Music TO GO!

2014年03月27日

高性能ポータブルアンプ、Portaphile Micro MUSES01バージョン

*English summary is available at the end of text.

Portaphile MicroはPortaphile 627を小型にしたものです。仕様はほぼ同一でコンデンサーが一個少ないだけとされています。電池持続時間も同じということ。
プリオーダー特典で$499が$399で販売されていましたので早速オーダーしました。
ホームページはこちらです。
http://portaphile.com/shop/portaphile-627-micro-pre-order/

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今回のポイントはオペアンプの選択が出来ることで、オプションとしてJRCの「オーディオ向け高音質オペアンプ」であるMUSES01がプラス$50で選択できます。
このオプションを取ることでPortaphile Microの3チャンネルのうち左右チャンネルはMUSES01で、GチャンネルはOPA627となります。なんと贅沢な。

MUSES01はオーディオ専用の高音質オペアンプとしてJRC(新日本無線)が制作しているMUSESシリーズのフラッグシップモデルです。
http://semicon.njr.co.jp/jpn/MUSES/MUSES01.html
MUSES01は他のモデルと比較して動作電圧が高い(MUSES01は+/-9Vで他は+/-3.5V)ので、基本的には据え置きのハイエンドオーディオ向けですが、Portaphileはもともと627向けに内部昇圧しているのでMUSES01がポータブルアンプでも使用できるということなんでしょう。
MUSES01バージョンと627バージョンはLEDの色が赤(Muses01)と青(627)で判別できます。

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細かいところではプラグの食い付きが良く、QuickStepと同等になったのが良いところです。またボリュームノブも多少変わっています。ボリュームポッドまで変わったかは分かりません。(627Xはボリュームをより高品質のものに変えたと明記されてます)
USB ミニBで充電できるようになったのが改良点ですがあやしい二股のUSBケーブルがついてきて、PCのUSBから取る時は2つのプラグから取らないと電流が足りません。(付属のACアダプタはひとつで済みます)
しかも、ソースのDAPと同時に一つのPCから取ると誤動作するという謎の症状が報告されています。(PC側の供給の問題かも)
電池の持ちはPortaphile 627と同じく4時間程度ということですが、まだ3時間半程度までしか実測はしていません。いずれにせよ電圧が下がると下記の電源投入不安定問題も出やすくなるのでまめにフルチャージした方がよいと思います。SONYの2個USBソケットのあるモバイルバッテリーでは充電可能でした。

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Portaphile 627(下)とPortaphile Micro

以前のPortaphile 627では電源投入時に2回ひねらないと電源が投入されないという「儀式」があったのですが、Microでは一度で電源が入るようになりました。しかし、、はじめの数秒はノイズがあり、それはすぐに収まってほぼ無音のローノイズフロアとなりますが、音量がはじめ低レベルで少し経ってからポップノイズとともにポンっと上がるというなかなかの癖を見せてくれています。製作者のCaesarに聞くとよくわからないようなのでもしかすると個体の問題かもしれませんが、この辺がひさしぶりに海外マニアックものを感じさせてくれます。
ある程度安定すると問題なくなり、実にすばらしいというか驚きの音質を聴かせてくれます。さすがオーディオ専用とうたうMUSES01です。
Micro MUSES01バージョンはAK120のWM8741デュアル改造のRAWK120-B(S)のために注文したもので、サイズ的にもなかなかぴったりです。デジタル接続システムのAK100+Hugoにたいしてアナログ接続のハイエンドポータブルシステムとなりますね。

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MUSES01バージョンではまず音の解像度と明瞭感が半端なく、いままで良いと思っていた627バージョンと比較しても、627では描ききれず丸めてしまった音の輪郭をMUSES01版ではさらに鮮明に彫り深く描き出し、WM8741デュアルの再生品質の高さをあますところなく再現するという感じです。RWAK120-BとPortaphile MUSES01の再現力にはちょっと圧倒されますね。全体的な明瞭さもかなり鮮明さが向上して楽器音の輪郭がクッキリはっきりとしています。
また高域と低域の再現力も半端なく、かなりのワイドレンジ感があります。高域の明瞭感・鮮明さの素晴らしさと低域の重み・下への沈み込みの深さは新感覚と思えるほどです。ある曲でJH13が耳の中でぶるぶる震えるように感じられたのはちょっと驚きでしたね。
Portaphile 627に戻して聴きなおすと627はよりソフトな感じでちょっとメリハリがなくのっぺりとした感じにはなります(相対的な話ですが)。
もちろん好みの差もあって、前の627のメロウさ・中音域の甘さが良いという向きもあるかもしれません。
Portaphile 627は中音域重視のウォーム感のある音も人気のひとつでした。買う前の予想ではMUSES01バージョンはおそらくドライで分析的になるだろうと思ったのですが、思ったほどはそうドライではありません。もちろん上で書いてきたような差はあるのですが、まったくの別物的な音調になったという感じではないですね。そうした点では聴きやすいPortaphile 627の良さは適度に残していると思います。
また全体的に力強く押しが強い感覚です。Portaphileのゲインは627バージョンではLowが2xだったのですが、MUSES01バージョンでは1.2xに下げられたのもわかります。

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MUSES01の音は素晴らしいのはわかったので、電源が安定できればと思いますが、大きくても良いという人は627XのMuses01バージョンをオーダーするのも良いかもしれません。(問題が収まるかどうかは分かりませんが)
音質的にはいままでのアナログ入力のポータブルアンプでは最上級のレベルのものだと思いますし、AKシリーズと組み合わせてコンパクトなシステムにできるのも魅力です。反面で不安定さがあり、電池持ちも悪いという難点もあります。なかなか海外マニアック製品を久しぶりに堪能した感じですね。
それとMUSES01がすごいのが分かったんで、MUSES01(あるいは02)を使ったポータブルアンプをもっと見たいと思います。MUSESの普及品を使ったのはありますが、やはりトップモデルを使ってこそのマニアック製品。どうせトップモデルなんかポータブルに使っても性能は発揮できないさ、と言う前にまず作って試して聴かせて欲しいと思います。

*English summary here.
Although I experienced pop and noise unstability on the startup, the sound quality is top notch. After some burm-in time the difference between 627 and Meses01 comes to more obvious. Muses01 delivers crisper highs and more weight and details on the lower region. More articulate overall the sound spectrum. Some may say it is analytical but I feel the sound signature is not so far from the original 627 version as I thought first. I think this is not dry nor sterile. But anyway original 627 is sweeter and warmer.
posted by ささき at 22:40 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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