Music TO GO!

2012年07月05日

21世紀の精神正常者 - モルゴーア・カルテット

本作は東京フィルハーモニー交響楽団のコンマス荒井英治氏率いるモルゴーアカルテットによるプログレ名曲の弦楽四重奏アレンジ版です。荒井氏はプログレファンであると自認していて、以前にもモルゴーアQはロックアレンジアルバムを出しています。選曲は正攻法でメジャーバンドの有名曲をカバーし、変化球はメタリカくらいです。このアルバムは私が買った時点で、なんとタワレコクラシックフロアのウイークリーチャートの一位になってました 。すごいカバーアートはもちろん宮殿のパロディですがメンバーの顔写真の合成だそう。

まずこのアルバムで良いのはカバーアルバムとしてきちんとオリジナルへのリスペクトがあることです。ジェネシスの月影の騎士はリリシズム溢れ、クリムゾンの宮殿は感動的なまでにドラマティック、締めにスターレスを持ってくるのは通っぽいまとめ方です。原曲のアナリーゼが完璧で、荒井氏はかなりのマニアとみました。フロイドの太陽讃歌なんかはシドバレット的な危うさを演出しているのも良いですね。実のところ太陽讃歌もウマグマに入ってるのはいいんですが、セカンドの原曲はいまいちだったように覚えてます。しかし、ここではシドバレットっていう狂気のイメージを使ってうまくアレンジしてると思います。太陽讃歌は他にサイキックTVがカバーしてるバージョンがあって、それもジェネシスPオーリッジのキレてるヴォーカルがやはり同じ感があったのを思い出しました。

またもう一つ言えるのはこれがやはり系統的には吉松タルカスからの流れである「ロック的なクラシック」アプローチって言うのがあると思います。吉松隆はその流れを自分で「平清盛」サントラで昇華させたけど、荒井英治氏もその流れを意識してるのでしょう。ライナーではショスタコーヴィチからの影響をあげていますが、荒井英治氏がコンサートマスターを務める東京フィルハーモニー交響楽団は吉松隆のタルカスを演奏したバンド、じゃなくオーケストラです。また吉松氏はモルゴーアQのさきにかいたロックアレンジアルバムではオリジナル曲(アトムハーツクラブ)を提供しているので、思えば吉松タルカスを東京フィルハーモニー交響楽団が演奏したというのはそうした流れがあるのでしょう。
モルゴーアカルテットには吉松隆が平清盛で自分なりに昇華させたように、この骨太のカッコよさをオリジナル曲に発展させてくれることを願います。

posted by ささき at 23:27 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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