Music TO GO!

2014年06月26日

Music To Goブログ、本日で10周年を迎えました!

いつもこのブログを購読ありがとうございます。
本日このブログは10周年を迎えました。はじまりは2004年6月26日の「ブログ作成しました」の記事でした。

このブログを始める前は写真のホームページと掲示板を運用していて、その掲示板で独り言的にオーディオネタを書いてました。
2004年になるとブログというものが流行り始めました。そのブログとはどういうものかわからないけど自分でやってみればわかる、ということで、当時買ったSONYのVaio Pocketというデジタルオーディオプレーヤーと、やはり流行り始めていたカナルタイプのイヤフォンを組み合わせて、買っているCDのレビューでも書こうか、と始めたのがこのブログです。そのためURLはいまでもvaiopocketとなっています。
名前の由来ですが、アメリカのマクドナルドなどでハンバーガーを買うと「店内ですか、持ち帰りですか」は"For here or To go"と聞かれます。この場合のTo goは持って外に出るというような意味です。Music To Goというのは「音楽を持って外に出よう!」というような意味でつけました。

その頃のポータブルオーディオと言うと、Etimotic ResearchのER4SやShureのE2cが音の良いイヤフォンとして人気を集めていた時期です。ER4Sなどは「4万円という信じられないような高価格」の神のイヤフォンでした。いま思うと、こうしたプロ用のイヤモニを応用して、一般に知られていたコンシューマー用のイヤフォンとは音質的にも一線を画するという流れが始まった頃ですね。多少高くても良い音を選ぶと言う差別化が始まった頃だったかもしれません。B&OのA8なんかも話題になりました。

当時の記事を読み返すと、このころはコピー禁止CDの終焉でもあり、SONYも著作権保護機能のないMP3をサポートしたりと、リッピングとか携帯プレーヤーがやっと市民権を得たあたりです。アメリカではダウンロード販売が好調になってきたり、さまざまな端境期にあたっていたわけで、その空気を感じていたのかもしれません。

はじめの話題はATRACとか圧縮音源の楽しみ方みたいな普通の携帯プレーヤー関係の話題で始まりました。いまみたいに濃い話題ではありませんが、ちょっと進歩したのは次のようなきっかけです。
あるとき電気店でiPodのアクセサリーをみていたとき、携帯サイズの小さいiPodドックでラインアウト端子がついている物を見つけました。これはもともとはアクティブスピーカーなどにつなぐためだったのでしょう。一方でそのころ、Dr. Headという小型のヘッドホンアンプにも興味を持っていたんですが、DrHeadが電池でも動作するので、これらを組み合わせれば持ち運べるオーディオのシステムができるのではないかとピンとくるものがありました。
そのころは家のスピーカーオーディオもLINNのプリメインとDynaudioの25周年モデルを組み合わせたりと、すこし凝り始めていた時期でもあったので、こうしたオーディオの考え方をポータブルにも適用できるのではないか、と思ったわけです。例えばiPodなど携帯プレーヤーはCDプレーヤーに例えられるはずですし、ラインアウトで出せるならイヤフォン端子と違って信号の純度も高められます。
実際にこうした考えで組み合わせたシステムをEtimoticなど高性能イヤホンと組み合わせると、ポータブルとは思えない良い音です。iPod miniからラインアウトを取り出してDr Headにつなげ、Etimotic ER4で聴いた音は忘れられません。ものすごくよかったですね。
そこでこの考えに自信を持ったので、さらに次のレベルに進もうとしました。しかし、すぐ壁に当たります。オーディオに適するようなより良いポータブルアンプ、より良いドックとケーブルなどが店には見当たらないからです。そんな時期でした。

そこからですが、おそらく私が電子工作する人ならば自作の道を進んだと思いますが、いまでも家に半田ごてすらありませんので、売ってるものでDr Headを超えるアンプを探さねばなりません。当時はエアリーあたりでPorta Cordaも売ってましたが、こういう世界があるならほかにも見つかるんじゃないかと思ってました。
そこで目を付けたのが海外です。私の場合は仕事でアメリカにしばらく住んでいたことがありましたので、こうした海外交渉なら得意だったわけです。

その頃いろいろとネットを探しているとアメリカにはHead-Fiなるところがあって、そこでこういう情報がぎっしり詰まっているらしいと気が付きました。そこで探してみるとたしかにすごいのがあるじゃないですか。デュアルモノでかっこいい金属シャーシに入ったエスアールナナジューイチというやつです。これは名前から飛行機ファンの私にもよいに違いないと、海外通販しました。ほかにもわずか数センチのサイズなのにシールドされたオーディオみたいなごついケーブルなど、まさにHead-Fiには魅惑の世界が広がっていました。
それでSR71が到着して聴いてみると、まずその音質のすごさというほかに、オーディオ的な温かみのあるサウンドの主張がしっかり感じられるので、ポータブルでもオーディオ趣味ができるという確信を持ちました。

HD25もリケーブルとかいうケーブル交換をすると音質はものすごく向上しました。ミニミニケーブルも太い本格オーディオケーブルのミニチュアみたいなのがMoon audioあたりで売っていて、それもやはり音質を高めてくれます。こうしてだんだんとHeadFi世界を中心としたオーディオ世界にはまっていったというわけです。それが2005年の中頃くらいにかけてです。
自作派なら自分で作ってそれで世界が閉じてしまったのかもしれませんが、わたしの場合はそうではなかったのでかえって多くの人の参考にできたかのかもしれません。

そうして深みにはまっていき、ブログ開始をして一年くらいで2005年の夏には当時の研究の総決算として下記のGRADO HP-1000(HP-2)の記事を書いたりしました。写真には当時使っていたオーディオアナログ社のCDプレーヤーも写ってますね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/5528936.html
上の記事を見てもらうとわかりますが、もういまと書いていることはいっしょです。というか、そのころからはいまにいたるまでほとんど変わってません。10年間もおんなじようなことを書き続けています。

一方でソニーやティアック、ビクターなどがポータブルヘッドフォンアンプを作るなんて、当時だれが考えたでしょうか?想像すらできませんでした。この10年間で私とこのブログはまったく変わってないんですが、私の周りは激変しました。

この世界のブログやホームページは私が始めたわけではなく、私が始めた時にはすでにいくつものそうしたサイトがありましたが、今ではすでにほとんど残っていないのは残念なことでもあります。
たしかにいろいろな意味でブログ運営の難しさというのもあります。わたしが続けてこれたのは無理せず自分のライフスタイルに合わせてやってきたからだと思います。通勤で電車に乗ってる時間が多いからポータブルで良い音を聴きたい、家の帰りが遅くなるからヘッドフォンで音楽を思いっきり楽しみたい、コンピューター仕事が多いのでその時間を快適に過ごしたいからPCで音楽を聴きたい、などみな自然な欲求です。

いまでも月に10-15記事はコンスタントに書いてますので3日に一回は更新している計算になります。実のことろ書く時間がなくて書けないこともあるくらいで書きたいことはまだまだたくさんあります。
たとえば最近ではロスレスストリーミングとソフトの周辺についての記事に着手したんですが、日本では聴けませんしそれで書いている時間がないので今は没にしています(そのうち復活するかもしれませんが)。

おそらく書くことで大事なのは興味を持ったところに納得するまで深く突っ込むということでしょう。
ブログはみなに伝える場でもありますが、自分の考えをまとめる場でもあります。自分が理解していないことを書いても読んだ人は分かりません。もし読んだ人が理解してくれれば、わたしもそれを理解したということでしょう。
そういう意味でMusic To Goはわたしにとって自分の理解を試す場である、とも言えるかもしれません。
また、リケーブルとかインテジャーモードとかブログに書いた言葉が一般にも通用するようになるので、最近では日本では初出かなと思うものを書くときはちょっと気に留めています。

そして、この10年を思い返してみるといろいろなことがありました。このブログが本になりましたし、雑誌にも記事を書くようになりました。いろいろなところで講演などもするようになり、海外に取材にもいきました。
続けることは苦労ということもありますが、たくさんの出会い、知り合い、機会ももらってそれが先に進む原動力になっていたと思います。Music To Goの10年と言うのは苦労というより得たもので数えるべき10年だったと思います。
みなさまには改めて感謝をしたいと思います。また今後ともよろしくお願いします。

"Count your garden by the flowers,
-Never by the leaves that fall,
Count your nights by stars,
-not shadows.
Count your years with smiles,
-not tears."


- Laura Mae Utley Gibson
posted by ささき at 13:35 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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