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2012年11月15日

iPhone(iOS)の音楽再生アプリ 2012 Nov

ポータブルアンプも市民権を得てきましたが、iPhoneの場合はアンプと組み合わせにくいこともあって単体の音を良くするための再生アプリにも注目したいところです。またいくつか新しいのが出てきたので、これまでの再生アプリのまとめとアプリ紹介を行いたいと思います。

1 これまでのまとめ
まずiPhoneの音楽再生アプリですが、大きく3つのグループに分けられると思います。
*DLNAネットワーク系やストリーミングアプリは除く内蔵音源の再生タイプです

A. オーディオファイル向けアプリ
たとえばFLAC PlayerやGoldenEarです。
これらでは主にiPhoneの音楽ライブラリではなく独自の格納領域を持ち、FLACなどのオーディオファイル向けの音源が使用可能です。音質はDSPなど音声処理というよりも素の音をクリアに聞かせるタイプで、高性能イヤフォンとかポータブルアンプ、DACなどオーディオ機器などの接続に向いてます。

B. カジュアルユーザー向けDSP系アプリ
Radson(旧称MF Palyer)、SonicMax、Fantabitなど。
これらはおもにiPhoneの音楽ライブラリを音源としてiPhoneで再生できるファイル形式を再生します。
またさまざまなデジタル信号処理(DSP)を大きく取り入れているのが特徴で、たとえばFANTABITであればMP3などの高域補完、SonicMaxでは帯域強調処理と多彩なパラメーター、Radsoneは独自のMuseflowというアナログライク処理など特徴的な処理を行っています。これらは非可逆圧縮音源や普及クラスイヤフォンの性能を補完してあげるのに役立つでしょう。

C. ユニーク機能・デザインが売りのアプリ
各所ライブステージに似せたデータ処理をするStage Passとか、スマートなプレイリストを自動生成するGroov、Mcintoshのメーターに似せたMcintosh Playerなどですね。

2. 最近の再生アプリ紹介
ここでは最近リリースされた音楽再生プレーヤーアプリを紹介します。

2-1. UBiO (上ではBグループDSP系)

IMG_9032.PNG     IMG_9033.PNG

* 特徴
下記にサイトがあります。
http://www.ubio.jp/
基本的には音質向上させるためのUBiOモードのオン・オフがメインで、ほかに別売というイヤピースを使って高騒音化で使うというサイレントモードがあります(機内使用を意識しているよう)。
またイコライザーは従来のような波系のグラフィックイコライザーではなく、パッド上で「低域、高域、音場感」をスライドさせて好みの音にするのも新しくて手軽です。

こちらにiTunesリンクがあります(450円)
https://itunes.apple.com/jp/app/ubio/id563103341?mt=8

* 音質

ミドルクラスのBAイヤフォンであるDENON AH-C400を使用して聴いてみました。サイレントモードはオフでUBiOモードをオンにします。標準ミュージックアプリと比べるとまず全体的に音楽が豊かに聴こえます。特定の何処かが強調されてるのではなく、全体に一レベル上がった感じですね。
RadsonのHifiモードだと好みの問題もあるけど個人的にはC400ではUbioの方が良いですね。Radsonだとドライさが目立つけどUbioだと暖かみがあって聴きやすい感じです。
GoldenEarと比べるとGoldenEarの方がベルの音はより明瞭で鮮明ですが、Ubioはより厚みがあってさらに音空間を調整してる感じです。GoldenEarは素材を鮮度高くそのまま再生し、Ubioは多少調味料を入れて味を豊かにするが、味付けは自然でさほど気にならないという感じですね

UbioではたしかにiPhone単体の音の薄さ痩せを改善して、自然でかつ厚みがあり単体だけでも満足できるような再現性があると思います。反面で暖かみ傾向が強いのでダイナミックドライバーのFlat4やSE215だと厚ぼったくなり過ぎる傾向があるのでBA機に向いてるかと思います。
低域が強すぎたり厚ぼったくなるときは、パッドイコライザーで少し高域よりに調整すると良いかもしれません。

2-2. Dirac HD (上ではBグループDSP系)

IMG_9030.PNG     IMG_9031.PNG

* 特徴

Dirac HDの特徴はAppleのiPhoenに付属してくる旧標準イヤフォンや最近のEarPodsに特化しているという点です。立ち上げるとEarPodsかEarPhoneのどちらに特化するかを聞いていきます。複雑なパラメーターを調整するのではなくシンプルです。これは標準イヤフォンやEarPodsの特性に合わせて処理を行ったということで、スウェーデンのDirac Researchという会社がNaim, ロールスロイス、ベントレー、BMWなどにライセンス供与しているカーオーディオなどの技術を応用したということです。再生対象はiPhone内の音楽ライブラリです。

250円で、無料のliteバージョンがあり、liteではiTunesのプレイリストが使えない、シャッフルができな
い、検索ができないなどの制約があります。iTunesリンクはこちらです。
https://itunes.apple.com/jp/app/dirac-hd-player/id547650816?mt=8

* 音質
EarPodsを使用してDiracのEarPodsモードにして標準ミュージックアプリと比べるとまずヴォーカル表現が自然で存在感が増し、低域方向も適度な強調感があって曲全体に厚みを加えてます。
全体的により自然な表現になってるのが良いですね。
RadsonのH/E phoneモードと比べるとRadsonの方が音の広がりなど強調感で派手であるけれども、Diracの方がこじんまりとした音空間ではありますが、よりまとまってリアルで自然な音再現でこっちの方がいわばオーディオ的で、RadsonではHifiモードに近い感じですね。RadsonのHifiモードだと好みの差はありますが、Radsonがより派手で、Diracはよりリアルという感じです。
GoldenEarと比べるとやはりGoldenEarではEarPodの帯域バランスの悪さがそのまま出るけれども、Diracではそこを上手に打ち消してくれてる感じです。特にヴォーカルでDiracがより良く感じますね。

旧標準イヤフォンでは試してませんが、EarPod/標準イヤフォンに特化しているという点が面白く、EarPodsもちの人は試してみてください。
posted by ささき at 23:58 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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