このRe:cable SR2は銀線らしい主張を持った、コストパフォーマンス的に優れているなかなかお勧めのMMCX交換ケーブルです。以下くわしく述べていきます。

IQ+Re:cable+AK120
Re:cableは特にShure SE846/SE535とUltimate Ears UE900を念頭に置いて開発されているということです。線材は99.99%の純銀仕様で、純銀らしい伸びの良さと混じりのない滑らかな高域を感じることができます。銀線と言うとシャープだけどハイがきついという印象がありますが、こうした混じりモノの少ない純銀仕様だとそうしたきつさは少ないと思います。線材は航空機グレードのこの銀線を8芯使用しています。ケーブルとしては銅線も8芯入っていますが、この銅線はケーブルの耐久性を上げるためにだけ入れているというユニークでぜいたくな仕様です。信号は銀線だけを通過します。またケーブル全体にクライオ処理をしているということです。
MMCXコネクタ自体も従来製品から見直しを行った結果、接続性を実現したとのこと。MMCXコネクタは特にUEとShureに合わせているためShure SE846/SE535とUltimate Ears UE900という推奨機材となっているようです。ただし後に書くようにUltrasone IQなどでも使えます。プラグはノイトリックのL型ミニプラグですが、これもプレミア感があります。耳にはShure巻きでかけることになります。わりと凝った作りのケーブルですが、ケーブル長1.2mで価格は19800円ほどと求めやすくおさまっています。


ケーブルはしなやかで高級感があります。銀線と言うと弱そうで気を使う面もありますが、これはさすがに耐久性のために銅線を入れているというだけあって、たしかにしっかりとして耐久性も良さそうです。ただプラグのRとLがややわかりにくいのが難ではあります。
* SE535との組み合わせ
音の試聴はまず推奨のSE535から試してみました。


標準ケーブルと比べると全体にクリアで晴れあがるように感じられ、楽器音がより鮮明でくっきりと向上することで音像がわかりやすい表現となります。銀線らしく淀みない表現となり、細部もよく聴こえるようになります。ジャズトリオのベースのピチカートで比較するとベースの音が標準ケーブルではややこもりがあるのに対してRe:cableでは鮮明でよどみがありません。音の切れの良さもかなり良いですね。ヴォーカルもより明瞭感あるように浮き出してきます。音空間は少しだけ広がる感覚でしょうか。
ただSE535の標準ケーブルの場合はRe:cableと変えても音傾向ががらっと変わるわけではないので、SE535の音が気に入っていて、それをより明瞭感を出したいというときに良いかと思います。
* IQとの組み合わせ
保証外ではありますが、Ultrasone IQでもRe:cable使用することができます。これはなかなか当たりの組み合わせでした。ケーブル交換をした効果はSE535より顕著に出ます。ただプラグの装着はややSE535よりはきつくなります。


IQでは標準のケーブルに対して高域や低域のエンドがワイドになり、音の輪郭がはっきりと明瞭に聴こえるとともに全体に音が締まって緩みが少なくなります。特に低域方向でしっかり音がタイトに再現されてるのが特徴でハイブリッドとしてのダイナミックドライバーもより生きてきます。ズーンとかボーンという(スピーカーなら)腹に響く音も緩みなく気持ち良いですね。また全体にキレ良くシャープになり、淀みない洗練された音になります。この辺は純銀線ならではの良さですね。IQはハイブリッドですが、低域のダイナミックドライバーが鮮明になることにより音が全体に締まってきます。
IQというと滑らか柔らかの音楽性系かと思っていましたが、このre:cable SR2を使用するともっと性能系の側面が表れてきます。IQを一段音のレベルをあげてくれるようで、音の表現力は深く豊かに演奏やヴォーカルの細かなニュアンスを伝えてくれます。IQの持ってた音楽再現性を一層引き立ててくれるようですね。特に器楽曲ではSR2に変えた効果がはっきりと感じられます。
* Re:cableの考察
交換ケーブルではTWagみたいに銀線的特徴を抑えるという方向性もありますが、Re:cable SR2はかなり明確に銀線らしいシャープさときらめく特徴を持っています。ただししっかりとエージングすれば銀線らしい高域のきつさも緩和されます。TWagだとハイが丸まりすぎるかなというところもありますが、SR2はシャープさは保ったままきつさが緩和される感じですね。
前にBeat Audioの純銀線をテストした時にやはり銀の純度が上がるときつさなど銀線の負の面はかえって抑えられると思ってましたが、Beatのは高かったのでこの価格で同じようなことが思えるのはコストパフォーマンスは良いと思います。これ聴いたらShureのSE846が欲しくなりました。
特にAK120+Re:cable SR2+Ultrasone IQというのは最近なかなかにお気に入りのシステムで、かなり完結した音世界を感じます。シンガポールに飛行機で持っていったのもこの組み合わせでした。コンパクトでかつAK120の音質を存分に引き出していますし、IQのハイブリッドの良さである低域のインパクトと繊細さの両立も高いレベルで楽しむことができます。コストパフォーマンスに優れた銀線を探している人に良いですね。