Music TO GO!

2012年07月06日

Androidは10msの夢を見るか?

前に書いたようにGoogle I/Oカンファレンスで発表されたAndroid 4.1(Jelly Bean)ではオーディオまわりで進化があって、USBデジタルアウト対応が発表されています。前回書き忘れましたけど、ASUSではすでにNexus 7用のAudio Dockの発売をアナウンスしていますね。

このほかにもオーディオまわりでの大きな話題としてはもうひとつ、4.1での低レイテンシー化についてのアナウンスもありました。ここはオーディオ再生というよりもむしろ音楽制作にかかわるところかもしれません。
下記の4.1での新機能紹介あたりで低レイテンシー化について触れられています。(22:51付近)
http://www.youtube.com/watch?v=Yc8YrVc47TI&feature=player_de tailpage#t=1366s
この4.1での低レイテンシー化については下記のサイトにまとまっています。
http://createdigitalmusic.com/2012/07/android-high-performance-audio-in-4-1-and-what-it-means-plus-libpd-goodness-today/

簡単に言うと、現在Android4.0では100ms台とあまり良くない値のAndroid端末のレイテンシーを向上する努力を4.1から初めて、4.1では12msを目標にするが、すべてのデバイスがそうなるとは限らないそう。実のところ10ms以下のさらに低いところを狙っているが、これは4.1では終了せずに、次の4.2(?)に向かっても続けられる継続努力目標であるということのようです。

レイテンシーは非常に多くの要素が起因しているため、Androidの場合はベンダーごとにばらつきが出る可能性も多いということ。現時点ではGalaxy Nexusがもっとも優秀であるということですが、これはGoogleのリファレンス機だからでしょう(ただしGalaxy Nexusは現在米国市場ではAppleの特許侵害訴訟のため販売停止中です)。
また、これは前にも書きましたがミキサーの刷新が大きな効果を得るだろうということです。また新設計ミキサーはOpenSLなどとの親和性も良いようです。

この低レイテンシー化の背景にはもともとAndroidはMacはもとよりiOSと比べてもレイテンシーが大幅に劣っているということがあります。こちらにPureDataライブラリーを使用してAndroid端末のレイテンシーの実測をしたデータが載っています。Pure dataはクロスプラットフォームのマルチメディアライブラリなので参考値としてiOSならびにMacの値が載っています。Androidがだいたい500-700msなのに対して、iOSが90ms、Macで48msと、iOSは3.1でさえ良いわけですが、現状でこのくらいの違いがあるわけです。
http://puredata.info/docs/AndroidLatency

いずれにせよ、この低レイテンシー化でまた一歩Androidはメディア分野で先行するiOSに近づくということになります。いまではタブレットでの音楽/DTM関連ソフトというとiPadの独壇場ですが、Android関連もこれによって活性化されるのかもしれません。ただしAndroidにおいてはまずタブレット向けのアプリが乏しく、タブレット市場でのiPadの絶対優勢をなんとかする必要があるとは思います。
posted by ささき at 00:10 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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