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2013年05月09日

iriver AK120登場! デモ機レビュー

好評のiriver AK100の上級機種であるAK120が発表されました!
商品名は『Astell&Kern AK120 64GB ソリッドブラック』です。

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パッと見た感じはAK100を少し大きくした程度でコンパクトさはキープコンセプトで変わらずという感じです。私の画像はデモ機のものなのでプレスリリースの画像も参照ください。

プレスリリース用 jpg.jpg

AK100に対しての改良点は次の通りです。(現時点で公開可能な情報です)

・デュアルDAC
DACチップ自体はAK100と同じWM8740ですが、なんと今回はデュアルDACとなりました。つまり左右チャンネルをそれぞれ一個のDACで専用にDA変換しているということですね。これは予想以上の音質向上があります。

・出力インピーダンス3Ω
以前はこの出力インピーダンスが22Ωもある点が低インピーダンスイヤフォンに対しての弱みとしてユーザーサイドから指摘され、以前書いたRWAK100のように改造モデルが作られたりしました。
普通こう言うのは無視する会社も多いのですが、iriverはこの声をくみ取ってきちんとここを改良してきました。ただしiriverほどの国際的メーカーになるとさまざまな制約もあって、1オームではなく3オームとなっています。とはいえ聴いてみると十分な改良です。

・ボリュームガード
以前のAK100ではボリュームノブが軽くて不意に回りやすかったこともあり、トルク感を改良するとともにボリュームガードが付きました。サイズ変更以外で目に付く外観の変更はこの点です。

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・スリープ機能が付加
これは操作していても設定した時間が来ると電源が切れる機能です。

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・アルバムアートが全画面かフィットか選択可能
アルバムアートの表示においていままでは全画面でしたが、これは左右を黒抜きにしてアスペクト比通りにアルバムをすべて表示する機能です。この切り替えができます。

IMG_1182_filtered.jpg  IMG_1185_filtered.jpg  IMG_1184_filtered.jpg

・EQにプリセット済みの「プロ」設定が付加
いままでUSERという設定があった画面にUSER設定に追加してプロ設定という固定のイコライザー項目が増えました。これはiriverエンジニアのおすすめ設定です。(イコライザの細かさなどは変更ありません)

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・ギャップレス再生のオン/オフ設定の付加
待望のギャップレス機能が付加されました。

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・内蔵64GB+microSD64GB×2対応
いままでもFAT32で再フォーマットすることで64GBが使えていましたが、AK120からはSDカード購入時のまま(exFAT)で認識するようになりました。これは小さいですけど画期的な改良ですね。またSDXCも対応しているようです。

・レザーケースの付属
AK100ではファブリックポーチがついていましたが、AK120ではAK100の専用ケースのようなレザーケースが付属する予定です。(これはデモ機なので写真はありません)

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このほかにホーム画面が変更されています。良く使う項目がまとめられた感じで使いやすくなりました。フォルダなんかも直接指定しやすくなりましたのでデータベース更新せずともすぐに転送後に曲を聞きやすくなりました。この新ホーム画面がAK100でも追加されるかはわかりません。

* 実機インプレッション

AK120のサンプル版をお借りして一週間ほど使用しました。
サンプル自体はプレの為、製品版と外観が多少異なります。あくまで音質のインプレッション用ですが、音質はほぼファイナルと聞いています。またファームもv0.85ですが製品版では1.00の予定です。これを見るとAK100と完全に共通ファームではないようですね。

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前出の改良点以外の機能はAK100のままで、サイズは多少大きくなったという感じです。サイズ的にはAk100では多少はみだしていたXD-01がぴったりはまるくらいになったというところです。多少大きくなったと言ってもほとんど変わった感じはありません。おそらくしばらく使ったらサイズが大きくなったことは忘れるでしょう。ガードのついたボリュームは適度なトルクが増えてよい感触となりました。側面の再生・ポーズ・早送りボタンは同じです。

バッテリーは容量が増えてややスペック上の持ちは減りましたが、前が十分あったのでまだ良いレベルです。実際に一日使っていても電池の減りに関して前との差はあまり感じられません。
おそらくDAC二基ついたことでバッテリー容量は増えても持ちは減ったのだと思いますが、たっぷり電力を消費するのはオーディオ的に音が期待できる証でもありますね。逆に持ちが長くなると音質は悪くなったのかと疑ってしまいます。
新しいホーム画面はなかなか使いやすく、特にタグではなくフォルダで移動するときにホームから選択できるようになったのが使いやすいですね。他の点ではAK100の使いやすさを引き継いでいます。おそらくAK100を持っている人は大きな戸惑いはなく使えることでしょう。

ak120-20130320-pers2.jpg

肝心の音質ですが、実のところこの音質面がAK120での一番の改良項目です。
以下でAK100でも良く使っていたUE18カスタムイヤフォンとWhiplash TWagケーブルで試聴しました。

音質の向上はかなり高いものです。はっきりと明瞭感と情報が豊かになってDACが強化されたのがわかります。情報量が増えたことで全体的に厚みがまして音の豊かさの表現力が増えています。ひとつひとつの音の明瞭感やシャープさがかなり向上しています。またデュアルの効果か立体感が際立って向上していますね。堂々とした空間の深みが感じられ、ピアノ曲でもピアノの音だけでなくホールに響き渡る深みが感じ取れます。細部の細やかさは鮮やかに曲のニュアンスを描き出し、AK100と同じ曲を聴いても感動が違います。
ヴォーカルの肉質感も上がり、唇の細かな震えも感じ取れるようです。ささやくような手嶌葵の歌ではちょっとぞくっとします。複雑なRajatonやAuraなどアカペラコーラスの声の立体的な重なりとハーモニーの豊かさは高級DACを思わせます。
これが本当にAK100と同じWM8740か?という感じですね。デュアルの効果はそれほど大きいものです。もちろん回路自体も改良はされてるとは思います。

出力インピーダンスが下がった効果もあり、低音の迫力も高く量感もたっぷりあります。オリジナルAK100ではUE18で低域レスポンスが悪かったのですが、AK120ではRWAK100と遜色なく低域もレスポンスの良さを感じます。またRWAK100のように単に低域のレスポンスが上がっただけでなくDACの改良によって、低域の解像力や厚みも上がってるのでベースの再現力はかなり上がったように思えますね。低域に凄みと細やかさも感じとれます。
楽器の音再現が正確なのは相変わらず、音のキレ味も良いのでロックでのドラムスも気持ち良いですね。民族音楽のパーカッションもリアルな打感が伝わるようです。メタルでもパワフルにかっこよく感じますね。まあメタルといっても私が聴くようなのはEluveitieとかNightwishとかそういうのですが。

全体的な音の印象もなんとなくジャズとかクラシック向きのようだったおとなしめのAK100に比べるとよりダイナミックに感じられます。音の端正さは引き継いでいるけど、端正だがちょっと平面的でのっぺりとしていたAK100に比べると音のメリハリもあって抑揚も明確ですね。おそらくAK100ではちょっと好みに合わなくてWalkman Z1000にNetronなどで聴いてた人も満足するかと思います。そういう意味ではよりオールジャンルで使えるようになったと言えるでしょうね。

全体的な音の完成度が高くハイエンドオーディオDACのようにも感じられる堂々とした品格が感じられるます。価格も高くなりましたが、やはりそのくらいの内容はあるかという感じです。ここはHM901みたいに専用のラインアウトドックのような機構もあればなぁと思いますね。
とにかくカスタムでもなんでも一番良いイヤフォンで聴いてください。個人的にツボにはまったのはFitEarパルテールとAK120の組み合わせで、なんか聞いたことのない独特な音世界が広がります。ヘッドフォンでもEdition8は問題なく鳴らせますし、AK120の高性能をいかんなく発揮できると思います。空間再現性の高さはヘッドフォンの方がわかりやすいかもしれません。



AK120_haltupyouyou.jpg

まとめると外観的には正常進化形ながら、内面の音質的には大きく変わって新型といっても良いくらいです。音だけ聴くと120というネーミングは控えめでAK200で良いと思うほどですね。ちょっと音は予想以上でした。はじめはAK100と単体同士で比較しようかと思ってましたが、そういう微妙な差ではありません。
AK100+XD-01(光デジタル)との比較では外付けアンプの強みか力感はAK100+XD-01の方が良いけれども、音の繊細さや情報量、立体感などDAC要素が関係する項目では単体でもAK120の方が上ですね。XD-01のDACも良いと思っていたけどAK120と比べると平面的に聞こえます。もちろんAK120とXD-01をアナログで接続するとAK120の解像力とXD-01の力強さがともに味わえます。AK120の能力を発揮するにはアナログ接続が良いでしょう。アナログなので良いケーブルを使用してください。
RWAK100との比較だとAK120のベースのレスポンスが引けを取らないだけではなく、AK120ではベースの深みがあり解像力や低域のニュアンスが向上しています。ここもDAC性能の差が出ていますね。

外観変化があまり無いので物足りなく思う人もいるかもしれませんが、AK100の魅力はコンパクトながら高音質という点だと思います。ある意味ガワはほぼコンパクトであまり変わらないAK120という感じで、音は大きくグレードアップしてAK200っていうのは理想的かもしれません。
この生産直前モデルの前にもプロトタイプをちょっと聞いたことはあるのですが、それよりもこの生産直前モデルの方が音は良くなっています。ファームもかなりの頻度改良を重ねているようです。
またこのAK120は日本の要求もよく聴いて取り入れているそうです。そうした点では日本のユーザーがAK100を率先して育ててきましたし、その実りがAK120として結実したともいえるでしょう。

なお販売予価はメーカー直販価格で129,800円(税込)になります。価格も高くなってしまいましたが、音を聞くと納得してもらえるかと思います。ただ発売に合わせてなにかしらのキャンペーンを期待したいところです。
そして、、実はこの他にも隠し玉の機能があるのですが、それは新製品発表会での公開となります。

iriverの発表会は11:00からで9Fの予定です。こちらは一般の入場可能です。私も少しインプレッションを話させてもらう予定です。iriverブースは7FホールB(No11)ですのでこちらにもお越しください。
ぜひこのAK120を聴きにヘッドフォン祭にいらしてください !
posted by ささき at 17:01 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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