iOSのオーディオ向け高音質の音楽再生アプリも多数出てきましたが、このMusicsoftのAudiophile music playerはiPadのみという珍しい音楽再生アプリです。
再生画面とMaxxAudio設定画面
このアプリの特徴はまずWaves AudioのMaxxAudioというDSP技術を売りにしている点です。Waves Audioはイスラエルの会社でスタジオのDSPソフトを主にしてましたが、のちにコンシューマー向けにも製品をだしています。MaxxAudioはすでにPCでは導入されているので恩恵にあずかってる人も多いでしょう。ノートPCのスピーカーなど不完全なオーディオシステムをDSPで最適化するという考え方ですね。またプロスタジオ用のプラグインでも知られていて、その技術をこのアプリのDSPエンジンで応用しています。
ホームページアドレスは下記です。Musicsoftはアメリカのモバイル向けのアプリメーカーで、このMaxxAudioをビルドインした音楽再生アプリを制作したというわけです。
http://audiophileapp.com/
基本的には無料で入手できます。MaxxAudio機能を使うためにはアドオンで購入する必要があります。またTRYボタンでも無料で10分間試すことができます。MaxxAudio機能は600円です。
はじめに出てくるのはMaxxAudioの設定画面となります(上中の画面)。
そして中央のプレイリスト画面をxでクローズして、プレイリスト追加画面に移ります。使用するにはまずArtist、AlbumなどからiPadの音楽ライブラリにアクセスして、+ボタンでプレイリストに追加していきます。プレイリスト上の曲をクリックすると再生を行います。(上左の画面)
機能は一通り揃っていてギャップレス再生にも対応してます。設定画面は上右の画像です。おしむらくは対応フォーマットがWAV, ALAC, AIFF, MP3, AACでFLACに対応してないところです。
MaxxAudioを使用するためにはまず出力選択でヘッドフォンやスピーカーを設定します。Earbuds イヤフォン、iPad built-in speaker 内蔵スピーカー、DJ headphones ヘッドフォン、iPad Dock ドック、Home Speakers ホームスピーカー、Club Speakers クラブスピーカー(PA?)です。自動でもセットされていると思います。
これらの選択は下記のDSP演算に影響するようです。また高性能イヤフォンはヘッドフォンでセットしたほうが良いかもしれません。
DSPは下記の幾つかのオプション機能で調整が可能です。これらは元はそれぞれスタジオ用のプラグインとして用意されていたもののようで、それをブレークダウンして下記機能別にまとめたようです。それぞれOn/Offが可能です。この他に3バンドまたは10バンド切り替え可能なEQもあります。
MaxxVolume - 出力デバイスに合わせて最適なボリュームを計算して調整
MaxxBass 良質な低音域の調整
MaxxTreble 補完も含めた高音域(中高音域?)の調整
MaxxStereo 音場感・ステレオイメージの調整
MaxxLeveler ソースによるボリュームレベル違いの調整
(ReplayGainみたいなもの?)
Audiophileの素の音は標準プレーヤーアプリと比べるとドラムスやパーカッションのインパクトなどでやや切れや明瞭感は上ですが大きな差ではないと思う。ただGoldenEarあたりと比べると素の透明感は劣る。(GoldenEarあたりで聴くとiPad miniの音声コーデックICの音の荒らさが耳につくということもある)
MaxxAudioオプションをオンにすると音は大きく変わるが、効き方のレベルは変更することができます。
MaxxBassは低音の量感がましてクラブ系ダンス系リミックスに良い感じ。MaxxTrebleはヴァイオリンなどの音をより明瞭にします。効きを弱くすると微妙に変化できるので良いところです。
効きはMaxxBassが大きいけれど、音全体に与える影響はコンプレッサーを応用したMaxxVolumeの効果が大きいと思います。耳に近く力強さを感じ、パーカッションのインパクトのキレも良くなります。インパクトフルに押し出し感が出てきます。コンブを応用していることもあってか、メインボリュームをひとレベル落とした方が良さそうです。
MaxxLevelerは確かに音量レベルは揃えられるけど、音楽の場合に音量レベルが違うのはマスター意図もあるので、お好みですね。
MaxxStreoもイヤフォン・ヘッドフォンでは今ひとつです。ヘッドフォン用のDSPとしてはMaxxSpaceというのが本家ではあるようですが、このアプリでは採用されていません。オーケストラの迫力なんかはMaxxVolumeでも調整できます。
いま私が使ってるのは、MaxxVolumeで力強さの調整をし、MaxxLevereとMaxxStereoはオフ、MaxxTrebleでは中高域の明瞭度の調整、MaxxBassで低域の迫力を調整する、というような感じです。
端的に言うと、これらMaxxAudioを使うと音楽に賑やかなメリハリが出て、オフにすると物足りなくなる感があります。
もう一つのAudiophile music playerの特徴はさまざまなクラウドベースの音楽ソースにも対応していることです。この辺はiPadをネットワークプレーヤーとして使うメリットでもあります。またこのアプリではDSPを使えるので音質の良くないストリーミングにも有効かもしれません。もちろんAirPlayも対応します。
フリックでアルバム選択できるなど、iOSのUIに合わせてよく作られていますが、カバーアート再生画面からMaxxAudio設定に戻るときにxで戻るなど今一つのところもあり、またまだちょっと動作が不安定なところがあります。
iPadだけのアプリですが、ヘッドフォンだけではなくスピーカーもサポートしてますのでiPadをUSB DACに使いデスクトップのオーディオシステムなどに組み込むのにも役立ちそうなアプリです。
AndroidはNeutronやKamertonのようにコンピュータのプロセスの最適化など直球勝負のアプリが多いんですが、iOSではDSPによって音を変えるパターンが多いですね。これもAndroidではオーディオのハードも凝ったものが多いけど、iOS系はオーディオハードがいまいちということにも対応しています。
しかしPC/Macのオーディオ向け音楽再生ソフトは新顔が出てきませんが、スマートフォン・タブレット系のオーディオ向け音楽再生アプリは増えてきた感がありますね。
MaxxAudioプラグインをCoreAudioレベルでインストールできると良いんですが、iOSの現状ではドライバーがインストールできないのと同様にできないことです。
やれるとしたらAudioBusですね。DAWだけでなく、音楽再生アプリでもAudioBusを採用して欲しいところです。もしかするとiOS7のinter-app audio機能でこの辺が改良されて行くかもしれません。
Music TO GO!
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