Music TO GO!

2014年10月12日

Encore mDAC - 隠れnuforce?のスマートフォン向けDACアンプ

ひさびさにまた怪しいものの紹介です。と思いましたが、よく調べるとあまり怪しくありませんでした。

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Encore mDACはHeadFiで良いレビューを見かけて興味を持って買ってみたDAC内蔵のポータブルアンプです。レビューではPICO DAC/AMPの組み合わせより良いような雰囲気で、価格の割には期待以上だったという感じです。US$129ですので、ほんとうかいなという感じですが書いてたのが信頼おけるHeadphoneAddictなのでちょっと買ってみたしだいです。
そのあとにnuforceのJasonが書き込みして、実はmDACはuDAC3の後にデザインしたものでチャージャーやアンプを向上させたものだと書いてました。uDAC4となるべきものだったのでしょうか、その後にブランドをEncoreとして販売したものだそうです。調べてみるとEncoreは香港でのnuforceの代理店のようですが、おそらく自ブランドで製品をもちたいということではないかと思います。あるいはnuforceのIcon系の低価格品を移管するのかもしれませんが、そこまでは分かりません。
いずれにせよ性能の高さの秘密のひとつはこれが実質的にnuforceの設計だということが分かります。

またフランスで賞を取ったということでむこうの雑誌に詳細な記事があります。Quobzなので、スマートフォンでストリーミングを聞くときの機材によいですよ、ということでしょうか。ここで内部写真も見られます。DAC-ICはES9023で、アンプICはTPA6133Aということのようです。ちなみにES9023は直接2Vのラインレベル電圧出力が取り出せるので回路を単純化できます。
http://www.qobuz.com/fr-fr/info/Hi-Fi-Guide/Bancs-d-essai/Encore-mDAC-en-exclusivite176113

mDACはとてもシンプルなDAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプです。入力はUSB (microUSB)のみでアシンクロナス対応です。最大は96/24です。おそらくUSBオーディオクラス1でしょう。つまりドライバーレスです。(ホームページのUSB1.1/2.0はオーディオクラスではないと思います)
スマートフォン向けをかなり意識していると思いますが、まず添付のケーブルがOTGなのでAndroid接続用ですね。またUSBの口が二つあって、片側は再生用の入力ですが、片側はチャージ専用です。おそらく再生用はセルフパワーなのだと思います。つまりxDuooみたいにチャージon/offスイッチがない代わりにUSBの口が二つあるということなのでしょう。
DSD64対応とフランスのサイトの表にありますが(本文読んでませんけど)、AudirvanaにつなげてみるとDSDのサポートはないことが分かります。

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出力はヘッドフォン端子(ステレオミニ)のみです。他にはボリュームのアップ・ダウンボタンがあります。これは読んでみるとデジタルではなく内部的にはアナログボリュームでステップをデジタルでコントロールしているということ。Dragonfly形式ですね。
また内部的にはDC-DCコンバータで昇圧をしてアンプ部分の電圧を稼いでいるようです。Xinの昔からこれはあるんですが、最近のは進歩してかなり静粛化したようですね。また回路的にはコンデンサーレスが特徴です。
ちょっと問題はバッテリーの持ちが6時間というところでしょうか。

私はeBayで香港の人から買いました。おそらくEncore関係者ではないかと思います。国慶節というのに即日発送してくれて、国際送料もなしとなかなか良かったのですが、いまどきの円安から14000円くらいにはなってしまいます。それでもまだ安いですが。。ちなみにAmazon(USA)で買える人にはレビューを書けば25%オフというクーポンをJasonが書いています。

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iPhone5sとの大きさ比較

届いてみるとたしかにかなりコンパクトです。つくりもヘアライン仕上げがきれいで$129ではこの時点でも満足感が高いでしょう。

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右はQuickStep

パッケージにはAndroid用にUSB OTGケーブルが入っています。マニュアルは簡単なものがついてきます。はじめに4時間ほど充電するように指示があります。

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電源オンは3秒間押し続けで、オフも同じです。またオートパワーオフがないという質実剛健仕様なので、使用を終えるときには注意が必要です。
LEDは赤になるとチャージで、青がデータ再生中です。家で使うときはチャージUSBとデータUSBを両方使うこともできます。

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mDACの使い方としてはPC/Macに接続する方法と、スマートフォンで使う方法があります。
PC/Macでは単にmicroUSB Bのケーブルに接続するだけです。標準ドライバーのクラス1だと思うので、PC/Macにおいてはドライバーインストールは不要です。

まずPC/Macに須山さんケーブルを使ってmDACを接続して、Edition8で聞いてみました。
音の特徴は歯切れがよくスピード感があることで、透明感に優れています。それでいてドライや分析的に陥ることなく、音楽的というほどでもないけれどもわりとなめらかで聴きやすさを持っています。この辺はさすがnuforce設計かもしれません。
音はわりとニュートラルで、コンデンサーレスであることも関係しているかもしれません。またベースのインパクトもけっこうあって、Edition8あたりを使うとかなり満足感の高いベースサウンドが楽しめます。

スマートフォンでも同様に接続するだけですがホスト接続ですので、iPhoneではカメラコネクションキット、ZX1ではNWH10、そのほかのAndroidではOTGケーブルが必要です。またAndroidではUSB Audio Player Proを使うことでどの端末でも接続が可能になります。

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Walkman ZX1⇒NWH10⇒FitEar USB microBケーブル

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iPhone5S⇒Lightningカメラアダプタ(CCK)⇒FitEar USB microBケーブル

外で使うときはさらに短くするため、直結プラグを使用してみました。

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Walkman ZX1⇒NWH10⇒USB A/Micro B直結プラグ

直結プラグだとケーブルの固有着色が少なくなり、よりニュートラルに鮮度感も高くなるように感じます。使っているとやや暖かくなりますが、それほど熱くはなりません。電池の持ちについては、朝にWalkman ZX1とmDACをフルチャージにしておいて、同時に使ったところZX1の方が先に切れたので実用上はあんまり問題にならなそうです。
この組み合わせでの音質はかなり優れています。静粛で高感度イヤフォンでもヒスノイズが乗るということはありません。XinのころはDC-DCブースト方式だとかなりノイズが乗りましたが、さすがに進んでいます。

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全体的に音質レベルも価格を考えるとかなり高く、コンパクトでスマートフォンにも向いているところがなかなか魅力的と言えるでしょう。特にWalkman ZX1でも動作するということでZX1ユーザーにはお勧めです。

*追記 10/12 21:03
どうやらnuforceは分裂したようで、表にたっていたJasonが外に出て新しいブランドを立ち上げている、というのが実際のところのようです。
posted by ささき at 09:07 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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