本作はブライアン・イーノの代表作の一つであるApolloをイギリスの音楽集団Icebreakerがアコースティックアレンジした作品です。
ブライアン・イーノは多彩な音楽家でロキシーからはじまってさまざまなジャンルで活躍していますが、一時期は「環境音楽」の祖としても知られていました。環境音楽とは「家具の音楽」とも呼ばれましたが、音楽自体が強い主張をしないで周りに溶け込むような音楽のことです。これはいまでいうアンビエントにつながりますが、ペンギンカフェなんかもこの一派に入れられます。
実のところ弟のロジャーイーノの方が室内楽的なセンスが高かったと思いますが、その兄弟合作での傑作がこのApolloの原曲です。もとはNASAの月着陸のドキュメンタリーフィルムのサントラとして制作されました。このフィルムは全編セリフとか音声が入っていません。
オリジナルのApolloは電子楽器での作品ですが、それをアコースティック楽器でアレンジをしてライブで演奏可能にしたものが本作です。(ちょっとマニュエル・ゲッチングのE2-E4のライブ盤のほうを思わせるかもしれません)
もともとはロンドンのサイエンス・ミュージアムが月着陸40周年を記念しておこなったイベントのための音楽のようです。IcebreakerはDavid LangとかMichael GordonあたりのいわゆるBang on a Canあたりの先鋭的な現代音楽家グループということです。
ライブには“moving and sublime” (感動的で荘厳)というサブタイトルがついていますが、実際に原曲の瞑想的でゆったりとした優雅さと美しさをそのままに、アコースティック楽器の深み、色彩感と豊かさを兼ね備えた素晴らしいアレンジとなっていると思います。
こちらはライブ風景のyoutube映像です。
下のアルバムは左がIcebreaker版で、右がオリジナル(リマスター版)です。
Music TO GO!
2012年07月10日
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