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2014年12月16日

Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(3) - MQAの音質

Meridianの新音源フォーマットのMQAですが、ネットマガジンTwiceの12/15付けのオーディオコラムに面白い情報が載っていました。
http://www.twice.com/meridian-mqa-audio-tracks-coming-2015/55280

MQAを実際に使う際に再生側はMeridianがExplorer2を用意しましたが、音源ですから配信されないと意味がありません。もちろんMeridianのボブスチュワートはこの点でもずいぶん前から根回しをしていたようで、ニールヤングの件もそのときのものなのでしょう。
その点ではまずAtlantic recordsが配信を表明しているそうです。あるいはCES2015でもう少し発表があるのかもしれません。

それと買う側のメリットはなにか、ということです。ひとつ明らかなメリットはサイズが小さくなるということです。デコーダーが必要だけれどもポータブルオーディオではもちろん有利ですし、ストリーミングプロバイダーが使うことでユーザーの通信速度が低くても「ハイレゾ相当」の品質が楽しめることになります。
これは192/24のハイレゾFLACで150MBのサイズがMQAだと30MBになるといいます。FLACはすでに2:1で圧縮されていますので圧縮率は10:1ということになります。これは「ロスレス」としてはあきらかにあり得ない値のように思えます。その仕組みの一つは前回記事MQAを考える(2)のときに書いた「四角を三角に」で説明できますが、これだけでは不十分に思えます。これは次の件にもつながっています。

もうひとつMQAのメリットで宣伝されているわりによくわからないのは「音質」です。
MQAの宣伝として書かれた言葉でよくわからないのは「タイムドメイン重視」とか「神経科学的な側面」という言葉です。それらによって、MQAでは音質が良いということも書かれますが、単純な疑問として、単に圧縮しただけならオリジナルマスターより音がよくなるわけがありません。戻して元と同じですからね。
これにはまずマスター音源をMQAエンコードしてデコードしたら元のマスター音源とバイナリ一致するのか、というをまず明らかにしなければならないとは思います。しかしながらいまのところそこが不明確なので推測するしかないのですが、推測するならば10:1という高圧縮レートや音質が良くなるという言葉から推測できるのは非可逆(lossy)で、かつなんらかのデジタル信号処理を加えているということです。

ここでポイントになるのがこのTwiceの記事のEfficiencyのところです。それはボブスチュワートが言っている「聞こえない24kHz〜48kHzの部分は聞こえる音(つまりそれ以下の可聴帯域)の到着時間(arrival time)の情報をもっていて、これがリアルな音楽再現に重要である」という点です。
そこでMQAはそのタイミング情報を失わず(losslessly)に可聴帯域に畳み込む(fold)ことでサイズを小さくしていると言っています。それによって、192/24音源の10倍よい精度でタイミングの解像度(resolution)を再現することができるということです。(ここもちょっとよくわかりませんが)
これによってMQAでは演奏の自然さを失わせることになる"時間的ボケ(temporal blur)"を取り去り、音に深みと質感を加えるということです。人は時間情報に対しては周波数情報に対するよりも5から13倍も敏感ということで、つまりここがいわゆる神経科学(neuroscience)的なところです。
これを考えるとやはり、MQAは単に圧縮をするというだけではなく、なんらかの信号処理を用いているように思えます。

いずれにせよ、まだあいまいなところはありますが、MQAの特徴であるサイズの小ささ、音質についてはある程度のイメージは出来てきたようには思います。あとは実際に聴いてみる、というところでしょうか。
posted by ささき at 21:15 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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