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2015年03月02日

AudioQuestのヘッドフォン、NightHawkレビュー

2/14に開催されたポタ研の中でもひときわ注目を引いていたのが、D&Mホールディングスから発表されたAudioQuest社のヘッドフォンであるNightHawkです。

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NightHawkはセミオープンタイプで基本的に家で使うフルサイズ・ヘッドフォンです。日本での価格はオープンプライスでだいたい7万円台後半、発売時期は3月下旬です。こちらにD&MのNightHawkサイトがあります。基本データは重さは346gで、インピーダンスは25Ω、能率は100dBSPL/mWです。
http://dm-importaudio.jp/audioquest/

* AudioQuestとNightHawk

まずはじめの疑問は、そもそもなぜケーブルで知られるAudioQuestがヘッドフォンを作ったのだろうか、という点ではないでしょうか。
実のところNightHawkがAudioQuestにとって初めての本格的なケーブル以外の製品というわけではありません。コンパクトなUSB DACであるDragonflyを発売した点でも注目されていました。このDragonflyは前にも書いたように米国PCオーディオ界の雄であるGordon Rankinによって設計されたものです。
AudioQuestは多様化するこのオーディオ業界の中で、顧客がほしいと思う製品を提供していきたいというポリシーがあるということで、このDragonflyの成功により、これに続いたのがNightHawkです。Dragonflyでも外部のエキスパートを登用したように、NightHawkではWestoneに在籍していたSkylar Grayによって設計されました。

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NightHawkのイメージ画像

このAudioQuestのポリシーは単に業界のトレンドに迎合していくという意味ではありません。実のところAudioQuestのCEOであるBill LowはAudioQuestブランドでヘッドフォンを出すという考えをずっと持っていたそうですが、安易なものは出したくなかったので製品化はしていなかったということです。
一方でSkylar氏の方も10年近くヘッドフォンに関するアイディアを暖めていたということです。そして2012年にBill LowがたまたまSkylar氏と食事を一緒に取ったさいに4時間もヘッドフォンの理想について話し込んだ結果、数ヵ月後にSkylay氏がWestoneを辞めてAudioQuestに入社して、それからのち2年間をNightHawk開発にかけたということです。

ポタ研では残念ながらSkylar氏は生産現場の最終指揮でこれなかったのですが、今回はメールでもSkylar氏に直接いろいろ伺ったり、Skylar氏の解説ビデオを参考にしながらこの記事を書きました。


* NightHawkの特徴 - ドライバー設計

Skylar氏の考えていたヘッドフォンのあるべき姿を具現化したものとして、またAudioQuest社の初のヘッドフォンとしてNightHawkはユニークな観点からの設計がなされているのがポイントです。これはヘッドフォンメーカーではない同社が過去に縛られないゆえの利点とも言えます。

NightHawk_One-Cup[1].jpg  NightHawk_Left[1].jpg

その特徴はまずNightHawkが、スピーカーから着想を得た設計がなされているという点です。ヘッドフォンはそもそもスピーカーの小さいものではないかと思うかもしれませんが、その実は随所に相違があります。
その例は一番重要なドライバー設計にも見られます。NightHawkのドライバーはまったく一から考えられたもので他の流用ではありません。

NightHawk_Driver[1].jpg  NightHawk_Driver-Cross-Section[1].jpg
NightHawkのドライバーユニット

NightHawkにおいては振動版の外周部にラバーのサラウンドと呼ばれる部分がありますが、これはスピーカーで言うエッジです。対して一般的なヘッドフォンでは振動版がエッジなしで一体化されていることが多いということ。このエッジがあることで正しく振動版を保持することができます。
またボイスコイルにはボイスコイルフォーマーという芯にコイルが巻きつけられています。ボイスコイルフォーマーというのはスピーカーで言うボビン(コイルの糸巻き上の芯材)のことです。普通のヘッドフォンではコイルの線材自体を接合してそのまま振動版に接着しているものも多いということですが、NightHawkではコイルが補強材であるボビンに巻きつけられてから振動版に接着されています。これでボイスコイルを強固に正しい形に保つ働きがあり、正確なドライバーのピストンモーション(前後振動)のコントロールができるということです。

また、このピストンモーションの良好な制御はマグネットでも独自の工夫が生かされています。ここにはスプリットギャップ・マグネットという途中に切り込み(ギャップ)のあるマグネットが使われています。マグネットの磁力は1.2テスラの強力なものです。

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ギャップを挟んで二つの磁界があることで、あたかも二つのマグネットがあるかのように広くカバーできることになり、コイルが大きくピストンモーションで振動しても磁力のコントロールができるようになるわけです。この磁力線図は最近のソフトウェアの進化で解析が可能になったということです。
これは低音域での歪みを下げるとともに、重要なのはインターモジュレーション歪み(混変調歪み)を低減させるということです。混変調歪みとは二つの信号が混じった時にもとの信号にない信号ができることで、音質を劣化させます。これらの歪みが低ければタイトでクリーンな低音域のレスポンスが得られるということです。

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振動版の材質は音の着色に大きな影響があります。一般的なヘッドフォンはマイラーというポリエチレン素材を使用していますが、NightHawkではバイオセルロースを使用しています。バイオセルロースがマイラーより優れているのは良好な内部損失特性で、つまり固有の色を持ちにくいということです。
これは上の図を見てもらうと分かるのですが、縦軸はstiffness(硬度)で高い方がピストンモーションでたわまず正確に動きます。横軸はself damping(内部損失)で、高い方がレゾナンスでの着色がないわけです。つまりこの図の右上に位置する素材が両方の要所を兼ね備えているわけです。
バイオセルロースはその位置にあるということがわかると思います。これは100種類のヘッドフォンを分析して得たことだそうです。

intermodulation.png   THD.png
左:混変調歪み(intermodulation Distortion) 右:THD

振動版の素材の効果とともに、前述した歪みの低減効果については測定的に設計者自身が驚くほど良い値が出たということで、上の図に他の機種との比較表が出ています。
右のTHDで他のヘッドフォンで5-7KHzにピークがあるのはマイラーを使用したダイアフラム設計によるものということで、赤線で示されるNigtHawkではピークが出ていないことが分かると思います。


* NightHawkの特徴 - ハウジング設計

NightHawkでの独自性と最新技術の採用はハウジングにも活かされています。
イヤカップはリキッドウッドというパルプから作られた素材を採用しています。リキッドウッドは名の通りに木でありながら流体であり、自由な形に成形できるのが特徴です。硬くて木材の良さとしてダンピング特性に優れています(振動板でのバイオセルロースのようにやはり理想的な素材に成功したということ)。これも最新の素材であり、5年前には存在していなかったものだそうです。
リキッドウッドのおかげで木の素材を生かしながら人間工学的な外耳に合わせた形を作ることが可能となり、裏側の補強リブなど複雑な構造も可能となっています。また音響特性に優れているだけではなく環境配慮もあります。

NH-inside-earcup1.jpg   NightHawk_Laid-Down-Right[1].jpg

イヤーカップ内はドライバーのところでも書いたようにスピーカーの考え方が生かされ、補強材や吸音構造などスピーカーのキャビネット内に似ています。このようにNightHawkはヘッドフォンというより、むしろスピーカーのミニチュアのような設計がなされているわけです。

earcup.png

これらの利点は振動解析によって明らかになっています。上の図で左の一般的なイヤカップではカップデザインがよくないので、一か所に振動が集中する結果として振動が高いところと低いところができてしまいます。図の赤い部分が振動の大きい部分で青が振動の少ない部分です。
NightHawkではさきに書いたイヤーカップ(エンクロージャー)内の補強材やスピーカーのようなポリウールのダンピング材により振動を最適化させ、その結果として均一に振動のないイヤカップとなっています(全面が振動が少ない青となっている)。

DCL1.png   IMG_5840_filtered[1].jpg

リキッドウッドの他に特筆すべき点は、セミオープン構造のためにイヤカップの背面に設けられたエアダクトのグリルです。これはダイアモンド・キュービック・ラティス・グリル(ダイアモンド・立体形状・格子グリル、略してDCLグリル)という複雑な形状をしています。
このDCLグリルは上の図のように実は昆虫の蝶の翅の細部の形状から着想したディフューザー(かくはん機)です。蝶の羽のメタリックでキラキラしているところは拡大すると上の図のような構造をしていて効率的に空気をかくはんできるのです。これで振動版の背圧に適度な空気抵抗を与えることができます。
その効果をSkylar氏に聴いてみましたが、これは定在波が出て着色の要因となるのをさけるとともに、DCLグリルが音響抵抗となり特定周波数の調整などチューニングの自由度が増すということです。ここはイヤフォンにおいて音響抵抗で音を調整するのに似ているのかもしれませんが、Skylar氏のWestoneでの知見が生きているのかもしれません。
この多孔質で複雑な形式は従来のモールドや機械加工の製造方法では製作が不可能であり、近年出た3Dプリンターの採用によりようやく作ることができるようになったものだということです。

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またハウジング内では、バスケットと呼ばれる空気抜きのベント穴の保持部分にも工夫がされています。一般的なヘッドフォンでは上の図の左のようにこのベント穴は不均等に配置されています。
これはコストを低減するために多くのヘッドフォンはボイスコイルのサーキットボード設計の端子配置で仕方なくこうなるそうです。しかし不均等だとエアがバスケットを傾けてしまい歪みがでてしまいます。NightHawkではコストより音質を取りたかったので、その端子をベントホールに影響ない位置に移したということです。結果として均等なベント穴が実現できています。またエアフローも最適にスムーズに流れてよどみないように計算がなされています。

* NightHawkの特徴 - 装着性

NightHawkは快適性にも最大限に注意を払って設計されています。
ここでもNightHawkの独自性が発揮されているのが分かります。NightHawkのデザインの特色として側面からみるとクロスバー(側面から見ると×になっている部分)のような部分でヘッドバンドとイヤカップはバーで支持されて結合されています。これがサスペンションです。

IMG_5840_filtered[1].jpg   sus.png

このサスペンションシステムはプロ用マイクのショックアブソーバーから着想を得た独自の構造で特許出願中です。よくプロ用マイクが複雑なかごに入っているように見えますが、あれですね。
この効果は音質的なものと、快適性の両方に効果的です。音質的にはサスペンションでイヤカップの振動を分離できるので、位相的な干渉の問題に効果的だそうです。もっとも効果的なのは快適性についてで、強い側圧で締め付けないでも、弱くて快適な側圧でもぴったりと頭に合わせて固定できます。これによって側圧を弱めに設定することができたので、頭に負担がかかりにくくなっています。このサスペンションは105個もの試作を経て完成したそうで、均一に負荷がかかるように設計された自動調整式のヘッドバンドと合わせて、実物よりも軽いような感覚を与えています。

IMG_5852_filtered[1].jpg   earcup2.png

イヤパッドはプロテイン・レザー(人工皮革)であり、イヤカップ同様に外耳の形状に合わせています。これはなんと卵の殻から作られている天然素材だそうで、そのため人肌にも優しく作られているそうです(日本の会社との協業によるものだそう)。イヤパッドは簡単に取り外しができてメンテナンスにも優れています。
またNightHawkではパッドの後部を厚くすることでダイアフラムを外耳にあたるような角度にすることに成功しています。これにより空間表現に優れた音再現ができるわけです。上の右図で青がイヤパッドで、赤がドライバーです。

* NightHawkの特徴 - ケーブルそのほか

もちろんケーブルはAudioQuestですから下手なリケーブル用の交換ケーブルよりも優れたケーブルが採用されています。

IMG_5863_filtered[1].jpg  IMG_5873_filtered[1].jpg

NightHawkのケーブルはスピーカー用のキャッスルロックという高級線材をベースにしているということで、ヘッドフォンだけではなくケーブルもスピーカーオーディオ用のもののミニチュアとして考えているわけですね。基本はミニ端子ですが付属の標準変換プラグは特注の独自設計で、一般的なブラスではなく音響的な配慮もしています。

このようにNightHawkはさまざまな新技術を採用し、独自のアイディアで設計されています。
そのため開発では35のデザインモデル、50を超えるドライバー試作、100を超えるサスペンションの試作、100を超えるイヤカップの試作、10,000を超えるプロトタイプのパーツ作成(ヘッドバンドやグリルなどなど)という試行錯誤を行い、多数のプロトタイピングと施策を重ねた結果NighHawkが生まれたということです。


* 試用と音質

これはプロトタイプでの試聴です。外観や音はほぼ完成版ですが多少の変更があるかもしれません。

IMG_5854_filtered[1].jpg  IMG_5844_filtered[1].jpg  IMG_5846_filtered[1].jpg

リキッドウッドの質感はなかなか高く仕上げも丁寧です。サスペンション支持のイヤカップの形状もユニークです。また自動調整式のヘッドバンドは金属ノッチのようなアジャスターが見えないので高級感があります。
NightHawkのユニークさはまず装着してみて分かります。いままでにない柔らかく軽い装着感で、気持ち良く装着できます。いままでに使った中でも独特で心地よい装着感です。弱めの側圧も良い感じですね。ケーブルはちょっと硬めです。

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NightHawkとDENON DA300

まずUSB DAC内蔵のヘッドフォンアンプとしてDENON DA300と接続してみました。
全体的には音楽的に滑らかさと抑揚のあるDENONのUSB DACと、音楽的なNightHawkとの相性がなかなか良い感じです。DA300はゲインがないのがネックですが、NightHawkは能率が高いので十分な音量が取れます。
音の第一印象としてはセミオープンということもあり、密閉型のような密度感と抜けの良さを両立して、疲れにくい聴きやすさも兼ね備えているように思います。実際に側面のDCLグリル穴を手で塞ぐと詰まって開放感に欠ける音になります。

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LINNの24bitクリスマスアルバムを聴いてみましたが、ヴォーカルがリアルで立体的、音は左右に広いよりも立体感・奥行きがある感じですね。細かさの抽出もHD800あたりとそう変わらない気がします。性格が違うかもしれないとは思いつつ、HD800と比べてみたのですが、たとえばHD800のピアノの音は乾いて平板的だけれど、NightHawkは艶っぽくて音に陰影のような立体感を感じます。SHANTIのヴォーカルでも同じ感じで、HD800は音場は広いけど乾いて平板的、NightHawkは艶っぽくて立体的です。NightHawkでは音の広がりとか定位というよりも、一つ一つの音が彫りが深く立体的に陰影があるように感じられます。

NightHawk_Ear-Grille[1].jpg

中低域にかけての厚みが豊かで、高音域は落ち着いてきつさはない感じです。中低域が豊かと言っても低域が膨らんで突出した音ではなく、十分な量感を確保しながらスムーズにベースが出てくる感じですね。着色はないと思いますが、いわゆるやや暖かみがあってしっかりとしていながら立体感があるように聞こえます。
中音域から中低域にかけては抜群の再現力で音楽を聴くのが楽しくなるような音の鳴り方です。高音域はきれいに楽器の音やベルの鳴りを再現するがきついという感じはないですね。NightHawkでは意図的に調整しているように思いますが、好みの問題で高音域はHD800が良いという人もいると思います。
NightHawkの低域の量感は多めですが適度にタイトで、膨らんでぶよっとしているわけではありません。コントラバスソロなどでは低域の解像力も高く、ベースではピチカートの切れもよいと思います。すごく硬くタイトというわけではなく聴きやすさもあります。

次にDA300をDACとして使い、専用のヘッドフォンアンプSoloist SLを使うとさらに音質は上がってダイナミックさが堪能できます。解像力も高くかなり細かい音を拾っているのがわかります。Soloistの分析的な感じも緩和されるのでなかなか良い組み合わせかもしれません。NightHawkの音支配を感じますので、個性が生きているのでしょう。

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NightHawkとDENON DA10

ケーブル自体はミニプラグなのでポータブルでもよく鳴らせます。背面ポートから音漏れはあるので電車ではお勧めしませんが、お散歩とか家でもポータブル機器を使っている人には良いかもしれません。
DENON DA10と合わせてみましたが、これもDA300同様になかなか良い組み合わせです。厚み・暖かみがあってダイナミックなDENONの音キャラによく合う感じで、意図的ではないかもしれませんがD&Mで扱うには良いラインナップですね。マランツのHD-DAC1と組み合わせるとどうなんでしょうか。
DA10のiPhoneデジタル接続だとかなり細かい音を拾っているのもわかります。楽器音のきれいさ、鮮明さもかなり高いものがあります。なんか家でもこれでよいかなと思える優れたレベルの再生です。能率がわりと高めなのもよいですね。
もちろんAK240などでもよい音を鳴らしてくれます。2.5mmバランスケーブルもあるとよいかもしれませんが、クローズのNightOwlに期待です。

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左:AQ特製 中:フルテック 右:一般品

最後にNightHawkの隠れたポイントのケーブル端子変換プラグを変えて少し聴いてみました。
NightHawk付属のAudioQuest特製と一般品だとAudioQuestの方がブランデンブルグ協奏曲のような室内楽でより高域がきれいにのびて全体に上質に感じられます。またパーカッションでも音のエッジが上質に思えますね。それとAudioQuest特製のほうがよりしっかりとはまって接続ができます。
フルテックの高音質変換プラグF63とAudioQuest特製だとフルテックが透明感にやや優れますが多少ドライ感が出ます。AudioQuest特製のほうがより暖かみがある感じですね。ここは好みもあるのでNightHawk買った人はフルテックプラグも買ってみると音を少し変えられて面白いと思います。

* まとめ

音はなかなかよく作りこんであると思います。HD800のように分析的ではなく、オーディオ機器の高い音質を生かしながら音楽的に聴くのにお勧めのヘッドフォンです。快適性と高い音質を両立させているのも長い時間楽しく音楽を聴くのに良いですね。
価格的にも音質を考えると高すぎずに抑えていると思います。

NightHawk_Front[1].jpg  NightHawk_Laid-Down-Left[1].jpg

NightHawkは3Dプリンタ、リキッドウッド素材、最新の解析ソフトウエアなど最新技術を採用した今でなければできなかったヘッドフォンです。それにSkylar氏の暖めていた、スピーカー技術を適用して簡略化ではない、真にHiFiスピーカーのミニチュアを作るというアプローチがなされたものです。
ここで説明によく出てきたピストンモーションという言葉もあまりヘッドフォンの世界では使わないと思いますが、主にスピーカーで振幅の大きなウーファーなどで使う言葉で海外文献を読んでいるとよく出てきます。Skylar氏はサブウーファーを作るkickerという会社にもいたのですがその低音域再現のノウハウも十分に生かされているのでしょう。
そう考えるとNightHawkがスピーカーオーディオの世界にいるAudioQuestから出てきたのはそう不思議なことではないように思えます。

今回NightHawkを見て教えられたことはヘッドフォンの進化です。いままでもヘッドフォンは小さなスピーカーであると例えられてきました。しかし、実のところではスピーカーとは異なるところが多々あることに気がつかされます。それはおそらくエッジを省力したり、ボビンを省力したりとヘッドフォンでここまでは不要だろうという考えと、ヘッドフォンは単なるアクセサリーだから安くせねば、という考えがあったと思います。ヘッドフォンケーブルがグランドが共通でいいやと考えられてきたのとも通じるかもしれません。
しかしいまでは時代は変わりそうした考えは変えるべきなのでしょう。いままでのヘッドフォンメーカーではどうしても伝統にしばられてしまうこともあったかもしれません。しかしそれができたのは新規参入のAudioQuestだからであり、そのうえで妥協ないものを作るという同社ポリシーによりエッジとかサスペンションのような細かなこだわりがあったからです。Skylar氏はこのような時代の変化をヘッドフォンによって伝えたいと語っていました。
それがこのNightHawkです。

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ヘッドフォンオーディオ流行りといいますが、HD800やEdition8などの高性能ヘッドフォンの熱狂は後退して、実態は高性能イヤフォンに傾倒していたというのがここ数年のヘッドフォンオーディオ市場の実情であったと言えます。
いままでにないアプローチで設計されたこのNightHawkが新しいヘッドフォン時代の担い手になれるかが今年の注目点の一つであると言えるでしょう。
posted by ささき at 23:48 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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