以前シンガポールのヘッドフォン祭、Mook Headphone festivalで少し書いたPSBとNADのヘッドフォンを今回のヘッドフォン祭ではJabenブースで持ってきてくれます。
デモ機を借りて試聴しましたのでレビューしてみます。
NAD M4U2
PSBとは創業者の名前(Paul & Sue Barton)でもあり、People, Sound & Businessの略でもあります。基本的にはカナダのスピーカーメーカーで正確に言うとPSB Speakers Internationalという名前のようです。40年くらいの歴史があり、現在では全世界に50を超える代理店を持つ国際的なメーカーとなっているようです。
PSBのホームページはこちらです。
http://www.psbspeakers.com/
M4UはMusic for youのことで、ヘッドフォンの製品です。M4U1とM4U2のタイプがあり、クローズタイプのデザインとヘッドフォン部分は同じですがM4U2はアンプとノイズキャンセル機能が付いています。
* PSB M4U1
M4U1はクローズタイプのヘッドフォンでいわば基本機能です。外観では曲線を描いたデザインも良く、柔らかいので装着感も上々です。オーバーイヤータイプで耳を包み込むような装着感も上々です。側圧もそれなりにありますが強くはありません。
ユニークな点は、ケーブルがミニプラグ交換式の片側差しのケーブルですが、このタイプは通常左にプラグがあります。しかしM4Uには左右両方にプラグが付いていて、接続はどちらでも構いません。好きな都合の良い方に接続できます。この辺はちょっと面白いですね。
音質は据え置きヘッドフォンアンプで聞いてみると、音は音楽的で全体に滑らかできつさを感じさせません。全体にバランス良く低域だけがですぎたところはありません。
ヴォーカルや楽器の分離は良く、表現はやや暖かくヴォーカルも魅力的です。分析的なタイプではなく音楽をゆったりと楽しむタイプですね。聴き疲れもすくない感じです。
iPod classicと組み合わせてみると、柔らかいながら音の分離も悪くはありません。空間表現が良く立体的で楽器の音再現も良いですね。やはり滑らかな音再現で雰囲気の再現に優れていると思います。
* PSB M4U2
M4U2はRoom Feelと呼ばれるヘッドフォンアンプ内蔵のノイズキャンセルタイプです。ケーブルはリモコンのあるなしの二本が付いていて、スペアのパッドも付いています。またエアクラフトアダプターも付属しているのでノイズキャンセル機能を飛行機で使うこともできます。プラスチックのケースはトラベルケースとなり、これも旅行用途を感じさせますね。M4Uは少し折り畳むことができます(あとのNADは折りたためません)。
ヘッドフォン側面にモード切り替えのスイッチがあります。スイッチにはLEDが付いていて選択されたモードを色で知らせます。モードはパッシブモード、Activeモード、Activeモードでノイズキャンセル付きです。パッシブモードでは普通のヘッドフォン(いうなればこれがM4U1相当)として使用ができて電池は不要です。
ActiveモードではLEDが赤点灯して内蔵のヘッドフォンアンプが機能します。Activeモードでノイズキャンセル付きではLEDが緑点灯してアンプとノイズキャンセルが働きます。LEDがAmber(橙色)になると電池切れサインです。
またケーブルのリモコンコードでMボタンを押すとノイズキャンセルの時にモニターモードになり周辺の音が聞こえるようになります。リモコンはiPhoneに準じます。
音質の基本はM4U1と同じです。
Activeにすると明瞭感がまして力感も向上し、ちょっとしたポータブルヘッドフォンをつけたようになります。
ヴォーカルもより魅力的に感じられます。Activeの効果は大きいですね。
機内のようにあまり騒々しいところでは聴いていないのでノイズキャンセルはどの程度かは保留ですが、TVを大きくかけて試すとうるさい成分の騒音は消して人の声は残す感じです。
ですので家でアンプで楽しむ時はパッシブで、外出でiPodをつかう時はActive、飛行機に乗ったらノイズキャンセルと使い分けることができます。
* NAD viso HP50
PSBのポールバートンがよりコンシューマー向けに立ち上げた別ブランドがNADです。NADもアンプからヘッドフォンまでさまざまなラインナップを持っていますが、ここではヘッドフォンのViso HP50を紹介します。
NADのホームページはこちらです。
http://nadelectronics.com/home
Viso HP50は軽くコンパクトなクローズタイプヘッドフォンで、ポータブル用としてM4Uより意識していると思います。なかなかスタイリッシュで装着も快適です。折りたためませんが、ポータブルには遜色ないくらいはコンパクトだと思います。平型のリモコン付きのケーブルが付属してきます。
ただし聴いてみると能率はけっこう低めで、ただのスタイリッシュヘッドフォンではなく、音質もより考慮していることがうかがえます。
音はPSB M4Uより明るく明瞭感があります。クリアで低域もたっぷりした量感とインパクトがあり、M4Uに通じる音空間の深みがあります。音の広がりの良さが印象的ですね。解像力もこのクラスでは十分なほどありますし、シンバルの音も鮮明でギターのピッキングも切れよく小気味よく感じられます。ポータブル用のヘッドフォンとしての音質のレベルは高いと思います。iPod classic単体でも良い音が楽しめ、AK100mk2にするとさらに高音質で聞くことができます。
PSBとNAD製品は系統は同じだけれども、音の作り方は違います。NAD HP50は明瞭感があってやや低域は誇張され、コンシューマサウンド。PSBはもっと滑らかで柔らかでバランスが良い感じです。
端的に言うと、PSBは大人向けサウンドで、Viso HP50は若向けサウンドともいえます。
国内での価格はまだ決まっていませんが、海外価格の目安はM4U2がUS$400、M4U1がUS$300、NAD HP50はUS$400のようです。
ヘッドフォン祭では会場で販売もするそうです。またNAD D3020(BT付きのヘッドフォンアンプ)も展示するようです。
なかなかポータブル用の良いヘッドフォンと言うのはないので、ポータブルでヘッドフォンを使いたい人はヘッドフォン祭のJabenブースでぜひチェックしてみてください。
Music TO GO!
2013年10月21日
この記事へのトラックバック