週末は有楽町で開催される恒例の東京インターナショナルオーディオショウに行ってきました。以下は私的興味のレポートです。今回もカメラはQX100を使用しました。
上はスピーカーの中にDACが入ってしまったLINN EXAKTシステム。フロントエンドのLINN DSからデジタルでスピーカーに伝送します。売りは位相の正しさ、ジッター低減など。またアクティブクロスオーバーの系統ですね。
EXAKTで面白いのはEXAKT linkという伝送システムで、初めはスピーカー側はXLRなんでDSからはAES/EBUかと思ったんですが、よく見るとプラグが単にノイトリックのXLRだけで中身はRJ45です(下の写真)。DS側もRJ45なんで、SPDIFやAESでなく1:1でネットワークプロトコルで伝送してます。なんでこういうプラグにしたかというとRJ45だとしっかりはまらないからで、ガワだけXLRになってます。
それなら初めからスピーカーでネットワークから受ければ良さそうですが、そうすると左右の時間差が出るので、いったんDSでまとめて受けてから位相差問題が出ないように1:1のトラフィックが限定されたネットワークケーブルで伝送するということのようです。左右別にプレーヤーを入れると前に書いたイヤフォンのSplitみたいにクロックを伝送して同期のような手間が入ります。またLINN的にはLP12のADコンバータとしてもDSが役立ちます。
DSとスピーカー間はupnp(DLNA)ではなく、どうもプロトコルまで独自のようです。ネットワークプロトコルはハードの低層からアプリの高層まで階層があって、どのレベルまで独自かはわかりませんが、LINNがEXAKT LINKで専用プロトコルまで作ってしまったというのは驚きです。従来のチップとかファームが使えないですからね。この分野にかける執念を感じます。
普通は一本のケーブルならSPDIFとかUSBみたいにシリアルでデジタル信号を転送すると思いますが、ネットワークプロトコル使った理由はスピーカーケーブルなので長さの問題でしょうか。USBなら数m持つかもたないかですからね。でもバランスのAES/EBUなら良いのでは、という気もするのでよくわかりません。
これで興味を持ったので本国LINNの公式EXAKT関連フォーラムをざっと読んだのですが、あんまりはっきりしたことは書いてないですね。伝送長などの質問にはLINNスタッフは回答を避けてます。ただ、EXAKT LINKってマルチルーム向けかって聞いた質問にEXAKT LINKは部屋の中での配線のためだ、とLINNの人が答えてはいます。
LINN EXAKTの音はピュアでニュートラル、クリーンで精緻、確かに素晴らしいと思います。ただ私はスピーカー機材は90年代LINNを使用してますが、アイケミやケルンのようなLINNの英国的陰影サウンドは(米国ハイエンド市場向けの)Klimaxシリーズ以降は薄まって行き、EXAKTになると、かつてのLINNっぽさはほとんどありません。それがHiFiというものでしょうけれども。
上は今回のショウの目玉と私が勝手に思ってるAudienceのThe Oneスピーカーです。今井商事さんブースの展示です。The OneはCESなど向こうのショウで高評価だったのでちょっと目をつけてましたが、日本でも試聴できるとはうれしい話です。The OneはコンパクトのハイエンドスピーカーでAudienceはこのユニットを複数組み合わせて上級のスピーカーを設計してます。私は日本の小型スピーカーだと大村ユニットものが好きなんですが、これも期待させられます。
実際にThe Oneの音質は素晴らしく、小さくても堂々たるスケール感の音と高い解像力。絞っても崩れない小音量再生力の高さなど印象的です。Burson Time KeeperパワーアンプとThe Oneで演奏中ですが、定位がピッタリ、スケール感も素晴らしく、外側の大きいフロアスタンドスピーカーが鳴ってるって言ってもおかしくないですね。デスクトップ向きかと思ってましたが、6畳間ならメインでも行けそうです。
今井商事さんらしくMytekでDSD128でデモしてました。 The Oneの背面はパッシブラジエーターです。メインコーンとドローンコーン(パッシブラジエーター)は前後に同相で一緒に動くタイプのようです。
The Oneはペアで12万5千円とのこと。今井商事さんではコンパクトはALRジョーダンのEntry Siなんかが有名でしたが、The Oneもそうなると良いですね。
ネットワークでもDSD再生が可能になってきましたが、そこで興味深いのはステラ・ゼファンブースでのスイスのCH PrecisionのC1 DACにネットワークボードをつけてネットワーク対応したものです(上の写真)。これはなんとバッファローのDSD対応NASに対応してます。知る限り海外製では初だと思います。はじめはminim serverも考えたけど、バッファローを知ってこちらにしたよう。IFAでしょうか、バッファロー方式ネットワークDSDもいよいよ海外に広がってきたようです。
ただしC1の中はDSD対応していないPCM1704の4パラで、DSPで入力信号を(PCM1704でのオーバーサンプル上限の)705.6KHzに変換しますのでDSDネイティブ再生ではありません。写真ではDSD128を再生して705.6KHzに変換してます。
タイムロードのブースではQuteHDの改良版QuteEX(DSD128対応USB DAC)とQuteベースのネットワークプレーヤーCodeX(DSD128対応ネットワークプレーヤー)が展示してありました(上左)。またヘッドフォン祭では長蛇の列だったEdition 5が聴き放題。ヘッドフォンアンプはStelloです。
インターナショナルオーディオショウというと評論家の先生方の講演も人気です。タイムロードでの角田先生のライドー新スピーカーD5とDSX1000の講演です(上右)。
ナスペックではウイーンアコースティックスのスピーカーをデモしてました(上左)。手前は新フラッグシップのThe Musicです。よく言われますがウイーンアコースティックスのスピーカーって音色がとてもきれいです。
注目は最近増えてきたUSBメモリタイプのヘッドフォンアンプ内蔵DAC、CambridgeのDACmagic XS(上中と上右)。けっこう質感はよく薄くてコンパクトなUSB DACアンプです。192kHz上限でUSBはMicroBです。 28000円くらいで12月ころ発売とのこと。
ユキムで面白いのはカワイイ真空管アンプのCarotから出た真空管式ポータブルアンプ、NIK58-Tubeです(上)。真空管はPhilipsのサブミニ管(JAN6111WA)ですからNOSで、JANだから軍用でしょうか。
サウンドフィールドという機能で音の広がりを変えられるよう。USB充電式リチウム電池内蔵で、電池持続3.5時間らしい。あのPortaphile627以下? 89800円と強きな値段で11中くらいに出るよう。
上はBMCのPure DAC。バランス駆動のヘッドフォンアンプ(4pinXLR一個)付きでバランスT1でデモしてました。ESS9016でバランスDAC22万とお得値段かも。音も良かったですね。
上は以前書いた「マークレビンソンのいま」Daniel Hertzの1MΩプリです。 私はやっぱりブランドって文化・歴史だと思うので、自分で買うわけではないけどこういうものも興味あります。
前に書いた記事はこちらです。
マークレビンソンとディックバウエンのいま - Burwen Bobcat
マークレビンソン氏のインタビュー記事とDaniel Herz
小型スピーカーも元気で、上はフォステクスのピュアマグネシウムGX100 limitedのデモ。すごい人出でした。Limitedはより自然な音になったような気がします。
上はロッキーブースのFocal Spiritの赤。これはホワイバランスを手動で変えないとデジカメではきれいに色が出ないシチュエーションです。
今回は半分QX100の練習に来てるみたいなもんですが下記はものはともかくディスプレイがきれいなんで撮ってみました。dCSのプッチーニとAvalonのIsis。F1.8開放で撮ってます。
こちらはスナップ風の写真、暗部描写も見事です。
QX100はすばらしい画質です。ヘッドフォン祭の時は自分に余裕がなかったのであんまり真面目にカメラを見られませんでしたが、やっと落ち着いて撮れました(そういう場合か?)。Powershot G15もコンパクトにしてはけっこう良いと思ってましたが、QX100の絵からするとRX100もかなり良いでしょうね。もっと一眼レフに近いレベルです。
というわけでハイエンドの良い音をタップリ聴いた後で帰りの電車では自前のARM1とDita AudioのAnswer True editionでポータブルオーディオ。それでひどくがっかり、、まではしないかな 笑。マイトナーとかIsisなんかは別として、けっこう良い線は行ってると思います。ヘッドフォン・イヤフォンのすぐれたところは音の細かさだけ、というところからDita Audioなんかは卒業を始めてます。DAPもARM1みたいにハイエンドDACを搭載するところまではいきましたが、ジッター低減や音楽性などまだまだ取り組まねばならないことを考えさせられますね。もっと先はあるし、だからこそ進化する余地もあります。

