ここでハードディスク・トランスポートというものを少し考えてみたいと思います。
本来は今年の夏休みの自由研究にしようと思っていたんですが、広範囲なテーマなので少しずつやっていきたいと思います。
CDトランスポートとは普通のCDプレーヤーからDACを除いたものと考えてよいと思います。つまりデジタル出力に特化したものです。もちろんIKEMIのようにアナログ出力もデジタル出力もついていて両方使えるものもありますが、単におまけについているのではなくそれなりの性能を持っているものを普通はCDトランスポートと呼びます。
HDトランスポートは後述するようにさまざまな形が考えられますが、ハードディスクに格納された音楽データをデジタル出力できるものです。(なお本稿ではPCオーディオはひとまずおいて専用機をまず考えて見ます)
つまりDACからみれば双方の違いはありません。
まずHDトランスポートのCDトランスポートに比べた利点は大きく二つあります。
ひとつは選曲の簡便さ、操作性です。またここに付け加えるならば曲名の取得やダウンロード配信に対応したネットワークとの親和性も重要です。
もうひとつは不安定なCD板の回転によらないため、安定したデータストリームを供給可能でビット落ちやジッターの点で有利という音質面の利点があります。
つまりHDトランスポートの利点を生かすためには、インターフェースが優秀でかつデジタル出力品質が高くなければなりません。
ここで整理するためにHDトランスポートに類するものをタイプ別に分類してみます。
ここではオーディオ的な観点から見たHDトランスポートとしての専用機を中心に見てみます。
1 静音PCを応用したもの
Ikeon PCM-S1 http://www.ikeon.co.jp/pcm_s1.htm
オンキョー HDC 1.0 http://www.jp.onkyo.com/hdc_1_0/
Zero One Ti48 http://www.zerooneaudio.com/
(他にはデジタルアンプで知られるeARのMusic 3Dもありますが詳細不明です)
これらはいわゆる静音PCを応用したものですが、S1に見られるようにノイズや騒音に対してかなりオーディオに特化した選別が行われています。また筐体もオーディオラックに収められるようになっています。
そのかわり中身を見るとPCそのまま、インターフェースも別に液晶モニタが必要であったりします。逆に言えばソフトウエアの柔軟性は高いといえます。
HDC1.0とTi48はリモコンだけでも操作できます。
2 PC/Macとは異なるアーキテクチャ
Olive Musica/Opus, Rondo(Nokia)
http://www.olive.us/p_bin/
これはPower PCベースでLinuxを使った専用機でPCとは異なります。
インターフェースは前面パネルを使ってにDAPのUIのように操作する方法のほかに無線LANを応用したPC上でブラウザを使った操作も可能のようです。さらにこれを拡張してNokiaのPDAを使って無線LANでNokiaとリンクすることによりあたかもリモコンのように操作することができます。
またミュージックサーバーとしての側面も大きく、PCにストリーミングしたり子機を配することが出来ます。
DACを内蔵しているのでアナログでも取り出せますし、Vinnieさんが改造したバッテリー駆動タイプもあります。
Escient FireBall
TVにメニューを出力します。FireBallはシリーズの名前ですが、これはどちらかというとAV志向が強いようです。
ネットワークドライブとしてマウントできて、専用ソフトでPCからもストリーミングできます。しかしこれ自体はWiFiを待っていないようです(有線のみ)。
またこの2のタイプは1に比べるとソフトウエアの柔軟性に欠け、高音質圧縮(可逆)フォーマットはたいていFLACのみです。iTunes Music Storeで買ったプロテクトAACは再生できないなどの制限もあります。
しかし一番の問題としては日本語のサポートがされていないことです。ただしOliveについては聞いてみたところ、計画には入っているとのこと。
3. そのほか
iMSBLink
iPod(システム)をHDトランスポートとするもので、別記事にて紹介しました。
PCに依存せずにポータブルとホームシステムを統合できるところが魅力です。
**
このほかにiMSBLinkの記事で比較用にAirMacを使ったように、オーディオシステムとPCを融合するため、PCからオーディオに接続する際のハブとなるものもあります。
これはオーディオ/DACへは有線・無線LAN経由で送るものです。PC/Mac上にはそのためのストリーミングソフトが必要です。
よく使われているのはAirMac Expressですが、他にも日本で知られているのはSqueezeboxと、その高級版のTranspoterなどもあります。
これらでストリーミングを受けてDACに同軸もしくは光で接続します。またはこれらにDACが内蔵されていてアナログ出力を提供します。
これらの必要性は人それぞれの環境と考え方によると思います。
たとえばiMSBLinkなんかはPC側の視点で見ている人は必要性を感じないかもしれませんが、オーディオ側から見ている人は我が意を得たりと思うひともいるでしょう。また、ストリーミングタイプがいいと思う人もあれば、やはりラックに入れたいと思う人もいるでしょう。
いずれにせよキーの一つは無線LANの整備にありそうです。ただそれをストリーミングに使うか、CDDBとか曲のブラウズだけに使うかということでもまた選択とトレードオフはあると思います。
Music TO GO!
2007年02月15日
この記事へのトラックバック
HDC-1.0/HDC-1.0
Excerpt: HDC-1.0について悩みを解決するには、まずはHDC-1.0についての正しい知識が必要です。そこで、HDC-1.0についての情報を集めました! HDC-1.0について調べて、HDC-1.0に関す..
Weblog: なるほどキーワード
Tracked: 2007-02-21 23:15
なんといっても原理的に音がいいから、という
理由ですが。
でも、パッケージメディアオンリーの古い人間からすると、いちいち、PCに落とすのもめんどくさくてね。MSBのはiPODのヘビーユーザーだったら買います!今、全く使ってませんが・・・orz
たしかに数百枚のアルバムをHDトランスポートのためにRipするというのはけっこう大変そうです。
そこでiPodのライブラリを流用するというがひとつキーかなと思います。その辺でiMSBLinkに惹かれますね。