今年の記事の最後としてMusic To Goブログの記事を振り返ってオーディオのトレンドを読み解くという、総集編企画をお届けします。
ちなみに2012年の振り返りはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/310783816.html
*ポータブルオーディオの進化
今年もポータブルオーディオ関係での動きが大きかったですね。
まずCHORDのHugoです。いままでガレージメーカー主導で始まったポータブルオーディオはやがてSONYやFostexなど大手が参入するようになり、ついにハイエンドオーディオメーカーも製品を出してきました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/381254815.html
ハイレゾDAPではAK100シリーズがますます存在感を高めています。
デュアルDACのフラッグシップAK120がデビューし、その後に業界・ユーザー含めてほぼ全世界標準機の地位を確立します。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/359797039.html
また普及機ではAK100mkIIでラインナップを補強し、ユーザーの声も生かしています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/374643177.html
AK10のようなiPhoneデジタル対応アンプも出してバリエーションも増やしています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/378447010.html
それとAK100シリーズは様々な改造機の母体となっています。そのなかでもやはり老舗はVinnieさんのRed Wine Audioです。
RWAK100の出力インピーダンス改造ははAK100改造機としての標準を示し、AK100mkIIにも影響しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/318264172.html
またRWAK100-SはWM8741換装とラインアウト専用機という進化を見せました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/372444230.html
その後にバランス出力対応でデュアル8741というRWAK120-Bまで進化しています。
HiFiman HM901も本格的にリリースされました。HM901は下記にレビューを書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/366007600.html
その他のハイエンドDAPもいろいろ試して見ました。まずPCM1794の高音質と薄さが特徴のARM1です。4時間しかもたないという切れた仕様ですが、使いやすさもあってけっこう気に入ってます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/373836210.html
重量級ではPCM1704デュアルでモジュラー式ユニットのHiFi M9も見逃せません。音質もよいのですが、DAC交換可能というところも良い。実際にPCM1792カードも入手してます(この辺はあとで記事にします)。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/375503129.html
そしてフルデジタルアンプS-Master HX搭載のSONY Walkman ZX1です。ソニーが一般層にまでハイレゾ意識を広げてくれたのは今後のこの分野の期待となります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/383929320.html
来年もたくさんの新型機が出てくるでしょう。
ポータブルアンプではiPhoneのデジタル出力と、AK100の光出力などDAPのデジタル対応が注目されました。
デジタル入力対応機としては、満を持して登場したHiFi M8が性能的にもハイエンド機として筆頭にあげられるでしょう。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/382092392.html
またAK100と組み合わせやすいコンパクトタイプでもXD-01などのDAC内蔵アンプが注目されています。XD-01はバッテリーを使ってUSBセルフパワーで動作できる点がiPad対応DACとしてのポイントになります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/351635806.html
また個人的にはiPod時代とは異なるマートフォン時代にはワイヤレスとしてMyst 1866のようなワイヤレスデジタル対応が求められていくと思います。ただできればWiFiストリーミングかAirPlayでこういうのが欲しいところです。Walkman M505もよかったですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/367782187.html
iPhoneの今年出たiOS7ではiPadでしかできなかったCCKによるUSBデジタル接続がiPhoneでもできるようになりました。ただ依然として電力問題はありますが、ResonessenceのHerusは9018K2M採用でiPhone接続で話題となりました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/381743078.html
またiFIもiDSDのようなセルフパワーのポータブル機を出しています。
ESSの2Mシリーズも省電力機能でポータブルオーディオの後押しをしました。省電力もスマートフォン時代のキーワードです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/367725863.html
iOS7ではDTMよりではありますが、オーディオの新機能としてアプリ間の入出力連携が取れるinter-appが採用され、汎用アプリのAudioBusと共存しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/366058362.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/375257826.html
スマートフォンではLGの普通のスマートフォンまで192/24を実現しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/371437417.html
サムソンはハイレゾ出力可能のスマートフォン向けの開発環境も出しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/380324596.html
最近ではVivo Xplay 3SのようにスマートフォンなのにES9018k2M採用でハイレゾを誇るものまで出てきました。
またやはりSONYの存在感強しで、オーディオマニアからすると周回遅れに見えますが、ハイレゾブームも再燃してきています。
こうした陰で地道にポータブルハイレゾを実現しようとしてきたニールヤングのPONOはAK100やソニーにすっかりお株を奪われてしまいました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/355461086.html
やはりこの分野は進化が早いですね。
*DSDとPCオーディオの拡張
今年のDSD界隈の大きなトピックはDSDネイティヴ再生がネットワークオーディオ対応できるようになってきたことでしょう。
まずDoPEというシステムが5月頃に登場しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
次にバッファローからもDSD対応NASが登場し、だんだん状況がわかるにつれ記事を書いていきます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/364388664.html
そしてDoPE搭載のDSX1000がリリースされるとその実機でのレポートを掲載し、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/374110755.html
最終的にバッファローのシステムを明確化して追補し、ネットワークオーディオとDSDネイティブ再生のまとめを書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/379546733.html
一方でUSB DACによるDSD再生ではDSD5.6Mは当たり前になり、11.2M対応機も現れました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/337674819.html
またDSD専用のDACというのも現れてきました。
Schitから低価格DSD専用DACがリリースされ、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/374362621.html
また、ポーランドのLAMPIZATORも半導体を使わない真空管ディスクリートのDSD対応DACを出しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/365723672.html
PCMとDSDはそもそも違うので相容れない、ということですね。
DSDはラズベリーパイのようなDIYマイコンにまで波及して、RaspyFi1.0が登場しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/374988227.html
このあとRaspyFiは現在はVolumioとして生まれ変わり、多プラットフォーム化を果たしています。
国内では1bit研究会のインターフェースさんのお話なんかも面白く、今後も国内DSDの裏方として注目です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/367601794.html
一般的なPCオーディオで今年私が注目したのはハイエンドオーディオメーカーの新たな動きです。
例えば、ハイエンドメーカーを母体とするiFIオーディオの登場です。iFIはハイエンドの技術力を活かしてコンシューマー向けの製品を製作し、市場のユニークな特徴もよく考慮しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/324240057.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/357822969.html
もう一つはUSB DACをクラウドファンディングのKickstartで開発してしまったLight Harmonic社のGeekですね。Lighharmonicは100万クラスのDACや10万のUSBケーブルを出しているようなメーカーです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/372014855.html
Lightharmonicは調子に乗ってデスクトップのUSB DACも立ち上げています。こちらはクラウドファンディングとしてindiegogoを使っています。この辺の使い分けはメーカーとしても試行錯誤のようです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/379411850.html
これはユーザーの意見を吸い上げながらキャンペーン中に動的に進化して最終的には9018k2Mx2、Femto Clock、バランス駆動対応など大きな進化を見せたのも面白いところです。まだ外観デザインもユーザーの声により修正されます。
今年はCHORDのHugoも含めて、ハイエンドオーディオメーカーが興味深い方向性を示してくれた年ともいえますね。
昨年はUSBメモリタイプのDragonflyがヒットしたことを受けて、今年は小型USB DACの豊作年ともなりました。
こちらにまとめを書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/380154690.html
再生ソフトもJPlay+JRMCなどが面白かったのですが、後でJRMC側がこれを非推奨と語ったりひともめありました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/319251816.html
JRMCではMac版も登場しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/331921426.html
再生ソフトはPC/Macでは新味がありませんでしたが、iPhone/Androidなどスマートフォンでは活発に動きを見せました。
こちらはONKYOのハイレゾ対応アプリで、iPhoneからUSB DACにDSDネイティブ出力という快挙を見せてくれました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/312199525.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/378357536.html
本体でDSD対応するにはDSD-1(現 hibiki)アプリもあります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/317031923.html
NeutronのiOS版も登場しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/383577283.html
DSP系のAudiophileではinter-appにも対応しています。inter-appの連携機能で他のアプリがAudiophileの優れたDSP機能が使えます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/376135103.html
Androidのデジタル対応ではUSB Recorder ProでUSB DACにハイレゾ出力できたのも画期的でした。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/353122143.html
*ヘッドフォンとイヤフォン
イヤフォンではまず5月にFitEarパルテールが出て、低音域でのローパスフィルターという方向性を提示しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/359235072.html
次にShureのSE846が同様に低域のローパスフィルターを採用し、この辺が新しい世代のマルチBA機の方向性を示すターニングポイントになりました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/360127498.html
またDita Audio Answerのピュアオーディオ志向でイヤフォンを設計するという方向性もこれからのポータブルオーディオのあり方を示してくれました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/380693506.html
ヘッドフォンでは
デザインの美しいVK-1パルキリーとか、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/348614047.html
超ど級の平面型Abyssなんかがありました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/378350858.html
またShure1540の発表会に出席もしました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/378440444.html
あとはEdition5なんかも出ましたね。
*イベント
ヘッドフォン祭の春ではAK120のコメントやHM901のロンチの司会などやらせてもらいました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/360920352.html
上で「某国ブランドからアンダーテーブルでハイエンドイヤフォン」と書いていたのはDita AudioのAnswerです。
ヘッドフォン祭の秋ではOppoの新型平面駆動ヘッドフォンの発表会にコメンテーターとして参加しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/378803209.html
今年はジェリーハービーともいろいろと関係してこのときもインタビューをしました。
HeadFiともうまくやっていっています。
春のポタ研ではAndroidデジタル対応DAC内蔵ポータブルアンプや真空管ポータブルアンプがもう芽を出しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/321209672.html
夏のポタ研ではCHORD代表のジョンフランクスが立ち寄ってくれました。これはのちのHugoにつながっていきます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/369540514.html
また今年何と言っても大きかったのはJabenのショウに参加したことです。
まず8月に第一回を開催し、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/371709927.html
12月に第二回を開催しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/383005102.html
日本・アジアというネットワークをぜひ築いていきたいものですね。
Jabenからはヘッドフォンブックの英語版も刊行されました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/323325414.html
オーディオイベントでは福島花乃さんがオトノートを立ち上げ、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/368129455.html
そのイベントを開催したりもしています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/372708087.html
この辺もおもしろい試みですね。
*当ブログ
個人的なことでは今年はなんといってもこのブログが本になったことです !
ブログだと通して読むのが大変なので、ぜひ本を購入してゆっくりとこのオーディオ世界の成り立ちについて想いを巡らせてください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/359441815.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/366882422.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/367506494.html
またタイムロードの「遊」でDSDセミナーを開催したりもしました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/316441131.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/323187501.html
来年もさまざまな面白いことがあることを期待しています。
それでは今年も当ブログを愛読していただきありがとうございました。
みなさま、良いお年をお迎えください。
Music TO GO!
2013年12月31日
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