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2013年10月31日

Meier Audio CORDA QUICKSTEPレビュー

MeierのQUICKSTEPは一年くらい前に出たポータブルアンプで新製品ではありませんが、セールをやっていたので手を出しました。私にとってはMOVE(初代)いらのMeierアンプです。

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久々のMeierアンプになるのでその新しい搭載技術のおさらいをしてみました。MeierのアンプはMOVEシリーズの後のSTEPDANCEで新機軸が入り、2STEPDANCEで改良され、QUICKSTEPでマイナーチェンジがなされたという歩みになると思います。PCSTEPはUSB DACがついたバージョンで音質重視のラインではありません。
STEPDANCEで導入された新技術はおもにディスクリートボリュームとアクティブ・バランスド・グランドです。しかし電気食いすぎるとかいう批判もあってか2STEPDANCEで回路やオペアンプが改良されて、ハイカレントモードでの電流が減っています。そしてQUICKSTEPでの改良点はRFフィルターと頑丈なイヤフォン端子です。
ですからQUICKSTEPでもディスクリートボリュームとアクティブ・バランスド・グランドが引き継がれて主要な位置を占めています。

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*ディスクリートボリューム

まずディスクリートボリュームですが、製品説明では32ステップの「ボリューム」の段階があるとされています。しかし、それは従来的な意味でのボリュームとかアッテネーターと言うものではないようです。
その詳細についてはHeadFiスレッドの中に、設計したMeierさん自身が書いた下記説明文があります。
"With most amplifiers the input signal is first attenuated with the use of a potentiometer and next it is fed into an output stage with fixed amplification factor"
→「ほとんどのアンプでは入力信号はまずポテンショメーター(ボリューム)によって減衰(アッテネート)され、次に固定のamplification factorを持った出力段に送られる。」
"The concept of the STEPDANCE and QUICKSTEP models is different. The input signal is not attenuated but the amplification factor of the output stage is changed with volume. "
→「しかしSTEPDANCEとQUICKSTEPのコンセプトは違っている。入力シグナルを減衰するのではなく、出力段のamplification factorがボリュームによって変更される」とあります。その"amplification factor "っていわゆるゲインのことなので、注文したときについでにMeierさんにディスクリートボリュームとはVariable gain(可変ゲイン)のことと言い換えてよいか?と聞いたらexactly so(まさしくそうだ)と言ってました。つまりディスクリートボリュームって32段階の細かいゲイン切り替えみたいなものです。
製品説明ページの解説にはADCでアナログボリュームの位置を測るとありますが、これはボリュームノブの回転角を測ってゲイン調整するためで、シグナルパスにはボリュームまわりは入ってないと思います。アンプにはゲイン設定も別にありますがこれは固定値で足してるんでしょうね。
従来のボリュームやアッテネーターはシグナルパスには無いので、抜群の透明感の理由も納得できます。またチャンネル間のインバランス(ギャングエラー)もないでしょう。

*アクティブ・バランスド・グランド

次にアクティブ・バランスド・グランド(Active balaneced ground)ですが、これはケーブル改造なしでバランス駆動のような効果を得ると製品解説にあります。
これはちょっとわかりにくいのですが、二つの言葉の合成語だと気づくと分かり易いと思います。それは3chアンプを意味するActive groundとバランス駆動のBalancedです。つまり基本は3chアンプだけどバランス駆動のように信号の平衡が取れてるという意味でしょう。どういうことかというと、平衡を取るのに4本だとリケーブルが必要なので3本で平衡を取るという考え方です。
以下の式は本来は1/2とか1/4が必要ですがわかりにくくなるのでざっぱな概念です。()内は一本のケーブルの電位です。

(L+0) + (R+0) + (0) < > 0 普通の2chヘッドホン(Gは0)。計ゼロでないのでアンバランス
(L)+ (-L) + (R) + (-R) = 0 普通のバランス駆動。計ゼロなのでバランス(平衡)
(L-G) + (R-G) + (2G) = 0 アクティブ・バランスド・グランド。計ゼロなのでバランス(平衡) *Gは共通なのでLとRの逆位相信号が混ざってます。

ですから端的に言うと、アクティブ・バランスド・グランドとは簡易バランス駆動アンプと言うよりは改良型3chアンプと言った方が正しいと思います。
より正しく理解されたい方は下記のMeier氏自身の解説をご覧ください。
http://www.meier-audio.homepage.t-online.de/grounds.htm
それとアクティブ・バランスド・グランドだとボリュームが作りにくいという点もあって、可変ゲインであるディスクリートボリュームを採用したのではないか、と思いますが定かではありません。

*そのほかの改良など

QUICKSTEPでの改良点であるRFフィルターはおもにスマートフォンのような電波発信デバイスをソースに使うために改良されたと思います。ポータブルアンプのソース機材はiPodからiPhoneなどに変化していますが、ポータブルアンプでもその対策が必要と言うことでしょう。
イヤフォン端子はよりしっかりとしたタイプに変更されています。SONY ZX1と似た感じのプラグですが、外観上の特徴でもありますね。

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またこれもSTEPDANCEからですが、Meierアンプ得意のクロスフィードがありません。これもアクティブバランスドグランド採用に関係するのかもしれませんが、特許問題でかなり以前もめた(Meierのをコピーされた)のでその辺もあるのかもしれません。

また出荷時はハイカレントモードですが、切っている人もいるので中古を買う人は注意が必要です。カレントモードの変更は中を開ける必要があります。

*音質

サイズ自体はコンパクトで、AK120だと少しはみだすくらいです。AK100あたりがよいでしよう。重さもそれほどではありません。

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RWAK100-SとQUICKSTEP

下記のインプレはローゲインでカスタムのUE18を使用しています。
まずQUICKSTEPは透明感がとても高いのが印象的です。またハイスピードで楽器の音の切れが良く、トランジェントの良さを感じます。いわゆる鮮度感が高い音で、生き生きとしています。ボリュームレスとか、ショートシグナルパスなんかが効いているんでしょうか。この点では透明感はあるが音が遅いPortaphileとは違いますね。帯域特性などはとてもバランスがよく、低域の量感もあります。
音の広がりも立体感があってよいですが、二次元的な広さ自体はそれほどでもないかもしれません。スケール感よりはコンパクトな弦楽カルテットやジャズトリオが似合いそうな感じではあります。

ちょっと難は、改良されたとはいえやはり電池があまり持たないと言うところでしょうか。ただしこれも音質とはトレードオフですので個人的にはハイカレントモードを推奨です。

*まとめ

QUICKSTEPはサイズもコンパクトで取り回しもしやすい感じです。音も高い透明感と立体感、そして歯切れの良さが良いポイントです。価格もわりと程よいところだと思いますのでコストパフォーマンスは良いですね。コストパフォーマンスと言う点で言うと、QUICKSTEPと2STEPDANCEは小改良程度なのでRFフィルターとしっかりしたイヤフォン端子がいらなければ、もしかしたら安くなった2STEPDANCEの方が得かもしれません。ただ私にそれを言うのは野暮というものでして。。
posted by ささき at 22:16 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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