新聞を読むのを楽しみにしてましたが、時代は変わってきてきちんとしたパッケージは欠かせないものとなってきていますね。
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取り出すと薄くて軽いと改めて思います。アルミシャーシの質感も良く、デザインも洗練されてかっこ良いですね。デザイン的には100IIより良いように思います。特にこれからの季節は胸ポケットにいれる機会が増えると思うので、こうした軽量薄型のデザインは重宝します。
ボリュームの回転も軽すぎずに、適度なトルク感とクリック感がありますので安っぽさはありません。
DAPのエントリー機の中ではやや高めの価格設定ですが、このパッケージと本体の出来を見ると納得すると思います。ハイレゾDAPの入門機というよりも、Astell & Kernブランドの入門機という感じでしょうか。
ただし操作はややもたつく感があり、操作の画面遷移の速さは問題ないのですが、楽曲をリスト表示させるところではそのリスト取り出しに時間がかかってしまうように思えます。ここはファームアップでキャッシュがスマートにできるようになるとよいのではないかと思いますね。
また曲転送がMTPではなくマスストレージなのでMacの人は便利に使えることでしょう。ただし後で一括でライブラリ更新が必要になります。これはMTPは音源をファイルとして転送しているので転送しながら再構築できるのに対して、マスストレージだと転送はバイト(ブロック)単位だから転送中は再構築できないからです。
* 音質
AK Jrというと薄型軽量で求めやすい価格という点が強調されがちですが、実のところAK Jrをしばらく使ってみて一番感じたのはその音の魅力です。
AK Jrの音は音色的にはAKブランドであることを感じさせる着色感が少ないピュアな音の質感を持ちつつも、よりダイナミックでベースの迫力があり音楽性の高さを感じます。
もともとAstell & kernブランドはAK100のころから原音忠実をキーとしてプロ用とコンシューマー用のバランスを天秤にかけつつも進化してきた経緯があります。これはあまり固有の味付けを入れないということですから、そこは聴く音楽によってベースにもっとDAPが味付けしてほしいというようなときに、いくぶん人によって不満を感じるところもあったと思います。AK Jrではそこをコンシューマー用に割り切ることで、音楽を楽しく聴けるような演出を可能としていると思います。
具体的にいうと、従来のAKに比べて低域も少し元気ですが、さらに中低域の厚みを増やして低域全体の量感が増えるようなチューニングがされてるように思います。また中高域はやや硬めなシャープさがあり、ここでも多少強調感を感じます。このシャープな中高域と厚みのある中低域の組み合わせが音に華やかな演出感を加えています。こうした低域と高域の強調感により演出的に音楽が楽しめやすい音になっていると思います。
いままでのAK上級機でもベースのレスポンスは十分ありますが、低域自体がすっきりと整理されて聞こえるのに対して、Jrでは低域でのすっきり感を減らして厚く密度感のあるチューニングになってると思います。これがエレクトロ系とかロックに向いている感じですね。
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オーディオというとよくジャズやクラシック向け、と書くことが多くて、ロックを聴きたい人は本来ラフにうねるべき音楽でも上品な演奏になりがちなところもあったかもしれません。しかしAK Jrではヘビメタやエレクトロ・打ち込み系などで音楽を楽しく聴くことができます。低域が強調されているといっても組み合わせるイヤフォンを間違えなければヴォーカル域の再現性もしっかりとしてクリアに聞き取れますのでアニソンなんかでもよいでしょうね。
この辺の音傾向が気になるとき、たとえばさらにヴォーカルを際立たせたい時などはPro EQを使用するとよいと思います。AK JrにもPro EQがあります。
Pro EQをオンにすると低域の中域へのかぶりが改善され、ヴォーカルがより聞き取りやすくなります。それで音場感もやや改善されるようにも思います。ジャズ・クラシックをJrで聴きたい人もオンが良いかもしれません。ロックやエレクトロはオフで密度感のある分厚い重いベースを楽しめるほうがよいように個人的には思います。JrではこれまでよりPro EQで一粒で二度美味しい感があるように思いますね。
特定の音楽に合わせるにはフラットな音+自分でイコライザで調整という考え方もありますが、普及機ではない高性能DAPクラスの音機材としてはやはりはじめから音の個性として提供してほしいという気もします。
たとえば私は10年前にポータブルアンプのSR71を買ったときに感じ入ったのは、iPodの音がワイドレンジになり解像力が高くなるというHiFi的な向上点もさることながら、その暖かみがあってベースに強調感のある音楽的な演出がとても音楽を楽しく聞かせてくれたという点です。RSAのような強い暖かみとは異なりますが、AK Jrにもやはり演出感のあるオーディオ的な強調の効果があり、ロックポップのような躍動的な音楽をより楽しく聴かせてくれます。
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私がよいと思ったイヤフォンはまずShureのSE215speです。これは低価格ながら良さを再発見するとともに、AK Jrと組み合わせた時の力強い音再現に魅力を感じます。耳に近くステージのそばで聴くような緊密感と、力強く厚く太い、しっかりしたパンチがあるベースが特徴です。
SE215speはMMCXでリケーブルできますが、ノーマルケーブル(ストック)でもとても良いですね。価格が安いのでその分ケーブルを考えてみるというのも面白いと思います。
ただSE215speだと後の上位二機種みたいな独特の音場感の良さまでは味わえないと思います。それだけAK Jrには上位イヤフォンでこそ引き出せる伸びしろがあるともいえます。
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より高い性能を求めるならJH Audioのアンジーがよいですね。アンジーを使うとひときわ音再現性の高さがわかるようになり、AK Jrが単に演出系だけではなく、基本的な音再現性も高いということがわかるでしょう。音の解像感の細かさの向上だけではなく、特に空間的な再現力、立体感が見事で実はAK Jrのポテンシャルの高さがわかるようになります。もしAK Jrをスマホより多少良い程度なんて考えてるならアンジーのような高性能イヤフォンで聴き比べてみてください。
AK Jrとアンジーを使いこなすうえでのポイントはベース調整だと思います。低音域とヴォーカルの変化に耳を傾けながら、あーでもない、こーでもないと、私もいろいろやってみましたが、この辺も楽しみながら使いこなしていけると思います。
もうひとつお勧めなのが、JVCのFX1100です。これは味+HiFi系みたいな独特の良さがあってちょっと面白いですね。
AK JrはハイレゾDAPの入門機と言われますが、私は実機を聴いてみてむしろAstell & Kernブランド初のコンシューマ専用機、と言った方が正しいと思います。
いままでAstell & Kernはプロ機って役割もあったのであまり大きく逸脱できませんでしたが、これはコンシューマと割り切ることでいわば「はめをはずす」ことができ、音楽的な味付け要素を加えられたことで音の個性が上級機と違う魅力を持たせられたと思います。
ですから、AK240とかAK120IIなどハイエンド機を持ってるひとも、どうせ入門機だろうと思わないで聴いてみてください。上級機のほうがやはり洗練されてはいますが、おそらく聴く音楽とイヤフォンによってはAK Jrも音を楽しく聞かせてくれ、気に入るかもしれません。
カメラの世界には「サブ機」というのがあって、一眼レフを持っている人でも高級コンパクトのGR1などをサブ機として併せ持つという考え方があります。それで結局はサブ機しか使わないじゃんと揶揄されたりしますね。軽くて音楽的個性のあるAK Jrにはそうしたハイエンド機がない魅力を持つサブ機としての可能性もあるんではないかと思います。特に手持ちのイヤフォンや合わせる音楽との好みがあえば、サブ機は別腹、という危険な言葉が頭をよぎるかもしれません。
* まとめ
AK Jrは曲表示が遅いという難があるものの、作りや外見からはエントリー機とはいえあまり安っぽさを感じさせない高級感があります。音的には基本的な音質の高さを持ちながら、独特のベースのパンチとダイナミックな味付けで個性的な音質が楽しめます。薄く軽く持ち出しやすい気軽さももちろん大きな魅力です。
Ak JrはAstell & Kernブランドにあこがれてステップアップを望むエントリーユーザーから、いわゆるサブ機的な個性を求める上級者まで幅広く訴求するポテンシャルを秘めた新製品ではないかと思います。