さて、才色兼備アーチスト評論家としましては、ちょっとチェックしていた新鋭チェリストの新倉瞳さんのインストアライブが渋谷タワレコでありましたので行ってまいりました。
こちらが新倉瞳さんの公式サイトです。
キャッチフレーズは「私たちのチェリスト」です。
http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/niikura/
始めの2曲ほどは実のところいまひとつでいかがなものかと思うところもありました。しかしそれはこうした場所でミニコンサートをするというのがはじめてということでやや緊張されていたようです。
途中で知り合いの音楽評論家の方とのトークセッションがあったんですが、それが終わって後半では緊張が解けたのか見違えるようにすばらしい演奏でした。
演奏もかなり完璧ですし、感情面でもこうきてほしいという時にぐっと入ってくるように音を織り込んでくれます。
そしてここまではピアノ伴奏付でしたが、最後にピアノを外してタイトル曲でもあるカザルスの「鳥の歌」をソロで弾きました。そうした曲への特別な思い入れというのは演奏家として素晴らしいものだと思います。
サイトの写真のようにビジュアル的にもとても可愛い方ですが、おもしろいのは使っているチェロがとても古くて骨董品屋にあるようなニスもはげているものだったことです。その古ぼけたチェロと輝くような彼女との対比がちょっと絵的に美しくてひかれました。
これは1860年製のイギリス製だそうですが、深くて渋い音がするということで選ばれたそうです。
このような若い方でも演奏家がこうして自分の音を表現するのに楽器にこだわっているのですから、聴く方もどう聴きたいかということにこだわってオーディオ機材を選ぶというのは悪くないことのように思えます。
タイトル曲の鳥の歌はチェロの曲でももっとも有名なものですが、これをデビュー作にもってくるのはやはり考えたそうです。しかしさきに書いたようにそうした曲への思い入れが彼女の演奏の強い点なのでしょう。
ちなみに「鳥の歌」には平和へのメッセージが込められています。(カザルスのいた)カタロニアでは鳥たちはピース、ピースとさえずるというのがこの曲のテーマですが、今日のこの殺伐とした時代への彼女の想いということです。
いつまでもこの曲を弾き続けたいということで、また10年後に彼女の鳥の歌を聴いてみたいものです。
Music TO GO!
2006年11月18日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック