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2015年02月08日

JH Audio Sirenシリーズの末妹、アンジー レビュー

先日レイラの記事を書きましたが、引き続いてアンジーの紹介記事です。JH Audioの新世代IEMと言えるSirenシリーズはレイラ、ロクサーヌ、アンジーの順となります。
レイラの記事はこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/412685882.html

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AK120II + Angie

レイラはクラプトンの有名な曲でしたが、アンジーはストーンズの曲から取られています。この前ジェリーに聞いたところでは、彼が作るイヤフォンは低域を少し持ち上げている特徴がありましたが、それをジェリー自身は「ロックンロールチューニング」と呼んでいました。私が底を突っ込んで「だから名前はロックンロールガールズなんですね」って言ったらちょっと笑ってました。

ロクサーヌはまさにそういう特性だったのですが、レイラとアンジーはそこをリファレンス的に下げて調整しています。そして周波数特性をフラットにするために4次クロスオーバー(ロクサーヌは2次)で急峻にカットをしています。この低域とクロスオーバーのチューニングはレイラとアンジーでも異なりますが、ロクサーヌに対しては別なアプローチと言えます。
これによってJudeが前に行っていたようにSirenシリーズの特徴であるベース調整の幅が大きいことで、音の調整幅が大きいとも言えます。つまりはロクサーヌのようにはじめから強調していないのであげる余地が大きいというわけです。ロクサーヌは演奏者向けにもう少し明確に低域を持ち上げた「ロックンロールチューニング」をしているというわけです。

ドライバーの構成は3Wayで高域に4つ、中音域に2つ、低音域に2つの8ドライバー構成となり、レイラとロクサーヌの妹という位置づけになっています。
高音域だけ4つのドライバーにしているのはレイラやロクサーヌと同じ特性をもつためです。ジェリーが言うにはIEMにおいて低音域と中音域の特性を得るのはそれほどむずかしくないが、高音域はむずかしいということです。もともとBAは高音域特性を得るのがむずかしく、16kHz以上はなかなか達成しがたいものになっています。しかしSirenシリーズでは16kHzでたしかに特性はおちはじめるが、16kHzから20kHzまではなんと-0.5dBを保ち、20kHzや23kHzでさえもまだ有意なほど特性をもっているということです。ジェリーのIEMは見かけのハイレゾロゴこそありませんが、真実の高域特性をもったイヤフォンだと言えるでしょう。

他の帯域では、低域はやや抑えめで、高めの中音域はやや強調されるので、ヴォーカルやギターが少し前に出てくる特性を持っているということです。アンジーは低音域が2つのドライバーで少なめなのでクロスオーバーではやや持ち上げた(レイラほど急峻でない)調整をしているそうです。

アンジーユニバーサルのシェルサイズはやや小型で、シェルはケブラー製です。ベゼルはCNCアルミでギターピックはカーボンファイバーです。
ジェリーに聞いたところロクサーヌユニバーサルは3Dプリンタで制作されていたそうですが、レイラとアンジーはどちらもシェルは3Dプリントではなくハンドメイドで作られているということです。カスタムとの違いは耳型くらいで違いはあまりないそうです。

* 開封の儀

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アンジーはレイラのようにカーボン模様がちょっと覗くという演出はなく、普通の中箱です。紙質も普通のものです。アンジーは中箱がぱかっと折れて開くタイプで、片側にアンジーが格納され、JH Audioのクライアントリストシートは別紙ではなく、この印刷となっています(レイラでは別紙でした)。

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アンジーのケースはユニバーサルの丸カンケースです。中を開けると2.5mmバランスケーブルが入ってます。AKR03についてきた2.5mmにくらべると今回アンジーとレイラについてきた2.5mmは金メッキされています。
底のアクセサリー箱にはレイラと似たようにチップと保証書とベース調整ドライバー、クリーニングキットが入ってます。

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アンジーはレイラよりコンパクトです。見た目より耳に装着するとよくわかります。レイラだと大きめですがアンジーだとこのクラスでは標準的なサイズでしょう。

アンジーはSirenシリーズではロクサーヌの下に位置するけれども、実際はロクサーヌとはほぼ音質レベルでは変わらずに、音の個性で変わっているというべきだと思う。レイラ記事でも簡単に書きましたが、音質レベルというとロクサーヌとアンジーはほぼ同じくらいで、個性により長短があるという感じです。そうした意味では高い音質に比べてコストパフォーマンスはよいと言えるでしょう。最新の技術を採用したアンジーか、12ドライバーのロクサーヌかという違いですね。

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音はロクサーヌ譲りでよく整っていて細かな再現ができています。また立体感に秀でている感じですね。雑踏とアナウンスのような環境音を聴くと、立体感と空間再現はレイラ譲りの良さは感じられます。

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ベース調整ノブを標準位置にして、ロクサーヌのA&KモデルであるAKR03と聴き比べてみました。
AKR03よりもさらに音の広がりというか空間再現力、立体感は上がっているように思えます。ベースのパンチが上でより音の歯切れが良い感じ。ただ全体にやや軽くベースの迫力という点でいうとAKR03のほうが量感もある感じではあります。アンジーのほうが楽器の音の甘さが少なく正確に聞こえます。
AKR03のほうが濃くて太いけれども、アンジーはよりすっきりとして聴こえシャープで引き締まっているというかんじでしょうか。音の好みの差ではあるけれども、HiFiとかリファレンスという言葉ではアンジーのほうがより適切だと思います。
アンジーはだいたいにおいてはロクサーヌのような音ですが、よく聴くとアンジーではそうした違いがロクサーヌ(AKR03)に対してありますね。

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AKR03(左)とアンジー

アンジーは基本位置でも低域が少ないということはないけれども、調整ノブを上げていくことで上記の迫力少ない感じはわりと埋まってきます。上記は両方とも標準位置での比較だけれども、ロクサーヌのほうがもともと多めなのでより低域は多めと言えるかもしれません。
反面でアンジーでも低域を上げていくとタイトさは減ってゆるくなってくるのでここはさじ加減と好みですね。

またレイラとアンジーはFreqPhaseを突き詰めたせいかわからないけど、チップのはめ込む深さで音が変わってくるように思います。特にレイラはチップのはめ込みの深さでもけっこう音が変わるので深くしたり浅くしたりして調整するとよいと思います。
個人的にはチップをチューブが見えるくらい深くはめないで少し浮かせたほうが空間再現力が上がるように思いますが、ここは人の耳の長さなどでも変わるかもしれません。

アンジーは来週末のポタ研でアユートさんのブースにありますので、レイラともどもぜひ聴いてみてください。
posted by ささき at 16:25 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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