まえに今年のポタ研でDENONのDA-10の発表会の記事を書きました。今回はDA-10を実際に使用してみてのレビューと解説などを書きます。
DA-10は国産オーディオメーカーの老舗であるDENONが開発したDAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプです。入力はアナログ入力のほかに2系統のUSB入力をもっています。
DA-10底面
Appleが30pinドックコネクタを採用していた時はアナログのラインアウトがあったので、アナログ入力で済んだのですが、Appleがライトニングコネクタに変えてからはアナログの出力が出せなくなったので、iPhoneから品質の良い音の取り出しをするためにはこうしたDAC付きのポータブルアンプが必要となってきたという経緯があります。
DA-10のUSB端子はUSB AとUSB microBの二つあります。これは簡単に言うとUSB AがiPhoneとのデジタル接続をする端子で、USB MicroBはPCと接続をするための端子となります。これについて詳細は以降書いていきます。DACチップはいまやバーブラウンの主力であるPCM1795です。DSD再生など最新の技術動向に向いています。
DA-10正面
出力はミニステレオ端子ひとつで、ヘッドフォン出力です。ただしこれは出力を固定することでアクティブスピーカーなどデスクトップでも使えるようにしてあります。
DACの入力はDA300に準じたもので、最大でPCMが196kHz/24bitまで、DSDは5.6MHz(DSD128)までのネイティブ再生が可能です。iPhoneとの接続では48kHz/24bitが上限です(例外はあとで)。
* 技術的特徴 - Advanced AL32ありき
いわく、アーキテクチャの踏襲という意味ではSX1をデスクトップにしたのがDA300で、町に持ち出すのがDA-10ということです。
DA-10はポータブル版のDA300ともいうべき多くの特徴を持っています。まずDENONの看板でもあるAdvanced AL32(以下AL32)です。
これはまずビット拡張で32bitにしてからアップサンプル(時間軸拡張と言っている)をしています。
特徴的なのは搭載するPCM1975 DACチップの特性を生かして、出来合いのPCM1975のデジタルフィルターをバイパスして、より高精度のAdvanced AL32をデジタルフィルターとして置き換えているということです。
このようにまずアルファプロセッシングありきで設計がなされ、このアップサンプリング・32ビット拡張とフィルター部分の置き換えによってPCM1975の能力を最大限に発揮できるというわけです。アップサンプリングはDA-10に入力されるサンプリングレートによって調整が行われ、ハイレゾデータを生かすことができます。
この効きと言うのはデータの下位ビットに相当するところで、例えば静寂の部分から音の立ち上がりが滑らかと言うことです。前の記事でも書きましたが、この下位ビットの処理が実のところハイレゾのかなめですね。
ちなみにAdvanced AL32はFPGAで実装されています。またAL32はPCM向けのものですから、DSD再生時ではAL32はバイパスされます。
* 技術的特徴 - ちいさくともオーディオ機材
それとDA300と同様にオーディオ機器らしいこった設計もDA-10のポイントです。
DA300のレビューのときも書きましたが、DA-10でもDACマスタークロックデザインを取り入れています。これはDACのクロックを主(マスター)と明示することで、周辺回路との正しい同期を取るというものです。クロックというのはデジタル機器の基本ですから、これによってより正確なクロックタイミングが得られることが期待できます。
ピュアオーディオ製品ではクロックのマスター・スレーブというのは良くありますが、ポータブルでは初めて聞くように思います。ポータブルの場合にはスペースのために実装的にも難があって、例えば他のDAC内蔵ポータブルアンプではUSBコントローラの近くにクロックがあったりしますが、DA-10ではDACの近くにクロックがあり、DACのクロックがあくまでマスターとして周辺機器であるところのUSBコントローラが従になるわけです。
アンプ部分は±6.5Vの高電圧で駆動し、後段(バッファ部分)がディスクリートで設計されて十分な性能を確保しています。パーツもオーディオグレードコンデンサーの採用や、ポータブルヘッドホンアンプでは標準的な角型チップ抵抗よりも低ノイズ、低歪みのメルフ抵抗(丸いやつ)を採用するなど考慮がなされています。
また独立電源回路基板もポータブルにしてはかなりこっています。一般的なポータブルアンプだとオーディオ回路と同一基盤に電源があるわけで、これはある意味仕方無いですが、DA-10ではDC-DCコンバーターのノイズの影響を低減させるために基盤構成を2階建てとして電源を別基盤化しています。GNDもデジタルとアナログ部分を分離してノイズを考慮したレイアウトを行っています。
つまり回路・電源別、デジタル・アナログ別という基本も守っています。
* 技術的特徴 - 小型化への挑戦
まさにDA-10は小さくともオーディオコンポーネントらしいという感じです。DA300が手のひらに入ったというイメージでもありますが、小さくすることはそう容易ではありません。
実際に設計は音質にかかわる主要部品をDA300同等にするというところからスタートしたということです。まずCADなどでシミュレーションを行いますがこの時点で部品の占める面積が多すぎるという問題に直面します。そこで従来ならば基盤構成は4層ですが、DA-10では6層ビルド基盤を採用します。これはウエハースのように基盤を組み合わせたもので、これによりGNDのポテンシャルの向上や、クロックラインの最短接続、パターン干渉の低減などの効果がうまれました。
コスト的にはかなりアップしましたが、音質やサイズの相反する問題をこれで解決できたということです。
DA300みたいなサイズのUSB DACならともかくも、スペースに制約のあるポータブルまでこうしたオーディオの基本を実直に守るのには頭が下がります。これもDENONがまじめなオーディオメーカーである証なのでしょう。
* DA-10のさまざまな機能
DA300からの改良という点では、DA300ではゲインがなくてHD800などが音量が取れなかった問題をDA-10では改良しています。DA300ではHD800は音量的に苦しかったのですが、DA-10ではうるさいくらいに音量が取れます。これで録音レベルの低い高音質録音の音源にも十分対応できます。スペック的には8-600オームまで駆動できます。
DA-10側面
ラインアウト端子はないのですが、ヘッドフォン出力は可変(var)と固定(Fix)が選べるので、外部出力機器に接続するときは固定で出力することができます。三段システムでDACとして使いたい人もいますからね。
なお可変と固定の切り替えには電源をいったんオフにしなければなりませんので、注意してください。
電池の持ちに関しては、大容量(3200mAh)のリチウムイオンバッテリーにより、iPod接続時(USB AでのiDevice接続時)で7.5時間の再生が可能ということです(USB microBで電池使用した場合には6.5時間ということです)。アナログだけなら24時間は持つのもなにげにすごいところです。この辺は電源管理が徹底されていることもうかがえますね。
電源を投入するときにチャージランプの色点灯でだいたいの残量がわかります。
* DA-10の使いこなしと音質インプレ
パッケージを見ると、箱や梱包の時点で満足感が高いですね。パイオニアのU05でも思ったけど、こういうところはさすが国産で、私みたいに海外の怪しいものに慣れてるとこういうのが新鮮です。なにしろ保証書の代わりに名刺が一枚入ってるというのが当たり前だと思ってましたので(それもない場合がほとんど)、化粧箱に入ってアンプがくるだけで新鮮です。
iPhoneと合わせるためのケースが付属してきます。ケースを使用した時にはケーブルをガードしてくれるので、入力と出力が逆側なのでバッグの中で収まりにくいという問題を緩和してくれます。
筐体はデザインや質感は高く高級感があります。DA-10のデザインは表面がヘアライン、テーパー部分が梨地仕上げとなっており、その違いを強調するために処理の境目に段差を設けています。この辺はかなり試行錯誤をしたということで、たしかにすばらしい高級感のある仕上げとなっています。ヘアラインはプレートを張っているのではなくアルミの一枚板です。
金属のシャーシはRFノイズ対策にもなるでしょう。中ではさらにパネルと基板の導通を工夫することでシールド効果を生じさせています。実際に電波を輻射させる状態でiPhoneを置いても全くと言ってよいほどノイズはDA-10に影響しません。
サイズ的にはやや大きめですが、軽いので携帯にはそれほど苦になりません。デザインはiPhone5に合わせたようですが、iPhone6でも大丈夫です。
DA-10はスマートフォンに向いたアンプということが言えます。それゆえにまたDA-10を手にしたときに、これをどうやって使いこなすかというのが悩みどころなのではないでしょうか。いままでのアナログ入力だけのポータブルアンプだと話は簡単なのですが、デジタル接続ではさまざまな決めごとがあります。これはまずソースであるプレーヤーになにを使うかというところから始まると思います。
そこでソースの場合分けをしながら以降の記事を書いていきます。
1. DA-10とアナログ接続
プレーヤーが旧iPodやAK100などの場合は、いままで通りに3.5mmミニ端子の付いたラインアウトドック(LOD)やミニ・ミニケーブルでアナログ接続が可能です。
DA-10の場合にはアナログ入力端子とヘッドフォン出力端子が反対側にあるので、バックのなかで立てておきたい場合にはケーブルにストレートではなくL字型の端子をもったものを使うとよいでしょう。(あるいはケースとの兼ね合いです)
iPod ClassicとDA-10
付属のケースを使うこともできますが、私は慣れた背面直置きでバンド留めを使っています。アルミボディの黒いポッチはラバーで、そのままiPhoneをおいてクッションになります。黒いポッチはデザイン的なアクセントにもなってます。海外製品だと両面テープが入ってくれば良い方なので、この辺の細かさは国産メーカー品ですね。
この場合のスイッチ設定は以下のようになります。
出力モード切り替えスイッチ: Varにします
充電モード切り替えスイッチ: OFFにします
入力ソース切り替えスイッチ: AUXにします
ゲインはほとんどの場合はノーマルで良いでしょう。
iPod classicにラインアウトドックを使ってアナログ出ししてDA-10のAUXに接続し、Ultrasone Edition8で試聴しました。
分厚い力強い音で、Edition8のベースを十分生かして迫力を生んでくれます。滑らかでほどよく暖かいところが良いですね。
高音域から低音域までしっかりと再現され、アナログアンプとしての解像力もかなり良く、Edition8クラスでも文句がないくらいの音質です。楽器の音の明瞭感も良く、音色は優しい鳴り方です。ヴォーカルの再現も同様に良いですね。小さくてもデノンらしい厚みがあって力強いデノンサウンドが楽しめます。
iPodソースにしてはかなり良く、アンプ単体としても良い出来だと思います。ただ音の広がりは悪くないけど標準的です。
2. DA-10とデジタル接続
ソース機器がiPhone/iPadやPCに接続する場合にはデジタル接続が向いています。(iPodでも可能です)
この場合、DA-10では2系統のデジタル接続があるため、デジタル接続では二つのUSB端子をどう使い分けるかが問題となるでしょう。主にソースと端子の組み合わせで3通りが考えられます。普通の使い方が2通りと、マニアックな使い方がひとつです。(下記の2-1,2-2,2-3です)
まず簡単に話を始めると、USB AはiPhone/iPad用(2-1)で外で使いたいとき、USB microBはPC用(2-2)で家で使いたいときに使います。
2-1 USB Aを使用する - 外でiPhone/iPad/iPodを使う
これはいわゆるiDevice接続というやつで、ケーブルは同梱のライトニング - USB Aケーブル(10cm)またはApple 30pinドックコネクタ - USB Aケーブル(10cm)を使います。
この接続方式は旧iPod時代からありましたが、最近Appleでは30pinコネクタを排してライトニングになり、アナログラインアウトがライトニングではなくなったので必要性が増したと言えます。また最近この方式は拡張されてPhilipsのM2Lみたいにデジタル接続のヘッドフォンも現れています。iPodでは5.5世代(iPod Video)以降でサポートされていますがDENONの保証はClassic以降です。
この場合のスイッチ設定は以下のようになります。
出力モード切り替えスイッチ: Varにします
充電モード切り替えスイッチ: OFFにします
入力ソース切り替えスイッチ: iPod/iPhoneにします
入力をiPod/iPhone位置に切り替えてから同梱のケーブルでDA-10のUSB AにiPod/iPhoneをつないでください。
ゲインはほとんどの場合はノーマルで良いでしょう。
試聴はiPhoneに標準の白いケーブルを使ってDA-10のUSB Aに接続し、Edition8で試聴しました。
デジタル接続にすると透明感とクリアさがぐっとまして、情報量もかなり増えます。楽器の音鳴りがシャープになり、キレが良く、音色が鮮明にわかります。低域も深くなり、かつ膨らみがあまりなくタイトですね。
全体にかなり音質は向上し、このDAC(+AL32)部分の性能は高いと思います。4万円とは思えないくらい。細部は荒くなくなめらかに音像の面取りが丁寧にされているようで、DAC部分の上質さが分かります。
iPodとのアナログ接続だとやや中低域寄りでしたが、デジタルだと少し高音域にあがって帯域バランスが良くなり、全体も引き締まる感じです。デジタルただとワイドレンジ感もあります。
力強いがやや荒削りのアナログに比べると、デジタルでは上質で整ってHiFiチックに感じられます。けれどもやはり濃厚さと元気さは残り、分析的とかドライさはないですね。
iPhone6+DA-10+ベンチャークラフトケーブル
標準の白ケーブルでもこのくらいデジタルの良さはわかりますが、さらにケーブルが変えられます。このライトニング - USB Aのタイプのオーディオグレードの交換ケーブルはVentureCraftとフルテックが出しています。
白ケーブルをVentureCraftにするとさらに一・二枚ベールが剥がれたように音空間が晴れあがってクリアになります。いっそう滑らかで音に重みが出る感じで、細部のなめらかさがさらに上質となり、粗さはほぼ消えます。低音域もさらに深く、低い音が自然にぶおっと出てくる感じです。豊かさが増して、全体に音質のかさ上げがあります。このくらいになるとかなりのマニアでも納得する音だと思います。42000円のアンプに15000円のケーブルを足すのかという話もありますが、15000円のケーブルを加えてもコストパフォーマンスはかなり良いと思いますね。
またVentureCraftのケーブルだとL字プラグなので、ケーブル側を下にしてバッグに入れることができます。入力と出力が逆側についているDA-10ではこれがとても便利ですね。
iPhone5S+DA-10+iQube V3
専用のラインアウト端子はありませんが、出力をFixにして3段重ねの別ポータブルアンプに入れることもできます。(Fixにしたらいったん電源オフが必要です)
こうするとDA-10のDAC部分の音の上質さもよくわかると思います。
また、このようにiPhoneをプレーヤーとして使ったシステムで面白いのはアプリを使って音を変えられるという点だと思います。
たとえば、素直に高音質で聴きたいときはNeutron Playerがお勧めです。iPhoneのライブラリの音源も、FLACなどの音源も聴くことができます。もちろんこれは好みでもあります。
音を変えたいときはAudiophile Playerがお勧めです。これはMaXX AuidoというDSPで信号処理をするので大胆に音が変わります。もちろんRadsonやTxDolbyやCanOpenerなどが良いという人もいるでしょう。この辺ができるのもスマートフォンならではだと思いますね。
AudioPhileアプリ
最近ではプレーヤー+ポータブルアンプという形態は話題性でハイレゾプレーヤーに押され気味だと思いますが、スマートフォン+ポータブルアンプって面白い展開があると思います。ハイレゾDAPのハード・CPUに比べると最新スマートフォンははるかに強力な演算性能があります。HF Playerの記事でも書きましたが、ソフトウエアの方が柔軟で高精細に信号処理ができます。あるいはアプリでHF Playerのようにアップサンプリングも可能だし、そのうちリアルタイムDSD変換なども可能になるかもしれません。ハイレゾDAPだと機能は固定ですので、アプリを入れ替えられるスマートフォン+ポータブルアンプは面白い展開ができるかもしれません。
2-2 普通にUSB MicroBを使用する - 家でPCで聴く
DA-10は家ではPCにつないでUSB DACとして使えます。このときはUSB MicroBを使用します。
Macではドライバーが不要で、Windowsではドライバーが必要です。オーディオクラス2ですね。下記ページからダウンロードできます。
http://www.denon.jp/jp/Product/Pages/Product-Detail.aspx?Catid=382c2279-a153-4d3c-b8fa-81b930454f67&SubId=USBDAC&ProductId=DA-10
この場合のスイッチ設定は以下のようになります。
出力モード切り替えスイッチ: Varにします。ただしアクティブスピーカーにつなぐときはFixが良いでしょう。
充電モード切り替えスイッチ: 充電したいときはONですが、OFFにして電池給電にすると充電のノイズが減ります。
入力ソース切り替えスイッチ: USB DACにします
ゲインはほとんどの場合はノーマルで良いとおもいますが、HD800などをつなぐときはHighにします。
USB microB端子のケーブルが同梱されているので、これでPCと接続できますが、オーディオ用のUSBケーブルを使うことでここでも音質をあげられます。
microB端子をPCに接続するときはPCMが192/24まで、DSDは5.6MHzまでです。なお352kHzがソフトによっては見えることがありますが、これはDoP 5.6MHzを通すための一時措置でPCMで352kHzは使えません。(DA300でも同じです)
2-3 マニアックにUSB MicroBを使う - ハイレゾ・DSD対応をポータブルで使う
この辺はちょっとマニアックな世界です。DA-10の場合にはUSB microBもiPhoneで使えました。ただしiOS7.0以上が必要です。
この場合のスイッチ設定は以下のようになります。
出力モード切り替えスイッチ: Varにします
充電モード切り替えスイッチ: OFFにします
入力ソース切り替えスイッチ: USB DACにします
iPhoneにLightningUSBカメラアダプタ(カメラコネクションキット)を接続して、それにUSB A - micro BのUSBケーブルを接続するか、直結アダプタを使ってmicroBに接続します。
スマートフォンをプレーヤーとして使った場合のUSB microBとUSB Aの使い分けはハイレゾ再生とプレーヤーの再生時間のトレードオフ、または自由度の高さと便利さのトレードオフになります。
これは簡単にいうとmicroBのときは基本的にPCと同じ理屈だからで、USB Aのときはいわゆる専用のiDevice接続だからですね。むずかしくいうとプレーヤー(iPhone)をアクセサリーモード(USB A)とホストモード(USB microB)で使う場合の違いによるもので、下記のリンクをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/404882406.html
* 2-1方式(いわゆるiDevice接続)の利点は次のようなものです。
簡単にケーブル一本で使える(高音質ケーブルもある)。
iPhone側の電池消費が少ない(理屈では)。
音源が48/24までのPCMのみ。
* 2-3方式(ホストモード接続)の利点は次のようなものです。
ケーブルにLightningUSBカメラアダプタ(または30ピンのカメラコネクションキット)が必要。(これはOTGケーブルとおなじです)
iPhone側の電力消費が多い(理屈では)。
入力レートの規制がない。ハイレゾ再生が可能。PCMで192kHzまで、DSDネイティブ再生も可能。
もうひとつの利点としてAndroidでも接続できると書きたかったんですが、やってみたらAndroidはWalkman ZX1+NWH10でもUSB Audio Player Pro+OTGでも対応できないようです。たぶんドライバーとDA-10ファームの問題かと思います。Android 5.0ではどうなるかは分かりません。
iPhone5S+DA-10+LightningUSBカメラアダプタと直結プラグ
というわけでiPhoneにLightningUSBカメラアダプタと直結プラグを使って、ハイレゾ再生をしてみました。まずアプリはHF Playerを使ってヘルゲリエンの192/24を聴くとちょっとポータブルで聴いてるとは思えないくらい豊かな音を楽しめます。DA-10の場合はAdvanced AL32でアップサンプリングをしているのですが、入力サンプリングレートが高いほど低いリサンプリング率で済みますので(改変が少ない)、やはりハイレゾ音源の効果はあると思います。HF Playerでアップサンプリングしたら、というときにはどちらの補完性能が高いかによると思いますが、この辺はもう自分でいろいろ変えて確かめてみる、という世界だと思います。ちなみにPCM1795のスペック上の最大値は768kHzです。
Hibikiを使ったDoPによるDSDネイティブ再生
次にアプリにHibikiを使ってDoPでDSDネイティブ再生をしてみました。これは丸くアナログ的なDSDネイティヴ再生オンで、DSDの良さがポータブルでも楽しめます。DSDはAL32を通りませんので純粋にDACの良さです。
3. DA-10のお勧めの使い方
DA-10の一番のお勧めの使い方はUSB Aを使用したいわゆるiDevice接続でのポータブル使用だと思います。簡単に高音質で聴けます。電車の中でiPhoneでSNSやネットニュースを見終わってから、さあゆっくりしようというときにDA-10にiPhoneをつないで寝ながら音楽タイム、という感じで使えます。
あるいはiPod Touchと化した以前モデルのiPhoneを専用機として有効活用という手もあります(私は主にこれ)。
DA-10 + HD800
音質が良いので家に帰ったらPCにUSB microBでつないでmini/標準変換のアダプターを使って大きなヘッドフォンで聴くということもできます。ゲインがついたのでゼンハイザーHD800クラスを使うこともできます。
ポータブルでもハイレゾやDSDネイティブを試してみたい人にはポータブルでのUSB microB使用がよいですね。ただケーブルの取り回しがちょっと難です。
iPhone + DA-10 + LightningUSBカメラアダプタとUSBケーブル
ヘッドフォンの相性で言うと、Edition8はDENONらしい躍動感とDA-10の緻密さを堪能させてくれます。またW60+Estronが滑らかで音楽的、かつ緻密な側面を再現してくれます。Aurisonics Rocketsはダイナミックで動感あふれる側面を再現してくれます。
* まとめ
長く書いて来ましたが、簡易バージョンで言うと、DA-10は力強いアンプ部分と上質なDAC部分があいまって、価格以上の音を出しています。ボディもアルミの仕上げが上等でカッコ良いですね。ポータブルオーディオの初心者でも簡単なiPhoneとのデジタル接続で手軽に高音質が取り出せます。マニアなら、さらにDSDネイティブ再生をしてみたり、三段重ねのシステムに使ったりという拡張性もあります。
価格を考えるとかなりオススメのDAC内蔵ポタアンと言えるでしょう。
あらためて普通の量販店に行って国産オーディオメーカーのポータブルヘッドフォンアンプが買えて保証もきちんと受けられるという時代になったんだなあと感銘します。私みたいに個人輸入してSR71とかXinとか言ってた昔からやっている人には隔世の感があります。今回いろいろと調べてみてさらにその感を強くしました。
DENON DA-10はスマートフォンに向いたDAC内蔵のポータブルアンプで、私みたいに海外マニアック製品マニアでも納得してしまうくらいの音質の高さがあります。また音へのこだわりがきちんと音質につながっていると思います。はじめはDENONもポータブルアンプを出したかと思ったくらいでしたが、中を調べて音を聞くとよく作られているので納得しました。
DA300でもなかなかと思ったんですが、DA-10では感服するくらい良く出来てると思います。特に音質レベルと価格を考えると、かなりコストパフォーマンスは高いと思います。
DA-10ではちゃんとデノンらしい音が楽しめるのもよいと思いますね。同じD&Mでもマランツがポータブルアンプを作ったらまた音は違うのではないでしょうか。DA-10とは別のラインをマランツブランドで出すという展開もあってよさそうです。
ただ有線でアンプ接続時はやはりiPhoneは使いづらくなりますので、DA-10がAirplay対応でこの音質だったら、とも思います。Airplayはライセンス問題とかもあると思いますが、DENONはAirplayに強いのでぜひトライしてもらいたいですね。
これから長年使うとさらに国産ブランドの信頼性の高さ・故障のなさという良い面も見えてくるかもしれません。これはパイオニアのU-05でも思ったんですが、たぶん国産メーカーは技術的には地力はかなりあると思うので、あとは企画の問題だと思います。さらにはトレンドを作っていくということも期待したいですね。
これからもこのポータブルの世界に国産の品質の高いが出てくることを期待しています。
Music TO GO!
2014年10月21日
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