今年の記事の最後としてMusic To Goブログの記事を振り返ってオーディオのトレンドを読み解くという、総集編企画をお届けします。
ちなみに2011年度の振り返り記事はこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/243739589.html
PCオーディオ関係では今年はなんといってもDSDですが、まずDSDのネイティブ再生の流れを追っていくと、はじめにPlayback Designsが昨年(2011)夏頃に独自方式で実現させますが、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/223087523.html
その後に昨年(2011)9月にいわゆるdCS方式というのが提唱されました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/227606034.html
ただこの時点ではPlaybackの方式とも異なって併存していて、この先どうなることやらという感じではありました。ちなみに正しくいうと「dCS方式」と言う言葉はなくて、"USB Link...なんたら"というdCSが付けた名称があったんですが英語で長いので私が勝手にブログで「dCS方式」と書いていただけですので念のため。
この時点では音楽再生ソフトもdCS方式かPlaybackの方式のいずれかの独自サポートが必要でした(Aurdivanaなどは両方やっていた)。それが今年の2月頃に海外で標準規格らしきものができるような情報が流れてきました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/253189067.html
次にBlue CoastのCoockieさんのやってるDSD-Guide.comにもそれが掲載されます。この記事をきっかけにCoockieさんと知り合いになります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/254364075.html
ちなみにこのときは1.0ということでDSD on PCMという名称ではなくUSB Link for DSD Audio via PCM Framesという名称でUSBが名についていました。仕様と名称的にはdCS方式の流れを汲みますが、なぜかコッチ先生も連名だったのを不思議に思ったのを覚えてます。
その後、4月頃にその標準規格が1.1となってDSD128をサポートするとともに、名称がいま知られているDSD Audio over PCM Frames(DoP)となります。つまりDoPという名がついたのは1.1からです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/263097793.html
このころから急に下リンクのChord QuteHDをはじめとしてDSDネイティブ再生を始めから想定したDACが現れはじめ、低価格化もはじまります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/270805691.html
またさきに書いた記事を契機としてオランダのChannel Classicsとも仲良くなります。きっかけはBlue Coastもそうですが、私が書いた記事でアクセスが伸びたということで、向こうからtwitterなどのアドレスを調べてコンタクトしてきてくれたものです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/273253728.html
あとのDSDの普及は他でも書かれることが多くなったと思うので省略します。
今年の初めの時点ではPCM384kと32bit対応の方が2012年の主流かとも思われたんですが、DSDの方が伸びが大きかったですね。ただDoP1.1で5.6M搬送するためには352kHzが必要なので、そのうちまた384k対応は早晩ポイントになってくるでしょう。
今年はプレーヤーソフトはDSD対応が大きな流れで、それ以外は大きな動きはなかったのですが、Audirvana Plusではダイレクトモードが搭載されてライオン以降でも再びインテジャーモードが使えるようになりました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/267858777.html
ダイレクトモードは4月頃からベータで搭載されていき、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/272513977.html
12月の1.4で正式搭載されます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/306486267.html
ダイレクトモードとインテジャーモードの違いについては下リンクにまとめています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/272746069.html
それ以外ではAmarraが少し大きく変わりました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/268509557.html
来年はJ River Media PlayerがMacの選択肢に加わります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/286237710.html
ちなみにWinのJRMC18はもうリリースされています。
今年のもう一つの特記事項はいわゆるハイレゾDAPの盛り上がりです。
これはまず今年の一月のiBasso DX100祭りみたいな盛り上がりからはじまって、1stバッチは瞬殺し、私も2ndバッチでオーダーしました。このころからわたし的にはAndroidと24bit出力の可能性と実装に着目を始めます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/251928177.html
そして2011年暮れに出たAltmann Tera Player(記事は3月)を入手して紹介します。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/255880650.html
DX100は3月頃に少し手直しをして私はそのあとに入手します。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/261547910.html
DX100系はDX100をベースにしたHDP-R10の国内リリースでひとつの頂点を迎えます。
その次は老舗のiriverがAK100をデビューさせて世間を驚かせます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/296384375.html
AK100はヒット商品となり、海外でもニールヤングのPONOを食ってしまうと評判です。VinnieさんがiModのような改造を行ったりもしています。
そしてこの分野の嚆矢であるHM801の後継機のHM901が発表されます。残念ながらまだ発売はされていません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303979241.html
ソニーがHPA-1を出したようにポータブルアンプがごく一般化したというのも今年のポイントではありますが、一般人がポータブルアンプを認識しだすと、マニア層はハイレゾDAPに一歩トレンド先に進んでいるという感じでしょうか。
ポータブルアンプ系ではAppleが長らくしたしまれた30pinコネクタを新規変更したのも重要ですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/292306243.html
個人的には今のポータブルアンプはiPod/30pinコネクタ時代のものであるので、iPhone時代のポータブルアンプにはワイヤレスタイプ(あるいはWiFiタイプ)のポータブルアンプが必要になるのではないかと思います。ルーター不要のアウトドアWiFi接続はデジカメでは一般的になってきたので何とか活かせないかと思いますね。
イヤフォン・ヘッドフォンについてはまず昨年(2011)のUltrasone Signature Proから続くサブ$1000のハイクラス機ということでShure SRH1840とSenn HD700が今年の初めのトレンドではありました。しかし実のところヘッドフォン関係よりもやはり2012年はイヤフォンであったと思います。そういう意味ではUltrasoneが初のイヤフォンであるIQ/Tioを出したのは注目されることでしょう。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/298442071.html
また今年はポータブルアンプ同様にカスタムIEMも一般化してきました。その中でFitEar To Go 334などカスタム相当のユニバーサルIEMが出てきたことも注目に値します。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/253318386.html
それとFocalなどスピーカーメーカーがヘッドフォンの開発を行い、今年後半にはマーチンローガンまでも追従しました。Spirit Oneの完成度は高いと思いますのでこういう感じでやって欲しいものです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/260057987.html
こうしたマニアックが普通になる中で、FLAT4などユニークなイヤフォンもきちんと評価されるベースが出来てきたのは良いことです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/281564120.html
音楽配信ではニールヤングに振り回された一年でもありました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/249652534.html
しかしAppleから出てきたのは24bitではなく、CAF(Core Audio Format)を中間フォーマットに使うMastered for iTunesでした。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/253750773.html
Appleでは新楽曲フォーマットの噂もありましたが、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/254615445.html
これはのちにニールヤングがなにかやってるという話になり、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/262455301.html
PONOの登場となります。これもハイレゾDAPにつながる話ではあります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/294652130.html
ただ、これらの新フォーマットで噂されたアダプティブ(適応型)というタイプはOraStreamで試行されていて、一つ注目ポイントになるかもしれません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html
スマートフォン関係ではAndroidでのハイレゾオーディオの扱いを研究する一方で、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/263653182.html
Android 4.1でUSB Audio(iOSのデジタルアウト機能に相当)が発表されたりしましたが、現在でも活用されてはいません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/278202078.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/281978580.html
一方iOSではAudioBusがリリースされ、Androidとのオーディオ機能の優位を広げます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/300522308.html
Androidではオーディオの動きが鈍い一方で、ワイヤレスのMiracastは予想より早くAndroidに取り入れられます。ただしAirPlayミラーリングに似た機能です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/293712825.html
今年のヘッドフォン祭ではいよいよ二日開催になるとともに、念願のSamuelsさんを呼べたのがうれしかったですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/299556400.html
HeadFiともヘッドフォン祭を軸に定期的に関わり合いを持つようになってきました。
さて、来年はどうなるか、また楽しみなことではあります。今年のご愛顧ありがとうございました。
Music TO GO!
2012年12月31日
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