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2013年09月03日

薄型デザインの高音質ハイエンドDAP、Acoustic Research M1(ARM1)レビュー

最近ではメジャーなiPodやWalkmanの他に、マニアック・オーディオ志向のハイエンド高音質DAPもずいぶんと出てきました。国内で手に入るAK100/120、HM901、DX100/RD1、Tera Player、Colorfly C4/CK4などが良く知られていると思います。
しかしまだまだ日本にはあまり入っていないものもあります。たとえば、国内でもそのうち出るかもしれないFiio X3やiBass DX50から、xDuoo X3やX1、QLS 350とQLSみたいなiHiFi960/812/760、HiFi ET MA8/MA9などなど。そしてこのAcoustic Research M1(以降ARM1)もそのひとつです。

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Acoustic Researchは50年代創業の米国の老舗スピーカーオーディオメーカーです。ただしいまはブランドが別の会社に所持されているようです(Voxx InternationalというOEM電気メーカー)。またAcoustic Researchブランドでは以前LyraというコンパクトMP3プレーヤーも出しているので、DAPはこれがはじめてではありません。
下記Acoustic ResearchホームページにARM1の記載があります。
http://www.acoustic-research.com/search/?ks=ARM1

1. ARM1とは

ARM1の特徴は薄型でスリムな金属製の魅力的な筺体に、TIフラッグシップのDACチップであるPCM1794を採用して、アンプ部にも高性能ヘッドフォンアンプICであるところのTPA6102A2を採用するなど、デザインと音質にこだわった本格的なハイエンドDAPです。iPod Classicと比べても少し厚いだけというスリムさで、DX100、HM801/901といったあたりとはかなり異なります。シャツのポケットにするっとはいりますし、デザインも質感が良くなかなか優れたものがあります。

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一方で欠点を上げると、電池での持続時間がわずか4時間(もっと少ないかも)、メモリーは32GB固定(拡張外部SDスロットなし)、値段が約US$900程度とかなり高い、など欠点も多くあります。この辺の極端な長所と短所の同居がARM1の特徴です。すごいDACとアンプを薄型ボディに採用するために潔くバッテリー時間を切り捨てると言うのはなかなかの決断です。この音質最優先と言う思い切りはある意味でPortaphile 627を思わせます。事実ARM1の音質は大変に優れています。

PCM1794は高性能据え置きDACでよく使われるPCM1792と兄弟で、その違いは設定方法がハードかシリアルかの違いなので性能は同じです。ちなみに他ではHiFi ET MA8がPCM1792を使用しています。
ボリュームはデジタルではなく、アルプスのアナログボリュームが採用されているのもポイントでしょう。TPA6102は国産メーカー製ポータブルアンプでも使われている高性能のヘッドフォンアンプ(バッファ)ICで、TPA6102A2は低電圧版のようです。TPA6102A2の前段オペアンプはOPA2134です。全体にTIのかっちり系のICでまとめた感じでしょうか。後で書きますが、この辺も音質傾向に影響していると思います。
こうしてPCM1794、TPA6102A2、アルプスのボリュームなどかなりマニアックで高級パーツが抑えられているわけです。また基盤はきちんとアナログ部とデジタル部を分けた設計がなされています。
このような本格オーディオ仕様の中身をコンパクトで高級感あふれるデザインの金属ボディでくるんだのがARM1です。外見はデザイン優先の軟派なDAPにも見えるかもしれませんが、しゃれたボディに大きく開けられた放熱孔が良い味を出しています。カッコ良いスマートなスポーツカーに大きなラジエーターグリルが取り合わせてあるイメージで、古い言葉の「羊の皮をかぶったオオカミ」を思いだしますね。実際に使っているとけっこう熱くなり、まじめに仕事しているのがわかります。

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2. 開封と外観

箱は立派なものですが中身はそれほどではなく、ポーチとUSB充電一式くらいが入っているだけです。マニュアルもなしです。(ホームページからクイックリファレンスはダウンロード可能)
箱にはLyraとありますが、Lyraは以前もあったようなのでおそらくARM1の愛称と言うよりもAcoustic ReasearchのMP3プレーヤーブランド名を言っていると思います。

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ARM1を実際に手に取ってみるとなかなかの高級感で精密感もあり、モノ的な魅力が十分にあります。この手のハイエンドDAPにはモノ的な魅力も大切ですね。重さはAK120と同じ(約150g)のはずですが見た目のメタルボディのせいか、かなり密度感のあるずっしりとした感じがあります。大きさはiPod Clasicよりやや厚い程度でこの手のDAPとしてかなりスリムです。

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背面のチェックのヘアライン加工もなかなか良いですね。細かいところではゲインのLow Highの表示など本体の印字もぱっとみると無いように見えますが、よく目を近付けると印刷があるというような細かいデザインにも凝っています。いままでハイエンドDAPではなかったようなB&Oなみのこだわりですね。

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上部にはパワーボタン、ゲイン切り替え、ボリュームがあります。ボリュームはアナログのアルプス製です。ロータリーダイヤルはとても操作が楽です。側面にはキーロックボタンがあります。
底面にはヘッドフォン端子、USB(ミニB)、ラインアウト端子があります。USBは充電とデータ転送のみでUSB DACとしては使えません。

正面にはiPod風のコントロールキーがありますが、二列に分かれていて、外側がMENU、スキップ・早送り、巻き戻し、バックボタンです。MENUはトップに戻るのではなくコンテキストメニューのようなオプション呼び出しに使います。たとえば曲の再生中であればMENUを押すとノーマル再生、リピート再生、シャッフル、ランダムが選べます(シャッフルとランダムの違いはよくわかりません)。真ん中の再生ボタンを押すことで選択オプションが順にかわります(十字キーで上下ではありません)。これはトップメニューでもそうですが、ARM1のUIのルールです。
バックボタンは一般的な階層の戻りで、トップ画面に戻るときはパックを使います。真中のボタンが再生と選択です。内側のリングはメニュー画面にいるときの十字キーとして働きます。
画面はOLEDだと思いますが、発色もかなりきれいですね。アルバムアートもわざと左半分のみ表示して右はフェードして黒バックのままというのもデザイン的に洗練されています。外観ともども見せるDAPということがよく考えられています。

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トップ画面は再生中、音楽ライブラリ、設定の大きく3つに分かれていて、音楽ライブラリではタグをもとにアーティストや曲名で検束できます。またフォルダ階層でもたどることができます。
設定ではDACのフィルター切り替えのようなあまり細かいマニアックな項目はありません。言語では日本語が選べるのが面白いところ。ただ途中で文字が切れちゃってなんのエラーかわからないという未完成なところはあります。新曲を追加した時のデータベースの再構築は自動でのみ行われます。日本語の曲名も表示可能です。
対応楽曲フォーマットはWAV, FLAC,APE, MP3, WMA, OGGです。残念ながらALACはないですね。AIFFもだめです。
またハイレゾ音源が再生できないようです。これは仕様なのかアップデートで対応できるのかはまだわかりません(サポートに問い合わせ中)。ちなみにiHiFI系やMA8/MA9も標準ではDAPコントローラのRockchipの制約でハイレゾ対応はできません。

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Androidではなく独自(か汎用DAP)ファームなので操作はサクサク動きます。曲が多いとちょっと時間がかかりますが動作時間ではなく、なにかウエイトを入れてるように思います。
32GBというところがネックですがerj.netあたりには開腹画像が乗っていて、MicroSDがソケットにさしてあるだけなので開腹すれば交換は可能かもしれません。ただ持ってる曲すべてなどは入りませんが、32GBでも良く聞くアルバムを選択していけばけっこうFLACで入りますので特にそこまでは、という感じではあります。MP3などで聴くのはARM1はちょっともったいないと思います。

3. 音質インプレッション

ARM1の音質は端的に言って大変すばらしく、十分価格に見合うDAPトップクラスの音質です。また他のハイエンドDAPをも凌駕する面も見せてくれます。まず透明感がとても高く、平面的な音再現ではなく全体のメリハリが明瞭ではっきりしています。そしてダイナミックでハイスピードな音で、元気さが感じられます。また性能面だけではなく音楽性も感じられるまとまりの良さをも兼ね備えています。
音質のレベルはDX100、AK120(100ではなく)あたりと競い合うレベルです。だてにTIフラッグシップのPCM1794やTPA6102を使っているわけではありませんね。ARM1のコンパクトさを考えると驚きます。

以下もう少し詳細に聴いていきます。これはJH13 + TWag(v1)で聞いたインプレです。味付けの少ないAK120などだとイヤフォンは好みで好きなものを使って、と言う感じですが、個性的なARM1は性能を引き出すイヤフォン(とケーブル)を選んで使った方が良いと思います。

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まずはじめに感じるのは透明感の高さで、極めてクリアで見通しが良く、背景も黒いので音空間にも深みがあります。高感度カスタムIEMでも背景ノイズはほとんどありません。楽器音などの音像はシャープで解像度も高いんですが、ES9018みたいな細身で高精細というよりは芯ががっちりしている印象です。高感度IEMでもクリアでSN感が高く、ベルの音もキーンと淀みなくきれいに磨かれて響きが歪みなく感じられます。この辺は他のハイエンドDAPより優れているように思います。そしてきれいに磨かれたようなゆがみの少ない楽器の音のひとつひとつがくっきりと漆黒の背景に明瞭で鮮やかに浮かび上がってきます。これが立体感にもプラスして、音場の広さとともに三次元的な空間再現にも寄与しています。

次に感じるのは音が速くキレが良いことです。音の立ち上がりと立下りが急峻です。これは他のハイエンドDAPと比べても際立って優れています。パーカッションのアタックやインパクト、ギターのピッキング、ベースのピチカート、すべてが気持ちよく切れます。ポータブルというよりもPCオーディオレベルのトランジェントと制動力を持っていますね。ヘルゲリエンとかHandsのような曲を聞いても圧倒されます。スピード感もあり、のっぺりとはしていないダイナミックな音楽再生が楽しめます。
興味深いのはAK100だとアンプつけて音質が劣化することはまずないんですが、ARM1ではラインアウトをポータブルアンプに接続して試してみると、逆にギターのピッキングでキレが悪くなったり音像のエッジが甘くなったりするので、ARM1のアンプ部の力とDACアンプ一体型のメリットを感じます。実際にラインアウト経由で超高性能のPortaphile627につないでみましたが、アンプを付けるとかえって音が鈍くなり切れの良さとスピードが失われてしまいます。(もちろん厚みとか豊かさのような点では向上しますが)
まさにDAC+アンプ一体型の新世界という感じで、外部ポータブルアンプなしで完成された音の世界があります。PCM1794クラスのDACとTPA6102を使用した据え置き一体型DACアンプはいろいろあると思いますが、こんなショートシグナルパスで実装してるのは他にないでしょうね。PCM1794がイヤフォンに直結という感じです。
音の印象はポータブル系というよりは、例えていうとバーソンのヘッドフォンアンプに似ていると思います。バーソンでもSoloistよりHA160DのDAC使用した場合の音を思い出しました。

帯域的にはかなりワイドレンジで高音域は透き通るようにクリアで伸びやか、低域はベースのインパクトがタップリあります。かなり下の低域のレスポンスもよいですね。ただしバーンインしていないと高音域はイヤフォンによってはややきつく感じるかもしれません。音の広がりや立体感もさきほど書いたように重なりが鮮明で奥行きがよく見えるようです。

また、ARM1で面白いのはここまで書いたように性能系とおもいきや、意外と音楽性が良いことです。音調はドライではなくむしろ音楽的です。音楽的なアンプと言うと暖かみ・ウォーム感があって柔らかいものが連想されますが、ARM1はわりと硬派でいて無機質な音楽再生には陥っていません。中音域は滑らかでヴォーカルも良いし、ノリの良いリズム感は抜群です。ただし音楽性と言うことから連想する厚みや暖かさ、豊かさは物足りない面もあります。
もちろん全般的な回路設計もありますが、1794+2134+6102という組み合わせは正解のように思えますね。1704+627のような典型的な「音楽性」DAPではありませんが、別な意味でICのキャラクターがうまく効いてる感じはあります。性能系と音楽性の両立ができるのは設計のバランス感覚が良いからでしょうね。

HeadFiでよく尋ねられるDX100との比較で言うと、ARM1をDX100と同じ曲で同じJH13で比較すると数曲どのジャンルで聴いてもARM1の方がより明瞭感があり、音の輪郭がくっきりと鮮明です。DX100は少し鈍く甘く感じられます。ARM1の方がSNの高さなど音質的にはより優れていると感じられます。もちろん音の個性的にも異なるので好みの問題があるとは思います。
またARM1の方がはるかに薄いのですが。操作性はARM1の方がずっとサクサクです。

音楽ジャンルで言うとロックポップ・ジャズはスピード感とインパクトがあって気持ちよくかっこ良く再生します。クラシックでも解像度が高く洗練された音再現が楽しめます。また空間表現力も高いのでオーケストラのスケール感もけっこうありますね。
ノリの良さではよく上原ひろみのVoiceをテストに聴くんですが、ARM1での再生はインパクトフルでスピード感があり電車の中でもついリズムを取ってしまいます。オーケストラ曲では現代作家ペルトの交響曲三番ではペルトらしい独特の静謐さを透明感がいかし、音の芯の強さで荘厳さを感動的に盛り上げてくれます。

イヤフォンはさきに書いたようにJH13+Twagが音のスピードを引き出して音像を明確にするのにベストだと思いました。またFitEar togo 334+Twagなんかもよいですね。Heir Tzar90+Magnus1なんかもロックに良いです。スピード感と明瞭感と言う点からケーブルは銀線が良いと思いますが、バーンインしてないとややきつめに出ます。TWagが良いのは高音域がきつすぎないからで、ARM1の使いこなしのポイントはきつすぎない銀線をイヤフォンケーブルに使うことかと思います。またイヤフォン・ヘッドフォンもトランジェントが良い系がお勧めです。
一方でJH16のようなJH13と似たキャラクターでより音楽性が高く柔らかいものを合わせるのも、ARM1の音楽性を引き出すのに向いています。ただJH13で聴いたようなARM1らしい"マジック"を失う感もありますね。JH13のFreqphase版がほしいかも。音楽性もよいことから、あえて銅線+JH16でも良いかもしれませんが、このJH13+TWag+ARM1のいままでのDAPにないような音世界を味わうと変えづらいですね。
イヤフォンとケーブルをうまく選ぶとARM1はPCM1794の力を開放して、他のハイエンドDAPにないような音の世界を作り出してくれるでしょう。

4. 使用インプレッション

使ってるとどんどん電池メーターが減って行くのでドキドキしたりします。もしかするとエンコードによるかもしれませんが、FLAC主体だと3時間半から4時間くらいしか持たないような気がします。(FLAC連続再生で実測してほぼ3時間45分くらいでした)。自分で買っておいて言うのもなんですが、これよく製品にしたと思いますね。
ずっと以前の8年くらい前にHeadroom MicroDACを入手して3段重ねをやってた時があるんですが(iHP140-MicroDAC-SR71)、その時もMicroDACは2時間くらいしか電池駆動できませんでした。それをちょっと思い出しました。(下記リンクです)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/6510135.html
ただPortaphile627も4時間しか持たないけど通勤の行き来には不自由しないし、ARM1はUSB充電なのでiPhoneなどのためのUSB外部バッテリーで充電できます。SONYのCP-2LAではOKでした。ただ旧製品のCP-2Lで試したところうまく給電できなかったので相性はあるかもしれません。CP-2LAではMode1で可能でした。この辺の「空中給油」が外では役に立ちます。

PCのUSB端子に接続すると自動的に転送モードになり、同時に充電がなされます。PCから充電しているときは自動的に接続モードになるので充電同時再生はできませんが、PCではなく添付のアダプターからなら充電中の再生はできます。ただかなり熱くなるので充電中の再生は避けた方が良さそうです。

操作・コントローラはわりと安定していると思います。ただ熱を持ちすぎるとセンサーがあるのか電源が切れることがあります。
使っていると結構熱くなりますが一部のアンプのようにもてないほどは熱くならないのは大きな放熱孔が効いて熱がこもらないおかげかもしれません。ただし囲われていると熱を持つようです。夏はかばんの中に入れておくよりも、ポケットに入れておいた方がよいかもしれません。まあまじめに増幅仕事をしているなと言う感じです。
ただポップノイズがイヤフォンさしたり、再生をリジュームするときに出るのはちょっといただけません。

ARM1はラインアウト端子が専用についているのでポータブルアンプのシステムでも活かせます。AK100/120とは異なってきちんとしたラインアウトが装備されていて、底面にあるのでアンプと合わせやすいとはいえます。ただ面白いのは先に音質のところで書いたようなポータブルアンプを付加する功罪です。
iQubeにラインアウト経由で付けると音の空間再現性があがり、全体に厚みが少し増します。単体だとやや軽めに感じられます。半面でアンプ付加によりややクリアさが減退します。
さきに書いたようにPortaphileなどはかなり顕著で、厚みや滑らかさの向上と、スピード感や切れ味の減少とのトレードオフで組み合わせることになるでしょう。まあPortaphileと組み合わせると電池の持ちが両方4-5時間と言うショートライフコンビでちょうど良いとはいえますが。

各DAPとの大きさ比較は以下の通りです。

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iPod ClassicとARM1

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AK120とARM1

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DX100とARM1


5. ARM1とは

ARM1は現在の中国中心の流通や一部の中国製DAPらしい特徴を考慮するとおそらく中国メーカーの開発だと思います。Acoustic Researchはおそらくブランド名だけなのでしょう。
私の購入先は香港のMingoです。海外送料がわからなかったこともあり直で英語でメールして、これをPaypalで売ってくれと交渉して取り寄せてもらっています。はじめてMingoを使いましたが、メールのやりとりからここはわりと信頼できると思います(別にeBayにもあります)。米国で流通しているとはあまり聞いたことがありません。検索するとわかりますが、レビューもほとんど中国国内で、インプレなどは翻訳サイト経由で読みました。むこうでも「試聴したら買って帰らざるをえなくなった」というくらい音については高評価ではあります。
ちなみに支払ったのはMingoで送料込みで6748HKDです(おおよそUS$900)。このへんにMusicToGo本の売り上げ=あやしいものレビュー増える、の成果が出ております。

上に書いたようにARM1のプロダクト記載はAcoustic Researchの公式ホームページ内にありますが、Voxx自体は米国なので中国メーカーへのOEMかもしれません。ただ海外展開と言うのも用意されているようには思えないのは不思議です。ARM1のようにかっこよくて音は素晴らしいけど電池は4時間しか持たない、というニッチな製品が売れる市場が中国国内に形成されているというのも注目点ですね。

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まとめるとARM1はデザイン的にも洗練されて細部まで凝っています。音は素晴らしく長短はありますが他のトップクラスのハイエンドDAPにも引けを取らないでしょう。ただし電池はわずかしか持たずに、メモリも拡張性はありません。価格も高価です。マイナーな点ではTera Playerに似ているかもしれませんが、もっと長短がはっきりしています。Tera Playerのときに人によって興味のあるなしが極端に分かれると書きましたが、そこはARM1も同じです。
ARM1を一般にお勧めするかと言うと、一般的にはコンパクト高性能DAPとしてはAK120をお勧めします。AK120が音質・サイズ・電池の持ち・メモリ拡張性・国内サポートと優等生的なバランスを実現しているのに対すると、ARM1はいかにも長所と短所がはっきりしている天才肌の不良生徒の印象です。
近所に文句のないまじめな優等生の幼馴染がいながら、なぜかチョイ不良だけどきらっと光るものがあるカッコいい転校生に惹かれる乙女、という少女マンガチックな感じで感性がピンと来た人にはARM1をお勧めします。

JH13でARM1を聴くと普通のデザイン重視のスリムなDAPに見えて、一般的なDAPとはクラスが違う音再現の高さにはうならされます。
他のトップクラスのハイエンドDAPをも凌駕するようなこの鮮明でキレの良い音を聴くとコンパクトゆえにシンプルに鮮度よく、フラッグシップDACであるPCM1794の高音質をストレートに伝えていると感じます。電池持続がわずか4時間と引き換えに美しいスリムデザインと他にない音質の高さを実現しているわけです。
なにかを得ることができるものは、なにかを捨てることができるもの、というどこかの言葉を思い起こさせてくれるのがARM1です。
posted by ささき at 21:49 | TrackBack(0) | __→ ハイエンドDAP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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