Music TO GO!

2012年08月15日

ディスモータルコイル・リマスター再発とNazim Hikmetの詩

4ADを代表するアーティストであるディスモータルコイルの3作品がリマスター再発されました。
http://tower.jp/article/feature_item/2012/06/15/0106
このすばらしい作品世界の美しさに合わせるかのように紙ジャケットも日本の一九堂印刷所で限定生産の高級な画集のような素晴らしい印刷と紙を使用しています。従来の紙ジャケットとは一線を画していますね。リマスタリングもオリジナルマスターからのものでHDCD仕様です。よりクリアで空間の広がりも深みが増しています。耽美的で吸い込まれるかのような世界観がより磨かれた感があります。このディスモータルコイルの3作品も音楽史に燦然と輝く作品ですが、それにふさわしいクオリティの再発CDです。購入はAmazonにはないようなので、上のタワレコリンクからどうぞ。

80年代に輝いた4ADというレーベルはゴシック的世界観の美学を持ったアーチストの集うところとなり、コクトーツインズやデッド・カン・ダンスのような後に影響を与える優れたアーチストを生み出しました。現在の4ADはいささか様変わりしていますが、その美学はアメリカのProjektというレーベルに受け継がれています。Projektについては以前こちらに記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/30956262.html
しかし、4ADは創設者のアイヴォ自身が作りあげたユニットであるディスモータルコイル(This Mortal Coil)のためにあったとも言えます。
ディスモータルコイルは様々なポピュラーミュージックをアイヴォ流の世界をもってカバーしたユニットです。再掲になりますが、やはり今日はそのラストアルバムから"I come and stand at every door"を紹介したいと思います。
Youtubeでは次のリンクで聴くことが出来ます。上がディスモータルコイルがカバーしたもので、下のオリジナルはバーズです。




オリジナルの曲のメロディーは伝承音楽から取ったもので、歌詞はトルコの詩人Nazim Hikmetの詩を英訳したものを使っています。
その詩を訳出して曲の紹介にかえたいと思います。

"
だれの家の前にも私は立っています
でも声なき祈りはだれにも聞こえません
わたしが死んでいるから

わたしはそのときまだ七歳でした
ずいぶん前の広島でのことです
わたしはいまでも七歳です
死んだ子供は歳をとりませんから

わたしの髪は燃え盛る炎に焼かれました
ぼやけてなにも見えなくなり
死が訪れ、わたしの骨は塵となり
そして風に吹かれて消えました

わたしはもうご飯はいりません
お菓子も果物もいりません
わたしはなにもいりません
もう死んだのですから

わたしがただ望むのはあなたが平和のために立ち上がること
世界の子供たちが笑い、すこやかに育つために
"


この詩にはまたオリジナルとも言えるトルコ語の朗読とヴォーカル曲があります。歌っているのはあのジョーンバエズです。

「ドナドナ」はだれもがご存知の曲と思いますが、元はあまり知られていない民謡でした。しかしジョーンバエズがベトナム戦争に従軍していく兵士になぞらえて歌いヒットして、いまのように広く知られるようになりました。

この詩の日本語で歌われているものでは、坂本龍一がオリジナルの作曲をつけ、元ちとせが歌う「死んだ女の子」という曲があります。

元ちとせのアルバムOrient収録ですが、いまの時期になると特別配信がなされ、収益は寄付金となるとのことです。
http://mora.jp/package/80307744/ESXX00413B00Z/


戦争は望むときに始めることができる
しかし戦争は望むときに終わらせることはできない
- マキャベリ
posted by ささき at 00:12 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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