Music TO GO!

2013年02月06日

JPlayの1.5バージョンアップと、JRMC/FoobarとJPlayの組み合わせ

Windowsのオーディオ向け音楽再生ソフトであるJPlayを以前の記事で紹介しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/206512899.html
そのJPlayがバージョン1.5に更新されて大きく機能更新しました。基本的にJPlayはStealth PlayerみたいにGUIを持ってないプレーヤーです(でした)。しかし最近のアップデートでJRMC(JRiver Media Player)やFoobarとの組み合わせが可能になっています。また独自のDSDネイティブ再生のためのDoPサポート機能をJPlayが実現しています。実際にはこれまでもいくつかバージョンアップがあって取り入れられていたようですが、1.5はその集大成と安定度向上というところでしょうか。
今回はこのJPlay1.5とJRMC/Foobarの組み合わせ、それを使ったDSDネイティブ再生の方法を紹介します。使いにくいが音質を追求したJPlayと操作性や機能の優れたJRMCとFoobarの組み合わせでWindowsのPCオーディオ再生がグレードアップできます。またJPlayの開発者にいくつか疑問点を直接聞いてみたのでそれも反映させています。


このJRMC/Foobarとの組み合わせにおいて、JPlay自体はプレーヤーソフトからはASIOドライバーとして見えます。しかしASIOをサポートしたDACしか使えないわけではなく、実際に今回の例はASIOではないChord QuteHDを使用します。つまり平たく言うとJPlayがASIO4ALLと同じように機能するようです。

以下にWindows7の例でJPlayの試用版での使い方を書きます。JRMCとFoobarはすでにインストールされているものとします。JRMCは試用版があります。

* JRMCとJPlayの設定
JRMCはv18で英語メニューで説明します。

1. JPlay試用版インストーラをここからダウンロードする
http://jplay.eu/download/
2. ダウンロードしたインストーラをダブルクリックしてインストールする(場所はデフォルトC:\JPLAY\がお勧めとのこと)。リムーバブルディスクへはインストール不可
3. リブートする。JPlayは深いところを変更するのでウイルスチェッカーにインストール動作を感知されることがあります。その場合は一時的にチェッカーを切ってください

asio1.gif     asio2.gif

4. JRMCを立ち上げて‘Tools’メニューから‘Options…’を開けます
5. ‘Output mode’をASIOにしてください
6. ‘Output mode settings…’を開けて‘JPLAY Driver’を選択してください。他の設定は触らなくても良いと思います
7. この後でタスクバーのインジケーターから音符マークのJPlay Settingを開きます
あるいはスタートメニュー内のJPlayからJPlay Settingsを開きます。* この際に音楽再生は停止させなければなりません
8. ‘Playing Via‘の項に使用しているDACのドライバーを指定します。ここではChord QuteHDを選択しています。ここでKSとかWASAPIはFoobarにあるようにWASAPIとKS(Kernel Streaming)を選択できます。主にKSを使用してみましたが、安定していると思います。XtreamモードはKSのみです。

JPlay Settingオプションの説明は下記別項を参照ください、

* JRMCとJPlayでDSDネイティブ再生するには

DSDネイティブ再生の設定には‘Playback Options‘ を開いて‘Bitstreaming’から‘Custom’を選んで、開いたダイアログで‘DSD’をセットしてください。

dsd.gif

ここがポイントなんですが、QuteHDのようにDoP対応DSD DACを使う時でもこの時に‘DoP’ではなく‘DSD’を選んでください。これはDoPを選んでJRMC側で176/24のDoPでエンコードすると信号経路のどこかでDSDを出してるはずなのにPCMが来ているとみなされてしまうからのようです。(ただしDSDとDoPを同時に選ぶのは大丈夫なようです)
DoPへのエンコード(コード化)はJPlay側で行うようです。そしてDSD DACへは最終的にDoPで出力されます。これでQuteHDで白くDSDネイティブ再生のロックがされます。

そうするとDoP以外のKORGなどのASIO対応のDSD DAC-10などでDSDネイティブ再生が使えるかが気になりますが、JPlayの人に聞いてみたところ現在のところはDSD再生はKernel Streamingを使用してDoP対応DSD DACに出力するときのみサポートしているということです。ASIOも安定度などではいいように思いますが、やはりDoPのような標準方式は広くつかわれるのでソフトウエア側のサポートが手厚くなるということですね。
ただテストするDACがないので試せないけど、必要があるならやるということではありました。

* FoobarとJPlayの設定

Foobarの設定は以前書いたQuteHDとFoobarの設定とほぼ同じなのでそちらも参照してください。簡単に言うとそこの記事のASIO4ALLをJPlayに置き換えるようなものです。
またJPlayのインストールは上記JRMCの1,2,3と同じです。

foobar-ASIO.gif

1. FoobarにASIOコンポーネントをインストールしておきます。
2. ‘File’ -> ‘Preferences’ -> ‘Playback’ -> ‘Output‘を開けます
3. ‘ASIO: JPLAY Driver’を選択します
4. この後でJRMCでの7と8と同様にJPlay SettingsからDACのドライバーを選択してください

* FoobarとJPlayでDSDネイティブ再生するには

1. foo_input_sacd.zipをunzipしてASIOProxyInstall.exeを立ち上げてインストールします
2. ‘File’ -> ‘Preferences’ -> ‘Playback’ -> ‘Output‘を開けます
3 ‘ASIO: foo_dsd_asio‘を選択してください
4. ‘Output‘からASIO設定を開けます
5. ‘foo_dsd_asio’をダブルクリックして設定ダイアログを出して、そこで‘JPLAY Driver’を選択してください
6. 設定ダイアログでDSD Playbackを‘ASIO Native’に設定してください(ただしDoPにセットしていてもFoobarでは問題ないようです)

foobar-DSD1.gif     foobar-DSD2.gif

Foobarではfoo_input_dsdiffは外してください。またDSP設定でリサンプラーなどが入らないようにしてください。

ちなみに現在foo_input_sacdの最新は0.6.1でPCM->DSDリアルタイム変換機能がついています。これもけっこう使えます。
PCM->DSD変換機能を使うときはPCM to DSD Methodをnone以外にしてください。

* JPLAYminiの場合の設定(コマンドUI)

1. JPLAYminiを立ち上げる
2. Windows上で曲ファイルを選択してコピーする(右クリックメニューなどで)
3. JPLAYminiのウインドウに戻って、スペースバーを押下する

JPLAYminiで再生できるファイルの種類は以下の通りです。
WAV, AIFF, FLAC, ALAC, DSD(DFF & DSF)

またQobuzやSpotifyのようなストリーミング音楽サービスでも使えるようですが、基本的に日本では使えないので省略します。

* JPlayとStreamerモードについて

JPlay1.5はStreamerモードという機能があります。Streamerというのはオーディオ英語でLINN DSのような日本で言うところのネットワークプレーヤーみたいな機器のことです。
これはたとえばオーディオ専用PCの役割をもったPCと普段使いのPCの両方にJPlayをインストールして、DACなどにはオーディオ専用PCを割り当ててハイバネーションモードを使用し、普段使いPCはいわばコントローラーにするということのようです。これは役割を下記設定のAudio PCで切り替えます。
この分業システムはHQ PlayerのNetwork Audio Adapterと似ているかもしれません。別な言い方をするとLINN DSのような機器がなくても、PC二台とDACとJPlayがあれば似たようなシステムが作れるということです。(ただしDLNAではありません)

* JPlayの設定について

JPlayの設定はタスクバーから音符マークのJPlay Settingを開くか、あるいはスタートメニュー内のJPlayからJPlay Settingsを開きます。この際に音楽再生は停止させなければなりません。
以下オプションの解説です。(試用版の画面)

setting.gif

Playing via: [Kernel Streaming,WASAPI, ASIO] 
ここでは実際に音を出すDACのドライバーを選択します。またWASAPIやKS(Kernel Streaming)などの経路も選択します。

Engine: [River, Beach, Xtream]
ここはJPlayのサウンドエンジンの切り替えで好みで選んでほしいとのことです。XtreamはKernel Streamingとの組み合わせのみ有効でバッファをものすごく使うので再生・停止の遅延がより大きく起こるとのこと。
ちなみにJPlayではいわゆるDSPによる音の変更は行っていません。あくまでビットパーフェクトです。JPlayの開発者の話によると、エンジンの違いはメモリ管理・キャッシュアルゴリズムの違いだということでした。これは"bit-perfect signal can sound different depending on software techniques used"、つまりビットパーフェクトであっても実際に使用されるソフトウエア技術によって音に違いは出てくる、という彼らのポリシーを表現したものということです。たしかに音が違いますね。

Audio PC:
Streamerモードの切り替えです。通常はThis computerでいわばローカル出力です。他にJPlayを搭載しているAudio専用PCがあればそれをLAN内で検知してそれに出力をリダイレクトすることができるので、それをStreamerモードと呼んでいます。

Buffer:
スムーズな音楽再生をしながらかつ最小のサイズを見つけてほしいとのこと。これはPCや出力機器に依存します。CDリッピング音源の場合は1(サンプル)が最小で、この1サンプルのバッファサイズが選択できるというのもJPlayのポイントということです。またハイレゾでは大きめに取ってほしいとのこと。

Bitperfect Volume :[-6dB,-12dB,-18dB,-24dB,-30dB]
「ビットパーフェクト・ボリューム」とはなかなかユニークな機能です。これは音質を劣化させないように-6dB単位で音量を変化できるという機能です。この辺のこだわりはJPlayらしいところです。ただし16bit音源にしか使えません。
これについてはJPlayの開発者に直接聞いてみたんですが、どうやっているかというとまず16bitのデータを24bitに左詰めして、その24bitデータを右にシフトさせます。コンピューターについて知識のある人はここでわかると思いますが、二進数演算においては1bit右シフトさせるのは2で割ることと同じです。-6dBは聴覚上の1/2ですので、これで音量を半分ずつ変化させることができます。24bitに左詰めした時点で下位8bitはヌル(0)ですから右シフトしても16bitのときのデータは欠損なくそのまま保たれます。つまりボリュームを半分にしてもビットパーフェクトでありえますので、ソフトウエア的にボリュームを変化させても音質は変わりません。このため16bitのみ使用できるというわけです。
普通のソフトウエアボリュームが音質を劣化させる可変抵抗ボリュームみたいなものとしたら、こちらは連続ではないけど音質を劣化しないソフトウエアのステップアッテネーターみたいなものともいえるかもしれません。

Bitstream :[native,24,32]
出力するビットの指定。なかには24bitとか32bit固定での出力を要求されるDACがあります。普通はnativeで良いはず。

Polarity: [normal,inverted]
これは極性の変更です。

Throttle: [OFF,ON]
スロットルモードというのはいわゆるPCの最適化モードです。他のプロセスの優先度を下げるというもの。JPlayでは他にハイバネーションモードという画面真っ暗で完全停止のすごいモードがあるんですが、これはあまりに恐ろしいので、そこまでではないけどシステムの最適化を行うというもののようです。ただマウスなどの効きが悪くなるというまだ恐ろしいところはあります。ただウエブ見るくらいだったらONのままでいいのではないかということ。スロットルはONがデフォルトです。
たしかにこの記事を書きながらPhotoshopでスクリーンキャプチャの編集をしてたら妙に動きは鈍くなりました。

Hibernate mode: [OFF,ON]
これがそのハイバネートモードです。これはオーディオ再生に関係ないプロセスはみな切ってしまうようなので恐ろしいです。と、以前の記事で書いたんですが、いつのまにかスロットルモードと分けたことでさらに恐ろしさもグレードアップしているようで、なんと再生・停止はUSBメモリの抜き差し(の割り込み信号)で行うというさらに恐ろしいもの。ただし上で書いたStreamerモードの場合は有効に使えるので、このモードは一台PCのときは使わずに、Streamerモードでのみ使用をお勧めします。PCが一台の時はスロットルモードで良いと思います。

つまりJPlayの使い方としてのベストは二台PCを用意してLANで接続し、両方にJPlayをインストールします。そして片方にDACを接続してハイバネートモードにし、もう一方ではJRMC+JPLayにしてAudio PC設定をもう一台の専用PCにする、というStreamerシステムのようですね。余裕があれば静音PCなどを買ってやってみるのもよいかもしれません。

さらに下記のレジストリーをいじることで設定を細かく変えられます。この辺はJPlayのManualを読んでください...(Packet sizeについては後述)
Computer\HKEY_CURRENT_USER\Software\JPLAY


なおQuteHDのドライバーでは問題ありませんでしたが、NFB11.32のドライバーではKSが使えませんでした(音が出ずにsettingを立ち上げるとJPlayが落ちる)。WASAPIではOKです。これもJPlayの人に聞いてみたんですが、おそらくドライバー側の問題だろうということですが、こういうときはバッファの値を1024にしてみてということで、実際にやってみると確かにそれでKSでも再生ができました。後は面倒ですが少しずつ減らしていくということのようです。


* 試用版と正式版の購入について

上で書いたように設定して、動作するけど音が途切れるというのはお試し版だからです(一分に一回1-2秒の無音部分が入ります)。試用版で気に入ったら、ホームページからPaypalで購入すると、後でメールで購入者の名前でカスタマイズされた(ライセンスされた)インストーラがメールで届きます(軽いから)。いったん試用版をアンインストールして、それをインストールし直します。すると設定画面に名前が入った版が立ち上がり正式版となります。(このときにいったんアンインストールするのでドライバーを再度選び直してください)
ライセンスはその人が使う限り台数や32/64bit OSの制限なく使うことができます。購入時に32/64を選びますが、bothにしておけば良いです。価格は同じ99ユーロです。メジャーバージョンアップでも追加料金は取らないと言ってます。

* JRMC 18とJPlay

JRMCも17から18になりました。これは正式リリース発表があったら書こうと思ってたんですが、18がベータリリースされて改善を進めていくうちにやがてある時点でホームページからのダウンロードリンクが17ではなく18の最新に移る、というひっそりとした移行でした。Mac版はまだ開発中で数週間以内には動作可能なものをなんとかアップできる、というレベルのようです。Mac版は一からMacのために書いているわけではなく、予告されたように多くは共通コードを使っているようです。Windowsとの共通というよりは機種依存しないように書きなおしたということで、Linux版もそのうち出るのかもしれません。
JRMC17から18にバージョンアップすると設定は引き継がれます。v18から使う人はDSD設定は少しわかりやすくなっていると思います。

JPlayはバッファリングしているようで少し遅れて再生されます。DAC64のバッファありみたいな感じです。また止める時にもタイムラグがあります。
追記-> JPlayの開発者にこの記事を見せたらさっそく教えてくれたんですが、上記レジストリのPacket Sizeを小さくするとラグを減らせるということです(2が規定値で0が最小)。実際に減らせますが音に影響あるかもしれないのでこれも好みで選んでほしいということ。(4を選ぶ人もいる)

音質はエンジンにもよりますが上質かつクリアで、やはりJRMCでJPlayを使うと普通にJRMCで排他モードWASAPI経由で鳴らすよりも透明感が高まります。もともとJRMCはWindowsの音楽再生ソフトの中では操作性・機能性では群を抜いて優れていますが、これで音質的にもベストになったかもしれません。
JPlayは以前の開発者インタビューなんかでもメモリ管理と低レベル処理を売りにしていましたが、低レベルのJPlayと高レベルのJRMCがうまく融合した感じです。

JPlayは上級者向けのソフトではありますが、操作性の良いJRMCと組み合わせることで手軽にJRMCの音質も向上できます。WindowsのPCオーディオの音楽再生ではJRMC+JPlayはお勧めです。感覚的にはMacでいうと使い勝手の良いiTunesの再生エンジンをAmarraにして音を良くするという感じです。
ただし価格はJPlay(99ユーロ)+JRMC($49.98)となります。

一方でFoobarは無料で多機能ではありますが、あまり過信できません。例えばFoobarとDSDネイティブ再生で注意してほしいのはDSP設定をまず空にすることです。このときにうっかりリサンプラーを入れたままだとうまく再生できません。この辺はたとえばJRMCならPCMでリサンプラーを入れていてもDSDを検知すると自動的にオーディオパスをダイレクトにしてリサンプラーをよけます。PCMを再生するとまたリサンプラーを戻します。この辺はやはり有料ソフトならではの気配りというか使いやすさではあります。
posted by ささき at 22:37| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
JRMC自体は公式に「JPlayはデマ、アンインストール推奨、音質や安定性を低下させる、なんらメリットはない」
って言ってますね。
「ユーザー保護のためフォーラムからJPlayのポストを削除、JPlayを使用した場合サポートはしません」
だそうです。

う〜む・・・
Posted by Reaper at 2014年04月06日 11:04
テス
Posted by a at 2014年04月06日 11:38
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