前項ではアイリッシュの流れを簡単にお話しましたが、アイリッシュの他の世界への流れという点で実際に曲がどう変化したかを実例で紹介します。
60年代フォークの代表として日本でも人気があったPPM(ピーター・ポール&マリー)の有名な曲に"Gone the rainbow"(虹とともに消えた恋)という曲があります。古い曲ですがメロディーは編曲されてたくさん使われているので聞いたことがある人も多いと思います。
下記のサイトでMIDIを聞くことが出来ます。
http://wagesa.cool.ne.jp/music/folk/gonetherainbow.html
この曲はもともと南北戦争のときによく歌われた"Johnny has gone for a soldier"からメロディを持ってきています。実際"Gone the rainbow"の歌詞にそのままこの内容が使われています。
Johnny has gone for a soldierは下記サイトでMIDIを聞くことが出来ます。
http://www.contemplator.com/america/johnny.html
この曲の起源は独立戦争のときに作られたそうですが、別名を"Buttermilk Hill"といい民謡としてもうたわれていたようです。
そしてもともとはアイルランドの民謡である"Shule Agra"(または"Shule Aroon")からとられたものといわれています。
Shule Agraは下記サイトで聞くことが出来ます。
http://www.contemplator.com/ireland/shulagra.html
南北戦争や独立戦争の時にはアメリカの中心はほとんど東部でした。それが60年代フォークは西海岸に文化が移っていった時期でもあります。こうしてみると東から西へ、アイルランドからアメリカへのメロディの変遷というのがわかりやすいと思います。
おそらくアメリカでは"Gone the rainbow"がかつて広くうたわれた"Buttermilk Hill"の借り物であるということは広く知られていたと思いますが、日本ではそうではなかったでしょう。おそらく60年代フォークの美しいメロディーに影響されて曲を書いていったひとたちが「はじめて聴いてなつかしい」というアイリッシュの種を日本のシーンに撒いていったのだと思います。
わたしは音楽家ではないので旋律的な変遷がどうあったかということまではわかりませんが、こうした歴史的・地理的な流れを見るだけでも興味深いものです。
ちなみにやはり南北戦争の時によく使われた曲で"When Johnny Comes Marching Home"というのもあります。これはたぶん映画やテレビの中などでたくさん編曲されているので一度は聞いたことがあると思います。これももとはアイリッシュ由来の曲ということです。
When Johnny Comes Marching Homeは下記サイトで聞くことが出来ます。
http://www.instantknowledgenews.com/johnny.htm
ちなみに上記でよく出てくる"Johnny"とは特定の人名ではなく、南部出身者の総称です。またときに侮蔑をもってJohnny Reb - rebとはrebelion(そのころ中心だった北部に反旗を翻した南部のこと)とも言われる。ただ南北問わず一般に戦争参加した若者をJohnneyと呼ぶこともあり、ここではそうした使われ方をしていると思います。
この反対の北部出身者をYankee(ヤンキー)といいます。いまでもアメリカの映画の中でスラングとしてNew Yorkから南部に若者がやってきたときなんかは「ヤンキー」と呼ばれることがあります。
Music TO GO!
2004年07月12日
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パスティーシュ・イルランデ (Pastiche irlandais)
Excerpt: 最近は世の中が世知辛くなってきて似たような表現があるとすぐ 「盗作だ!」 と騒ぎになりますが、他人の著作を自分のものとして横取りするのでなく、優れた作品に敬意を表しつつ自分の作品に取り込む所謂る 「本..
Weblog: ■ 音が苦史2006 ■
Tracked: 2007-01-29 04:11


"Shule, shule, shule-a-roo"
という歌詞は本歌のアイルランド民謡からきているんですね。
日本でもアイルランドの歌は明治に洋楽が入ってきて以来とても人気がありますよね、庭の千草とか。現代でもエンヤやケルティックウーマン他、根強い人気があります。郷愁を誘うメロディーが人気の秘密なのでしょうか。
コメントありがとうございます。
やはり音楽はただ聴いていいなと思ってもよいんですが、こうして背景とか歴史まで思いを馳せるとより楽しみも膨らみますね !
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