新生ペンギンカフェの新作"The Red Book"が発売され、プロモーションで来日しているアーサージェフス(オリジナルのペンギンカフェオーケストラのサイモンジェフスの息子)とヴァイオリ二ストのオリ・ランフォードがタワレコでインストアライブを行い、私も見て来ました。今日は新作からNASAのケプラープロジェクトでのコミッションで作曲された2曲、前アルバムから2曲とサイモン時代の一曲を演奏しました。ピアノとヴァイオリンだけに編曲したものですがこれもなかなか良い感じ、ピアノ演奏するときにピアノの天板をかなり寝せてセットしてたのがちょっとユニークでしたね。ミニライブですがすっかり前列に座って至近距離から演奏を聴いて感動しました。
下記は新作Red BookからNASAのコミッションによるSOLARISです。もちろん有名なあれにかけているタイトルです。
サイモンジェフスがペンギンカフェをやっていたときはいわゆる環境音楽の一派で家具の音楽とも称されました。つまり家具のように部屋に流れていて溶け込んでいる、けれども生活を豊かにすると言うわけです。
これはともすると主張がない音楽とも取られますが、息子アーサーのペンギンカフェはもっと主張が強くなっていると思います。アーサーはペンギンカフェの他にもSUNDOGというユニットもやっていて、そちらはもっとアグレッシブなアプローチです。おとなしめで父の血筋のペンギンカフェともっとアーサーらしいSUNDOGという感じでしょうか。
現代的な器楽曲という根源は同じでも、サイモンのときとアーサーのいまでは立ち位置も変わるでしょう。かつてトールキンは現実逃避するのも勇気であるとして指輪物語を書きましたが、今の時代のさなかであえて一歩おいて自分を見つめるために現実から離れさせてくれるきっかけになっていると思います。こんな静かな音楽なのに心はハードロックよりも揺さぶられるのですから。
ちなみにタイトルの"Red Book"はユングの著書のタイトルから来ています。ただアーサーに言わせると(CDという意味の)レッドブックマスターにもかけていると言うこと。レッドブックのレッドブックマスターと言うのが面白いからだそうです。
ちょっと個人的に思ったのはこうした質の高い音楽がなぜCDではなくハイレゾででないのか、ということです。ウタダとかもいいかもしれませんが、音楽は生きてます。たとえばヒラリーハーンとも共作した現代音楽家なのかポップアーティストなのかユニークなハウシュカの新作とか、音楽シーンの先端にいるアーティストの新作がハイレゾで出ないでそれが本当に新しいフォーマットと言えるのでしょうか。
まず普及が大事だと売れ線ばかりハイレゾで出ても、いまの消費者は情報も豊富で賢いのでハイレゾって言って高付加価値でまた金を取るんだろう、と気がついてしまいます。ハイレゾとか言っても昔アーティストのデラックス版CD再発DVD付き(リマスター何回目だよ)なんてのと変わらないじゃない、と。(まあそれを買っちゃう私もなんですが)
もし本当に時代に合わせて音楽というものをより進化させるためにフォーマットを考えるなら、そこは変えていく必要があるでしょう。ハイレゾの問題は22kHzより上が聴けるかなんてことより大事なことが別にあると思います。
ちなみにペンギンカフェは9月に楽団員を引き連れて本格的な来日公演を予定しています。詳細は下記リンクから。
http://plankton.co.jp/penguin/
Music TO GO!
2014年03月22日
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