AK100II/AK120IIが発表されましたが、AK240との大きな違いはDSDの再生をAK240ではネイティブ再生ができるのに対して、AK100II/AK120IIではPCM変換ということです。しかし、使用しているDACチップICはどちらも同じです。違いはAK240にはあるXMOSがAK100II/AK120IIにはないことです。
本稿ではこれについて少し考察してみます。
DSD音源の再生は最近のオーディオのトレンドですが、長らくオーディオ世界に君臨していたPCM方式とはことなりますので、さまざまなところでPCMのしばりを受けたボトルネックで制限されます。それをクリアしてDSDのまま再生するのがDSDネイティブ再生です。
このクリアの仕方にはいろいろありますが、例えばUSB DACでいえばPCからDACへの伝送経路がボトルネックになりますので、それをクリアするためにdCS方式から始まってDoPやASIOなどがありました。またネットワークオーディオではネットワークのプロトコルがボトルネックとなりますので、DoPEやバッファロー方式NASなどのクリアの方法があります。
その点でハイレゾDAPの場合には自己完結しているわけですから、単にDACチップICがDSD対応していればよいように思えます。しかしながら実のところはやはりPCMの制約がボトルネックになると思います。それはI2Sです。
ふつうDACの内部ではPCMのデータはI2S形式で伝送が行われ、DACチップICにデータが入ります。ところがI2SはPCMを伝送する形式ですから、DSDデータをDACチップに伝送する際にはI2SではなくDSDに沿ったDSD-rawなどの形式で伝送する必要があります。このためDAC内部で入力コントローラとして使用していたICが、DACチップICへの出力をするためにはI2Sだけではなく、DSD-rawなどに対応する必要があります。
この条件を満たすのはたとえばXMOSやAmaneroなどです。XMOSは当初I2Sだけでしたが、昨年くらいからDSDにも対応したようです。
AK240やCalyx Mは両方とも単体でのDSDネイティブ再生ができますが、両方ともやはりXMOSを採用しているのでこの要件を満たしています。以前AK240が出たときに、DSDの時に働くプロセッサがある、という表現が話題になりましたが、これはおそらくXMOSのことだと思います。XMOSはそれ自体がプロセッサです。
対してFiiO X5, iBasso DX90, AK100II/AK120IIなどはDACチップICはDSDに対応していますが、おそらく回路がI2Sの経路のみで組んであるのでしょう。そのためDSD再生にはPCM変換が必要になるのだと思います。反面でその分価格は下げられると思うので、これもトレードオフの問題かもしれません。
Music TO GO!
2014年05月16日
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