Music TO GO!

2013年06月11日

ヘッドフォン祭でのHM901デモスクリプト

HM901はアンプカードも強力ですが、その特徴はやはりデュアル9018の強力なDAC部分で、この良さをアピールするために春のヘッドフォン祭ではスピーカーのデモを行いました。このときにHifiManのスタッフRichardがスピーチした内容を日本語にしたものをアップします。原稿を書いたのはHifiMan アジア太平洋マーケット担当のRichardさんです
HM901はまさにホームオーディオなみの音質を持ってますので、家でもラインアウトから取って試してみてください。

1. 中音域のニュートラルさとpurity(純粋さ)

みなさまも生き生きとした中音域がオーディオファイル向けの機器でもっとも重要なことだということを納得してもらえるでしょう。それはいくつかの例外を除けば多くの楽器はこの周波数帯域に含まれるからです。HM901は不要な色付けのないとてもニュートラルでリアルな中音域表現力があります。
ここで米良義一の歌う「赤とんぼ」を聞いてみましょう。彼の声がピアノ音と自然に溶け合うpurityに驚かれることでしょう。

2. 分析的な能力とinner voice(中間声)の再現力

HM901のもっとも重要な特徴は2個のES9018チップをデコーダーとして採用した点です。ES9018はその分析的な能力でよく知られています。複雑な楽曲に耳を傾けるとき、中間声に注意を向けることが重要になってきます。よくあるDACやDAPは表面的な美しさにとらわれていて、こうした細やかさを失っているものが多くあります。そのためにリスナーにとって音楽を聞くことが退屈なものとなるのです。
ここでKing's Singersの中世のマドリガルを聞いてみましょう。太鼓やピッコロの強い音の陰で4声合唱のinner voiceをHM901が再現している点に注目ください。

3. 厚みのある豊かな音、シルクのように滑らかな高域、ソリッドな低域、マイクロダイナミクス

*マクロダイナミクスは大きな意味での曲のメリハリのようなもので、マイクロダイナミクスは細かな音の遷移みたいなもの

HM901のデュアルモノデコード(DAC)は音を締まった(compact)ものにすると同時に音を豊かなものにします。ダイナミック感もHM901の特徴です。残念ながら隣接ブースに気を配るとその(マクロダイナミクス)の能力を最大に発揮するには気がひけますが、マイクロダイナミクスは聴くことができます。
オーケストラ曲では楽譜のなかにこうしたマイクロダイナミクスが隠されています。マイクロダイナミクスの進行はにぎやかなフレーズに比べると気がつきにくいものですが、音楽体験を豊かなものにします。
素晴らしい録音だけがマイクロダイナミクスに生命を吹き込みます。
ここで巨匠カラヤンとベルリンフィルの演奏で、ベルディのラトリビアータを聞いてみましょう。これは古いアナログ録音されたものなのでヒスノイズが聴こえてしまいますが、シルクのようなバイオリン、チェロの豊かな響き、ダブルベースのソリッドな低音に注意を払って聞いてみてください。マイクロダイナミクスはチェロのトレモロやバイオリンが半音下がるときに聴こえるでしょう。ため息をつくような素晴らしい演奏です。
posted by ささき at 21:27 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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