Music TO GO!

2014年12月06日

Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える

イギリスのオーディオメーカーMeridianが新音楽フォーマットMQAについてのサイトを立ち上げています。
http://musicischanging.com/

MQAとはMaster Quality Authenticatedのことで、いままで相反していた使い勝手と音質を統合できるとしています。具体的にはなにか、ということですがこれは詳細がまだ明かされていません。
以下は私のただの推測です。

まずMeridianはMQAを以下のステップで表しています。
マスターレコーディング⇒カプセル化(MQA encapsulation)⇒種々のロスレスフォーマットでのダウンロード/ストリーミング⇒HW/SWでの再生

Absolute Soundの記事によると、MQAはエンコーディングであり、録音やマスタリング時にMQAでエンコーディングできるとあります。またPC&TechによるとMQAはCDと同じ帯域幅(ほぼ1Mbps)であるとしています。エンコーディングは従来の周波数とタイミングを同じ優先度で考えるのではなく、神経科学要素からタイミングを重視したといいます。
http://www.theabsolutesound.com/articles/robert-harley-listens-to-meridian-mqa/
http://www.pcauthority.com.au/News/398532,meridian8217s-mqa-promises-studio-quality-music-for-streaming.aspx

これらのことから考えると私はMQAの正体はアダプティブ・ロスレス(adaptive lossless)ではないかと思います。アダプティブ・ロスレスについては前にOraStreamの記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html

アダプティブ・ロスレスはミルフィーユのようなもので、十分な帯域幅が伝送で確保できるならすべてのデータが送られますが、伝送が細くなるとミルフィーユの皮がむけるように音質を落としていきます。つまり完全な形がCD品質またはハイレゾデータで、そこから上で書いたカプセル化によっていくつかのミルフィーユの積層に分割していくのではないでしょうか。これはMPEG4-SLSと同じです。
おそらくここのステップにおいて、神経科学要素からそのロスをさせていくのではないでしょうか。たとえばMP3はどうせ15Khz以上の音は聞こえないからと周波数的に切り捨てたわけですが、MQAではそれを特定周波数ではなく、神経科学要素から捨てていく(積層にしていく)と思います。よくわかりませんが。
MQAデコーダがなくてもCD品質は保てるというのはハイレゾデータをMQAエンコードした場合、ミルフィーユの積層をはがした核がCD品質なのかもしれません。
具体的な製品としては新しいExplorerにMQAデコーダーが搭載されたようですhttp://www.whathifi.com/news/meridian-reveals-explorer-2-dac-mqa-support

これが意図しているところはロスレスストリーミングですね。たとえばいま海外では話題のTidalとかQobuzです。もっというならば、ハイレゾ・ロスレスストリーミングです。もしそうならば日本はまた蚊帳の外です。

PONOの記事でニールヤングがMeridianとやっていたのはMLPと書きましたが、おそらくこのMQAのことだったのでしょう。たしかにニールヤングがアダプティブストリーミングをやっているという情報もあったので、つじつまが合います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/262455301.html
なんとなくいろんな手がかりが符合しはじめてきましたが、まだまだよくわかりませんね。

FLACやALACなど既存のコンテナに含められるとありますが、事実エンコーディングとファイル形式はわけなければなりません。Jpegはファイルフォーマットではなくエンコーディング形式です(ファイル形式はJFIFかExif)。WAVは通称でファイルフォーマットはRIFFです。
ファイルは容器の形式でエンコーディングは中身の詰め方です。

PCオーディオにおいてはDSDの次のトピックが見えにくいのですが、もしMQAがロスレスストリーミングを志向しているならば、海外は「次」をロスレスストリーミングに狙いを定めているようにも思えます。そうした場合、CDから先に進まない日本のオーディオの明日はどうなるのでしょうか?
posted by ささき at 00:13 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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