ヒラリーハーンとハウシュカという異色の組み合わせの作品。ヒラリーハーンはあの世界的バイオリニストで説明不要だと思います。もうひとりのハウシュカはエレクトロニカで最近注目されて来ているアーティストで、ダンサブルでポップなセンスを生かしたアーティストです、というのが私の理解でした。しかし、もともとはハウシュカ(aka フォルカー・ベルテルマン)はプリペアードピアノを駆使する現代音楽の作曲家と言うことでポストミニマル的な立ち位置のアーティストだったようですね。このアルバムでは弾き手としても楽曲提供もしています。
プリペアードピアノはピアノに木や金属を噛ませて音を変えるもので現代音楽の人が使う手法です。プリペアードピアノに関しては下記のYoutube動画を見るとわかりやすいと思います。
ハウシュカの東京公演
私もハウシュカっていうと最近注目のエレクトロニカ系アーティストという印象だったんで、それとヒラリーハーンというと異色と思ったんですが、実のところ現代音楽家っていう側面でみるとそう異色というわけでもないかもしれません。いずれにせよユニットのユニークさから想像出来るとおり、以前紹介したクロノスカルテットのUNIKOのような現代音楽とポピュラーのボーダー的な面白さを聞かせてくれます。プリペアドピアノの変わった音色と透明感のあるヒラリーハーンのヴァイオリンの組み合わせも斬新です。UNIKOが全編緊張感に溢れているのとはまた違って、難解そうに思えても少し明るめで聴きやすい顔も見せるのはハウシュカならではの持ち味といえるでしょう。
ドイツグラモフォンからのリリースですが、グラモフォンというと例のスティングのヴォーカル作品も思いだしますね。
こちらにこのユニットのホームページがあります。
http://hahnandhauschka.com/
こちらはアルバムからBounce BounceのPVです。
エレクトロニカってゼロ年代以降出て来た新しい音楽の総称っていうくらい幅が広いジャンルです。ポップなヴォーカルものの延長で軽く聴けるのもあるし、電子楽器がなくてもこの前のゴールドムンド(aka Helios)みたいにエレクトロニカのコーナーにあるものもあります。もちろんエフェクトどろどろの音響系みたいなものもあり、シューゲイザー、アンビエントと来るとイーノあたりともオーバーラップします。
Silfraはさすがにヒラリーハーンのネームバリューが大きいのでクラシック(現代音楽)コーナーにありましたが、音楽的にはエレクトロニカのコーナーにあってもおかしくはありません。エレクトロニカだとプリペアードピアノが混ざってても違和感ないので、そうした自由さがハウシュカが惹かれて活躍のフィールドを移していったのかもしれませんね。
ちなみにSilfraとはアイスランドにある地名だそうですが、大地のプレートの境の裂け目が透明な湖となっているとのこと。これはアメリカ(ヒラリーハーン)とヨーロッパ(ハウシュカ)の合作ということを示し、実際にアイスランドで録音されたということです。
Amazonリンクではハウシュカの近作もあげておきます。またSilfraはアナログ盤(右側)も出ています。
Music TO GO!
2012年05月28日
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