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2014年09月13日

"Meaty Monster" - iFI iDSD micro レビュー

*iDSD microとは

iDSD nanoでDAC内蔵ポータブルアンプの世界を席巻したiFIが満を持して発売したのがこのiDSD Microです。nanoに比べると筐体が大きくなり、第一世代のiFi機器に近いサイズとなっていますが、単にnanoの上位機種というラベルにはとどまらない高い汎用性と高い性能を兼ね備えています。基本的にはバッテリー内蔵のポータブル機器と言えますが、据え置きとしても高い能力を持っています。

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iPhone5sからCCKで接続

まず驚いたはiPhoneからのカメラコネクションキット(CCK)でのUSB入力がアダプタなしで接続できるという点です。iPhoneからDACに接続する際にはカメラコネクションキットを使用する必要がありますが、さらにカメラコネクションキットからアダプターを使うなどしてDACのB端子に入力する必要がありました。ところがiDSD microでは機器側が直接CCKのUSB端子を受けることのできる端子となっているため、アダプタを必要としません。かなりすっきりとシンプルに接続ができます。いままでのいかにも裏技でやっている感がありません。またSONYのZX1などのWalkmanでも同様にカメラコネクションキットに相当するNWH10を使用することで直接接続が可能です。まさにマニアがほしかった製品と言えます。

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実のところiDSD microはその構想をクラウドデザインとして始めました。クラウドデザインとはいまはやりのクラウドファンディングにも似たコンセプトで、ユーザー参加によって開発を進めていくというものです。クラウドファンディングとは違ってお金を出資するわけではありませんが、こういうものがほしいというアイディアを出してもらうわけです。クラウド(crowd)とは雲ではなく「皆が集まって」という意味です。その「みながほしいもの」公募はHeadFiに投稿されました。またその進捗を設計日記ということでHeadFiに書きこむというユーザーと一体になる手法を取っていました。(日本語でこの翻訳を読むことができます)
http://www.head-fi.org/t/711217/idsd-micro-crowd-designed-phase-2-smartpower-please-feed-the-meaty-monster-page-124
日本語ではこちらの開発ブログをご覧ください。
http://ifi-audio-jp.blogspot.jp/search/label/%E9%96%8B%E7%99%BA%E6%83%85%E5%A0%B1

いままでのオーディオはいわばメーカーからトップダウンに開発されてきたわけですが、このヘッドフォンやポータブルオーディオの世界はボトムアップの文化と言えるでしょう。その違いを積極的に取り入れていくというiFIの姿勢は、ハイエンド(AMR)の技術をコンシューマーに届ける、というiFIの理念に沿うものと言えます。

* ポータブルでのiDSD micro

まずこの驚きのスマートフォン直結のポータブル形態で音を聞いてみることにしました。

WalkmanとNWH10をiDSD microに直結してEdition8で聞いてみました。
後でも書きますが、このタイプの接続ではセルフパワーでバッテリーを使うために、はじめにボリュームをオンにしてからUSB ケーブルをつなぐことが必要なことに注意してください。

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Walkman ZX1からNWH10で接続

まず感じられるのは透明感が高くクリアな音空間です。ノイズレスで、純粋な雑味のないピュアな楽器の音色表現に感じ入ってしまいます。余計な付帯音がなく、着色感も少なく正確な音再現といえるでしょう。
オーディオ的には周波数特性もワイドで、高いほうはすっと上まで伸びていき、ベルの音もきれいに響きます。これだけ美しく響くならばSNも相当良いのでしょう。帯域の低いほうはロックでもかなり深いベースが絞り出されてきます。ヴォーカルは透き通ったように美しい歌声が堪能できますね。
据え置きレベルと言ってよいかなりレベルの高い音で、これがポータブルで出てくるのなら相当なマニアでも満足でしょう。Edition8のような高性能のヘッドフォンで聴きたくなるような音です。
できればこの音に見合うような高品質なUSBケーブルを作ってほしいところです。

またiDSD microは別に電源出力用のUSBポートを側面に備えていて、バッテリーはスマートフォンの外部バッテリーとしても使用することができます。いまからのインフラでもあるスマートフォンにまじめに取り組んでいると言えるでしょう。

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それに加えてiDSD microは前面に3.5mmミニのアナログ入力端子を備えています。これで聴くとDACだけではなくアンプの能力を切り出してもなかなかすぐれていることがわかります。最近はこうしたDAC内蔵のヘッドフォンアンプでは入力がデジタルだけという割り切りも多いのですが、あえてアナログを設けたのはたしかクラウドデザインでの要求だったと思います。なかなかマニアックな着眼ですね。

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真ん中の小さなプラグがアナログ入力端子

* 据え置きとしてのiDSD micro

次にiDSD microはバッテリー内蔵のポータブルヘッドフォンアンプであると同時に、PCオーディオにおいて高性能なUSB DACとしても使用することができます。この時はバッテリーからクリーンな電源を取り出すこともできます。iDSD microはバッテリーを使用するセルフパワーと、USB経由で電力を受けるバスパワーを任意で切り替えることができます。これは説明書に書かれていますが、パワーオンとUSB接続のタイミングで自分で任意に設定ができます。
もとろんiFIですからバスパワーの品質がなおざりにされているわけではなく、バスパワーでは得意のiPurifierが内蔵されています。これでUSB入力の信号をきれいに整えるわけです。据え置きのデスクトップに置いてはヘッドフォンアンプとしてだけではなく、プリアンプ、またはDACとしても使えます(出力の固定や可変が底面スイッチで設定可能です)。
クリーンな電源とそのパワフルなアンプでポータブルだけではなく、デスクトップでも能力を発揮できます。

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赤いスイッチがパワーモード切り替え

またiDSD microの大きな特徴として出力機器へのパワーを調整する機能を通常のゲインではなく、パワーモードというスイッチで電力の管理をしています。これもおいおいと説明していきます。

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Sennheiser HD800

USB DACとしての音を聴いてみました。WindowsのJRiver19をプレーヤーとしてUSB DACとして接続してバスパワーで聴いてみました。ヘッドフォンはHD800を使用しています。
音質はポータブルの時と同様にピュアでクリアな音ですが、それが一層研ぎ澄まされて、解像感が絞り出されたように情報量が多くなり、さらにダイナミックにかつスピード感のある切れのあるシャープな音が楽しめます。パワーモードはノーマルですが、HD800を十分にドライブしていると思います。バスパワーでも十分ピュアな音なのはiPurifierが効いているのでしょう。
ここでパワーをターボにするとやや力感過剰になりますが、実はこのモードの真価は...後に続きます。

* iDSD microを語るキーワード "OTW"

iDSD microを語るキーワードというか、テーマは“Outta this World (OTW)”(この世のものとは思えない)です。つまり他の機種に比べての大きなアドバンテージです。ちなみにOutta this WorldはOut of this worldのくだけた表現です。

OTWその一はPCMでの768kHz(DXDx2)、DSDでの22.6MHz(DSD512)対応です。
現状ではPCオーディオでの据え置きの先進的な機種でさえごく一部のみに11.2MHz(DSD256)が採用されているにすぎないのですが、iDSD microはコンパクトなパッケージでそれらを凌駕する22.6MHz対応を実現したわけです。
これはiDSD microの開発日記の日本語訳(下記リンク)にその詳細を見ることができます。
http://ifi-audio-jp.blogspot.jp/?m=1
上のリンクの記事で「オーディオは新しい序列を持った」とありますが、新しい序列というと意味がよくわかりません。ここの原文を読むと"New Order"であり、これを翻訳するならば「新秩序」ですね。新秩序のもとの意味は政治的なものもあるので調べていただくとして、いまでは一般的には新しい基準・新しい世界の意味として使われます。"New Standard"でも意味は通じますが、New Orderと言ったのは有名なニューウェーブのバンド名にかけてると思います。
つまりはいままでのPCMは192kHzかすごくても384kHz、DSDは進んでるといっても5.6MHz、最高でも11.2MHzだったのですが、ここで768kHz、22.6MHzという新しい基準を打ち立てたということです。標準と思われていたバーを引き上げたといってよいでしょう。iDSD microの底面には誇らしげにロゴとスペックが所狭しと印字されています。

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22.6MHzはもちろん、11.2MHzのDSD音源さえ入手がまず困難ですが、NetAudio誌のNo15に11.2MHzの音源が付録でついてきます。まずファイルサイズで一曲945MBというところに驚きますね。個人的に言うと、普通のDSD64(2.8MHz)のDSD音源だと192kHzハイレゾと比べて音が柔らかく滑らかという違いがあるくらいですが、DSD128(5.6MHz)となると音の情報量がぐっと違ってより濃密で精細な音質が楽しめるようになります。OTOTOYのCojok+徳澤青弦カルテットのQUANTなんかはよいですね。
http://ototoy.jp/_/default/p/32369
11.2MHz、さらには22.6MHzというとまた可能性が広がることでしょう。ちなみにたいていの再生ソフトは5.6MHzまでしか再生できないので、その辺から立ち上げる必要があります。この11.2MHz音源はFoobarのASIO(+SACDコンポーネント)を使わないとうまく再生できませんでしたが、これはラフに設計されたソフトの方がなまじチェックがないのでかえって柔軟性があるということかもしれません。
(9/16 追記) iOSのhibikiアプリがiDSD microとの11.2MHz(DSD128)でのDoPによるDSDネイティブ再生に対応したということです。
PCMの384KHzを超える世界についてはソフトウエアでアップサンプリングして試してみることができます。Ardivana Plusでアップサンプリングをし、表示ディスプレイで705.6kHzとか見ると新鮮です。この感覚が"OTW"ですね。

OTWその二はヘッドフォンのパワーモードに完璧にマッチしたiEMatchです。
ヘッドフォンアンプの場合には高能率でノイズを拾いやすいイヤフォンから、逆に能率が低くパワーがないと鳴らしにくいヘッドフォンまで多様な再生機器を最適にドライブする必要があります。とはいえ、多くのヘッドフォンアンプはよいところゲイン切り替えがある程度です。
iDSD microではパワーモードに小出力用のecoを設けることで電池の持ちを優先させつつ小出力のイヤフォンなどに対応ができます。さらにそれに加えてIE Matchという機能で高能率、あるいは超高能率のモードを切り替えで選択することで高能率のイヤフォンに対応しています。ここまでやるか、というレベルまで最適化を考えるのがOTWなのでしょう。
最近はやりのカスタムイヤフォンなどはみな高能率なのでこの機能は大いに役に立つでしょう。

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JHA ロクサーヌ カスタム(iPod Classicからアナログ入力)

OTWその三は8v/4000mWのターボヘッドフォン出力、上とは反対に高出力の必要性への対応です。最近のヘッドフォンのはやりの一つは平面型ヘッドフォンです。これらは音質は高いのですが、能率が低く鳴らしにくいという欠点をもっています。そこでiDSD microではパワーモードにターボモードを設けてこの高出力に対応しています。別名で平面駆動ヘッドフォンモードと言っても良いでしょう。中でも特に名指しで対応を表明しているのはHiFiMan HE6です。HE6はK1000と並び称されるほど能率が低いヘッドフォンで、下手なヘッドフォンアンプを使うとクリップさせてしまいます。
私はこのHE6も持っています。こちらについては下記のレビュー記事があります、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/171206322.html

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HiFiMan HE560

まず同じHiFiManの最新の平面型であるシングルエンドマグネット方式を採用した平面型HE560を使ってみるとノーマルモードでは物足りなかった力感が生き返ったように生き生きと音楽を奏でてくれます。しかもバッテリー駆動でもその音が出せるのは痛快な感覚さえありますね。単にハイゲインで鳴らすというのとはパワー感も異なるように思えます。

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Audeze LCD-2

次に平面型を復活させるきっかけともなったAudezeが設計したLCD2を使ってみます。ノーマルでも音はならせますが、ターボモードではまるで音が跳ねていくように軽快にパワフルにドライブできます。低音の震える様子もターボではより明瞭に聞こえます。

さて、HE6です。これはEF6のバランスでないとふつう音量を取ることさえかなわないのでバランスプラグを付けたままなんですが、それを外してHE560のシングルエンドケーブルで聴いてみます。
普通のヘッドフォンアンプではフルに回し切っても音量が取れないほどのHE6でも意外とパワーモードがノーマルでもなんとか音量が撮れるくらいはあるので、実はノーマルでもかなりのパワーがあることがわかります。ただしこのモードでは曇り感やだるさ感が感じられます。

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HifiMan HE-6

パワーをターボモードにすると驚くことに息を吹き返したようにあのHE6がスピード感のあふれるジャズやロックを演奏してくれます。いつもはラックサイズのEF6でHE6を使っていますので、このサイズのアンプがこれだけの駆動力を持っているということにただ驚きます。

そしてiDSD microは同時に繊細なカスタムイヤフォンもIE Matchできめ細やかに鳴らすこともできるのです。それに気が付くとまた驚きますね。パワーモード切替は単なるゲインを超えたドライブコントロール力をiDSD microに与えてくれています。

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iPhoneとHE560

このようにIEmatchとパワーモードでHE6(平面型ヘッドフォン)から高感度イヤフォンまで、さきに書いたようにスマートフォンでのポータブルから家でのPCオーディオのUSB DACまで、万能に使えてハイスペックであるのがiDSD microのOTWです。

* ソフトウエアの最適化

iDSD microでは先に書いたようにターボモード、ecoモードのように電源管理を行っています。またユニークな光/SPDIF入力の兼用端子、そして入力の自動切り替えなどこれらはソフトウエアでモニタリングされています。

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SPDIF入力

このように高度なソフトウエア処理をしているのもiDSD microの隠れた特徴ですが、中でも特筆すべきものはXMOSの最適化でしょう。

データの入出力の流れの制御をつかさどるXMOSチップはそれ自体が小さなコンピュータなのでソフトウエア(ファームウエア)が重要になります。XMOSははじめに標準のプログラムコードがついてきますが、それはおまけのようなもので十分ではありません。
以前フェーズテックさんがUSB DACであるHD-7A 192のXMOSのファームウエアを書き変えて、元のコードと切り替えて試聴できるようにしたプロトタイプを聞いたことがあります。新しいXMOSコードは最適化(高音質化)をかなり考慮したものですが、おまけについてきたコードとは低域の実在感や全体の解像力が大きく向上していて、ファームウエアの違いだけでこんなに違うのかと驚いたことがあります。(下記記事)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/205289553.html

この点でも参考にする設計チームの日本語訳があります。ただし下記の日本語訳に「ストックされているXMOS USBのプラットフォーム」とありますが、ここも実は適切な訳ではなく意味が通じなくなっています。
http://ifi-audio-jp.blogspot.jp/2014/06/micro-idsd4-2.html
原文は"stock XMOS USB platform"なのですが、ここでのstockは(手が加えられていない)標準添付のとか、(カスタムではない)出来合いのという意味です。つまりここでいう「標準添付(stock)のXMOS USBのプラットフォーム}とは上で言うおまけではじめから付いてくるXMOSのファームウエアのことです。つまりこの標準コードだけでは十分ではありません。
iFIでは標準(stock)状態のXMOSコアの負荷状況を解析して、その最適化をしています。
下図の上が標準(stock)の状態で、不自然な負荷ピークがありますが、最適化後は下図のように自然な負荷分散に改善されています。

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またiFIではスター・クロッキング方式という独自のタイミングを考慮したファームウエアを書きあげています。
これは幾つものXMOSソフトウェアモジュールが単一の高精度マスタークロックによってタイミングコントロールされるというもののようです。解説では軍用のリアルタイム制御システムが例に取られていますが実際にメンバーはそうしたところで豊富な経験を持っているようです。

ちなみに上の記事ページに使われているミサイルの画像は最新のMBDAミーティアです。ミーティアはロケットエンジンではなくジェット(ラムジェット)エンジンです。普通ミサイルは目標に当たる時には燃料が切れて慣性で飛んでるだけですが、ミーティアはジェットで燃費制御出来るので命中時にさらに加速して目標の回避に追従できます。その点でリアルタイム制御はよりシビアなんでしょう。

* iDSD microのこだわり

iDSD microは別な言葉で言うと、これまでのiFI製品の集大成的な製品ということもできます。それは電源・信号のクリーン化へのこだわり、AMRの技術継承などです。

たとえばユニークなこだわりは極性反転スイッチにあると思います。これはなんの役に立つかというと、レコーディングの極性が間違っているときに修正ができるということだと思います。
実際のところ、XTCが極性反転エラーを修正したCDを出し直したのは有名な話で、彼らによると「極性エラーはマスターリングの世界では良くあることで、マルチとミックス間にたった一本の間違ったケーブルがあるだけで発生する」ということだそうです。本当かどうかはわかりませんが一説によるとアルバム約4枚の内1枚に起こるとも言われているとか。音が怪しいと思ったらスイッチを試してみるのもよいかもしれません。
ちなみにXTCの極性を修正したCDはこちらです。
http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B00IXL18OU?pc_redir=1404837414&robot_redir=1

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XTC - Skylarking (corrected polarity edition)

もちろん高品質パーツも、超低ノイズ&超低歪みの酸化タンタル薄フィルム、あのハイエンドオーディオで使われるテフロンにも近いというC0G絶縁体を採用したコンデンサー、無酸素銅線による金メッキ4層ボードなど第一級の品質にこだわっています。

ハイエンドAMRの技術継承という点で言うと、例えば下記のリンク記事にある電源の正負反転の精密制御などがあります。普通こんな細かいところならコストのために手を抜いて、、とするところが、iFIではすでにコスト転嫁したハイエンドオーディオから持って来てあくまでこだわるわけです。
http://ifi-audio-jp.blogspot.jp/2014/06/micro-idsd15i.html?m=1

また3つのデジタルフィルターもAMRの継承によるものです。Minimum PhaseはAyreでも有名なように他のメーカーでも使われていますが、Bit PerfectはAMR独自のデジタルフィルターです。

iFIのこだわりのひとつ、アナログによる3Dエンハンスもおなじみになりましたが今回も採用されています。iFIの3Dやベースエンハンスは自然な効果があり、実際に使えるエフェクトスイッチだと思います。これらはコンシューマー用の「ベースブースト」などとは一味違います。
またこの3DがiFIのこだわりの理由というのはこの機構がミッドサイド・ステレオ(MS処理)を利用しているからだと思います。Mid-Sideステレオ処理(MS処理)については下記に書きましたので参考までにご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/386365476.html
いまはiFIのシンボルとなった3D機能ですが、iFIのトルステン博士とインタビューしたときにもブルームレインの著書を見せて雄弁にステレオ技術の伝統について語ってくれたのを思い出しました。これはブルームレインと古き良きステレオの時代へのオマージュであるのかもしれません。

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アラン・ブルームレインと著書

普通はカタログにかけないような電源とかはコンシューマ製品ではこだわらないものですが、そこまでやるか、というのがこだわりであり、また英国の技術の伝統への誇りも感じられます。それが技術者集団としてのiFIの矜持と言えますね。

* まとめ

iFI Audioの日本語ホームページはこちらです。
http://ifi-audio.jp/
FacebookにもiFIのページがありますのでご覧ください。最新情報がわかります。
https://www.facebook.com/pages/Ifi-audiojp/449735338455976?fref=nf

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iDSD microは別名を"Meaty Monster"と呼ばれています。中身がいっぱい詰まった怪物という感じでしょうか。これはこれまでの説明からわかっていただけたと思います。
iDSD microはカメラコネクションキットのアダプタ不要での入力や、外部バッテリー機能などスマートフォンとの親和性も考慮しながら、PCM768KHz対応・DSD22.6MHz(DSD512)対応と最先端のスペックを持ち、平面型を鳴らし切ってしまうハイパワーを備え据え置きとしても一級の性能を持つ万能なオーディオ機器と言えます。スマートフォン、DSD、平面型ヘッドフォン、カスタムなどの高能率イヤフォンなどなど、業界のトレンドをとらえて上手に対応しています。
そうしてクラウドデザインによって先端のマニアのこだわりを吸い上げる一方で、極性反転や電源へのこだわりなどiFIらしいハイエンドメーカーの遺伝子を感じさせる自らのマニアックなこだわりも備えています。
まさにiDSD microはiFIのいまを感じさせる集大成的なオーディオ機器と言えるでしょう。


今年はiDSD micro、AK240、Hugoとポータブルの高性能製品が目立っていますが、これらは単に「ポータブルでは音が良い」というところにとどまっていません。AK240によってはじめてDSDの無線ネットワーク再生が実用のものとなりましたし、Hugoは据え置きのハイエンド機さえ凌駕する演算性能を持っています。そしてiDSD microは据え置き機でさえ実現していないDSD22.6MHz対応を実現しました。もはや据え置きのPCオーディオではなく、まずポータブルから革新が始まるというのが2014年に見え始めたトレンドと言えるのかもしれません。
posted by ささき at 12:13 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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